個人事業税
個人事業税の課税の仕組み(法定業種・事業主控除290万円・年2回納付)と、所得税・住民税との違いを説明できるようになります。
ねらい
事業を営む個人に課される個人事業税を学びます。このレッスンを終えると、誰が納めるのか、事業主控除290万円を使った税額の計算、申告と納付の流れを説明できるようになります。第4章の最終レッスンです。
ストーリー
フリーランスの青木さんのもとに、8月、都税事務所から「個人事業税」の納税通知書が届きました。「所得税も住民税も納めたのに、まだあるのか」。個人事業税は、事業を営む人だけに関係する3つめの税金です。仕組みを知れば、通知書の金額も自分で確かめられます。
納税義務者と法定業種
個人事業税は、都道府県が課す地方税です。対象になるのは、法律で定められた業種(法定業種)の事業を営む個人で、物品販売業・製造業・飲食店業・デザイン業・医業など約70の業種が定められています。税率は業種によって3%から5%で、多くの業種は5%です。
ポイント
法定業種にあてはまらない事業(たとえば作家や画家など一部の業態)には課されません。青木さんのデザイン業は法定業種にあたるため、課税の対象です。
税額の計算と事業主控除
個人事業税は、前年の事業の所得をもとに次の式で計算します。
個人事業税 =(事業の所得 − 事業主控除 290万円)× 税率
ポイントは2つあります。
- 事業主控除として、年290万円を所得から差し引けます。事業の所得が290万円以下であれば、個人事業税はかかりません(営業期間が1年に満たない場合は月割りになります)。
- 所得税の青色申告特別控除(65万円など)は、個人事業税の計算では適用されません。所得税の課税所得と事業税の課税標準が一致しない理由のひとつです。
申告と納付
個人事業税は、住民税と同じ賦課課税方式・前年所得課税です。
- 申告: 原則として翌年3月15日までに事業税の申告を行いますが、所得税の確定申告や住民税の申告をしていれば、あらためて事業税の申告をする必要はありません。青木さんが3月に済ませた確定申告の情報が、都道府県にも引き継がれています。
- 納付: 都道府県から送られる納税通知書により、原則として8月と11月の年2回に分けて納めます。
- 支払った個人事業税は、所得税の計算上、事業の必要経費に算入できます。
第4章の3つの税金の整理
事業を営む個人に関わる3つの税金を時間軸で並べて、章を締めくくりましょう。
| 税金 | 誰に | 方式 | 納付の時期 |
|---|---|---|---|
| 所得税(国税) | 国 | 申告納税(確定申告2月16日から3月15日) | 3月15日まで |
| 個人住民税(地方税) | 都道府県・市区町村 | 賦課課税(前年所得) | 6月から(普通徴収は年4回) |
| 個人事業税(地方税) | 都道府県 | 賦課課税(前年所得) | 8月と11月の年2回 |
例題
次の記述が適切か、不適切かを考えてみましょう。
個人事業税の計算では、事業の所得から事業主控除として年290万円を差し引くことができる。
答え合わせ
適切です。事業主控除は年290万円で、事業の所得がこれ以下なら個人事業税はかかりません。65万円(青色申告特別控除)や103万円といった他の制度の数字と混同しないよう、「事業税は290万円」と結びつけて覚えましょう。
応用
課税の有無を判定してみましょう。
デザイン業を営む青木さんの前年の事業の所得は500万円だった(税率5%の業種とする)。個人事業税はいくらか。
答え合わせ
10万5,000円です。事業の所得500万円から事業主控除290万円を差し引いた210万円に、税率5%を掛けて求めます。なお、所得税で青色申告特別控除を受けていても、事業税の計算ではこの控除を差し引けない点に注意しましょう。
分からなかった点・気になった点
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この章の問題を解く
章のまとめへ- 個人事業税の事業主控除の金額の選択解く
- 個人事業税と青色申告特別控除に関する正誤判定解く
- 個人住民税の課税の基準日の選択解く
- 個人住民税の所得割の税率に関する正誤判定解く
- 医療費控除と年末調整に関する正誤判定解く