不動産の見方
不動産登記の読み方(対抗力と公信力・表題部と権利部)と、4つの公的な土地価格、鑑定評価の3手法を説明できるようになります。
ねらい
第5章では不動産を学びます。最初のこのレッスンでは、不動産の権利と価格の調べ方を扱います。終えると、登記記録の構成と効力、4つの公的な土地価格の違い、鑑定評価の3手法を説明できるようになります。
ストーリー
第5章の主人公は、郊外の中古一戸建ての購入を検討している会社員の藤田さん夫婦です。不動産会社で「登記を確認しましょう」「この土地の路線価は」という言葉が飛び交います。買おうとしている土地は本当に売主のものなのか。価格は妥当なのか。調べる道具から身につけましょう。
不動産登記
不動産の物理的な状況と権利関係は、法務局の登記記録(登記簿)に記録され、誰でも登記事項証明書の交付を受けて確認できます。
登記記録の構成
| 部分 | 記録される内容 |
|---|---|
| 表題部 | 土地・建物の物理的な状況(所在・地番・地目・面積など) |
| 権利部(甲区) | 所有権に関する事項(所有者・差押えなど) |
| 権利部(乙区) | 所有権以外の権利に関する事項(抵当権・賃借権など) |
「所有者を知りたければ甲区、住宅ローンの抵当権を知りたければ乙区」という対応で覚えます。なお、登記記録の地番・家屋番号は、日常使う住居表示とは一致しないことがあります。
登記の効力
- 対抗力: 登記をすると、自分の権利を第三者に主張(対抗)できます。同じ不動産が二重に売買された場合、先に登記をした買主が所有権を対抗できます。
- 公信力はありません: 登記記録の内容を信頼して取引しても、記録が真実の権利関係と異なっていた場合、その信頼は法的に保護されるとは限りません。登記だけを信じず、現地や当事者の確認が必要とされるのはこのためです。
注意
土地の形状や位置は、法務局に備え付けられた公図や地積測量図で確認します。公図は精度が十分でない場合があるため、現地調査との突き合わせが大切です。
土地の4つの公的価格
土地には、目的の異なる4つの公的な価格があります。
| 価格 | 決める機関 | 基準日 | 公示価格との関係 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| 公示価格 | 国土交通省 | 毎年1月1日 | 基準(100%) | 土地取引の目安 |
| 基準地標準価格 | 都道府県 | 毎年7月1日 | 100% | 公示価格の補完 |
| 相続税路線価 | 国税庁 | 毎年1月1日 | 80%程度 | 相続税・贈与税の計算 |
| 固定資産税評価額 | 市町村 | 1月1日(3年ごとに評価替え) | 70%程度 | 固定資産税などの計算 |
ポイント
「路線価は8割・固定資産税評価額は7割」という水準と、基準日・決める機関の組み合わせが、定番の出題ポイントです。
鑑定評価の3手法
不動産の適正な価格を専門家が求める鑑定評価には、3つの手法があります。
- 原価法: その不動産をいま作り直したらいくらかかるか(再調達原価)を求め、古くなった分を減価修正して価格を出します。
- 取引事例比較法: 似た条件の取引事例と比較して価格を出します。
- 収益還元法: その不動産が将来生み出す収益に着目して価格を出します。賃貸用不動産の評価に適しています。
例題
次の記述が適切か、不適切かを考えてみましょう。
不動産登記には公信力が認められているため、登記記録の内容を正しいものと信頼して取引した者は、常に法的に保護される。
答え合わせ
不適切です。不動産登記に公信力は認められていません。登記記録が真実の権利関係と異なる場合、記録を信頼して取引しても保護されるとは限りません。登記には第三者への対抗力はあるが公信力はない、という2つの効力の区別が核心です。
応用
価格の使い分けを考えてみましょう。
藤田さんが検討中の土地について、相続税の計算に使われる価格と、固定資産税の計算に使われる価格は、それぞれ公示価格のどの程度の水準に設定されているか。
答え合わせ
相続税の計算に使う相続税路線価は公示価格の80%程度、固定資産税評価額は70%程度の水準です。路線価は国税庁が毎年1月1日を基準に定め、固定資産税評価額は市町村が3年ごとに評価替えを行います。数字(8割・7割)と機関・基準日の組み合わせを表で整理しておきましょう。
分からなかった点・気になった点
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この章の問題を解く
章のまとめへ- 賃貸不動産のローン元本返済と必要経費に関する正誤判定解く
- 消費税が課される不動産の貸付けの選択解く
- 相続税路線価の公示価格に対する水準の選択解く
- 不動産登記の公信力に関する正誤判定解く
- 長期譲渡所得となる所有期間の選択解く