不動産に関する法令上の規制
都市計画法(市街化区域と市街化調整区域)、建築基準法(接道義務・建蔽率・容積率)、農地法、区分所有法の骨組みを説明できるようになります。
ねらい
土地の使い方を定める法律の骨組みを学びます。このレッスンを終えると、市街化区域と市街化調整区域の違い、接道義務とセットバック、建蔽率と容積率の意味、農地法と区分所有法の要点を説明できるようになります。
ストーリー
藤田さんが気に入った中古住宅の資料には、「市街化区域・第一種低層住居専用地域・建蔽率50%・容積率100%」と書かれていました。別の格安の土地には「市街化調整区域」「再建築不可」の文字。同じ土地でも、法律の規制によって建てられるものがまったく違います。
都市計画法
計画的な街づくりのための法律です。都市計画区域のうち、線引きされた区域は2つに分かれます。
- 市街化区域は、すでに市街地を形成している区域と、おおむね10年以内に優先的・計画的に市街化を図るべき区域です。用途地域(住居系・商業系・工業系の13種類)が定められます。
- 市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域です。原則として用途地域は定められず、建物の建築は厳しく制限されます。
一定規模以上の開発行為(建築のための土地の造成など)には、都道府県知事等の開発許可が必要です。市街化区域では1,000平方メートル以上の開発行為が許可の対象になります。
建築基準法
建物の敷地・構造・用途の最低基準を定める法律です。
接道義務とセットバック
- 接道義務: 建築物の敷地は、原則として幅員4メートル以上の道路に2メートル以上接していなければなりません。これを満たさない土地には原則として建物を建てられません(再建築不可の典型的な理由です)。
- セットバック: 幅員4メートル未満でも道路とみなされる道(2項道路)に接する敷地では、道路の中心線から2メートル後退した線が道路との境界とみなされます。後退(セットバック)部分は、建蔽率や容積率の計算で敷地面積に算入できません。
建蔽率と容積率
| 指標 | 計算式 | 意味 |
|---|---|---|
| 建蔽率 | 建築面積 ÷ 敷地面積 | 敷地をどれだけ建物で覆えるか(水平方向の制限) |
| 容積率 | 延べ面積 ÷ 敷地面積 | 敷地に対してどれだけの床面積を作れるか(立体方向の制限) |
たとえば敷地200平方メートル・建蔽率50%・容積率100%なら、建築面積は100平方メートルまで、延べ面積は200平方メートルまでです。
ポイント
建蔽率には緩和規定があります。特定行政庁が指定する角地等にある敷地、防火地域内にある耐火建築物等は、それぞれ建蔽率が10%緩和され、両方に該当すると20%の緩和です。さらに、建蔽率の限度が80%と指定された地域内で防火地域内の耐火建築物等を建てる場合は、建蔽率の制限そのものが適用されず、上限100%まで建築できます。
注意
容積率には、前面道路の幅員が12メートル未満の場合、幅員に法定の乗数を掛けた値と指定容積率の低いほうが適用されるという制限もあります。
用途地域ごとに建てられる建物の種類も制限されます(用途制限)。
国土利用計画法
土地の投機的な取引や地価の高騰を防ぐための法律です。一定面積以上の土地の売買等を行った場合、契約を結んだ日から2週間以内に都道府県知事へ届け出る事後届出制が適用されます。届出が必要になる面積の目安は、市街化区域で2,000平方メートル以上、市街化調整区域・非線引き区域で5,000平方メートル以上、都市計画区域外で10,000平方メートル以上です。
農地法
農地を守るための法律で、条文の番号で覚えます。
| 条文 | 内容 | 許可権者 |
|---|---|---|
| 3条 | 農地のまま権利を移す(売買など) | 農業委員会 |
| 4条 | 自分の農地を農地以外に転用する | 都道府県知事等 |
| 5条 | 転用の目的で権利を移す | 都道府県知事等 |
ポイント
市街化区域内の農地については特例があり、4条・5条の転用はあらかじめ農業委員会に届出をすれば許可は不要です。市街化を進める区域だからです。
区分所有法
分譲マンションのように、1棟の建物を区分して所有する場合のルールです。
- 専有部分(各住戸)と共用部分(廊下・エレベーターなど)に分かれ、共用部分は原則として専有部分の床面積の割合で共有します。
- 建物や敷地の管理は、区分所有者全員で構成する管理組合の集会の決議で決めます。日常の事項は過半数で、規約の設定・変更や建替えのような重大な事項には特別の多数決が必要です。
例題
次の記述が適切か、不適切かを考えてみましょう。
都市計画法における市街化調整区域とは、すでに市街地を形成している区域およびおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域をいう。
答え合わせ
不適切です。この記述は市街化区域の説明です。市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域で、建物の建築は厳しく制限されます。2つの区域の定義の入れ替えが、最も出題されやすいひっかけです。
応用
建てられる建物の大きさを計算してみましょう。
敷地面積300平方メートル、建蔽率60%、容積率200%の土地には、建築面積と延べ面積それぞれ何平方メートルまでの建物を建てられるか。
答え合わせ
建築面積は180平方メートル(300×60%)まで、延べ面積は600平方メートル(300×200%)までです。建蔽率が水平方向(敷地をどれだけ覆うか)、容積率が立体方向(合計の床面積)の制限という役割の違いは、計算とあわせて押さえましょう。
分からなかった点・気になった点
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この章の問題を解く
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