不動産の譲渡に係る税金
譲渡所得の計算と長期・短期の区分(譲渡年の1月1日で5年判定)、居住用財産の3,000万円特別控除と軽減税率を説明できるようになります。
ねらい
不動産を売ったときの税金を学びます。このレッスンを終えると、譲渡所得の計算のしかた、長期と短期の区分の判定、マイホームを売ったときの特例(3,000万円特別控除・軽減税率)を説明できるようになります。
ストーリー
藤田さんの両親は、住み替えのために20年住んだ自宅を売却することにしました。「売ったお金に税金がかかるのか」「昔いくらで買ったか、書類が見つからない」。不動産の売却益への課税には、給与や事業とは別の独自のルールがあります。
譲渡所得の計算
土地・建物を売却した利益は譲渡所得として、他の所得と分離して課税されます(申告分離課税)。
譲渡所得 = 譲渡収入金額 −(取得費 + 譲渡費用)
- 取得費は、買ったときの代金や購入時の費用です(建物は減価分を差し引きます)。取得費が不明な場合などには、譲渡収入金額の5%を概算取得費とすることができます。
- 譲渡費用は、売却のための仲介手数料や印紙代などです。
- 相続や遺贈で取得した不動産を相続税の申告期限の翌日から3年以内に譲渡した場合には、納めた相続税額のうち一定部分を取得費に加算できる特例があります(相続税の取得費加算の特例)。
長期譲渡と短期譲渡
税率は所有期間で大きく変わります。判定の基準日が独特で、実際に売った日ではなく、譲渡した年の1月1日時点の所有期間で判定します。
| 区分 | 判定 | 税率(所得税・住民税・復興特別所得税の合計) |
|---|---|---|
| 長期譲渡所得 | 譲渡年の1月1日で所有期間5年超 | 20.315% |
| 短期譲渡所得 | 譲渡年の1月1日で所有期間5年以下 | 39.63% |
注意
たとえば2020年6月に取得した土地を2025年8月に売却すると、実際の所有期間は5年を超えていますが、2025年1月1日時点では5年以下のため短期譲渡になります。「その年の1月1日で数え直す」という判定が最頻出のひっかけです。
居住用財産を売ったときの特例
マイホーム(居住用財産)の売却には、税負担を軽くする特例があります。
3,000万円特別控除
居住用財産を譲渡した場合、譲渡所得から最高3,000万円を控除できます。
- 所有期間の長短にかかわらず適用を受けられます。
- 配偶者や子など特別な関係者への譲渡には適用されません。
- 前年・前々年にこの特例を受けていると使えません(3年に1回の適用です)。
- 住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの譲渡が対象です。
軽減税率の特例
譲渡した年の1月1日で所有期間が10年を超える居住用財産では、3,000万円控除後の譲渡所得のうち6,000万円以下の部分に、14.21%(所得税10.21%・住民税4%)の軽減税率が適用されます。
ポイント
3,000万円特別控除と軽減税率の特例は、併用できます。
このほか、相続した空き家を売却した場合の3,000万円特別控除など、政策的な特例もあります。
例題
次の記述が適切か、不適切かを考えてみましょう。
土地の譲渡が長期譲渡所得と短期譲渡所得のどちらに区分されるかは、譲渡した日における所有期間が5年を超えるかどうかで判定する。
答え合わせ
不適切です。判定の基準は譲渡した日ではなく、譲渡した年の1月1日における所有期間です。実際には5年以上持っていても、1月1日時点で5年以下なら短期譲渡(税率39.63%)になります。基準日の取り違えを問う定番です。
応用
特例の適用を考えてみましょう。
藤田さんの両親(所有期間20年の自宅を売却・譲渡所得4,000万円)は、どの特例を使えるか。
答え合わせ
3,000万円特別控除と軽減税率の特例を併用できます。まず譲渡所得4,000万円から3,000万円を控除して1,000万円とし、所有期間が譲渡年の1月1日で10年を超えているため、この1,000万円(6,000万円以下の部分)には14.21%の軽減税率が適用されます。「3,000万円控除は所有期間を問わない・軽減税率は10年超」という要件の違いを整理しておきましょう。
分からなかった点・気になった点
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この章の問題を解く
章のまとめへ- 賃貸不動産のローン元本返済と必要経費に関する正誤判定解く
- 消費税が課される不動産の貸付けの選択解く
- 相続税路線価の公示価格に対する水準の選択解く
- 不動産登記の公信力に関する正誤判定解く
- 長期譲渡所得となる所有期間の選択解く