わが国の税制
国税と地方税、直接税と間接税、申告納税方式と賦課課税方式という3つの分類の軸で、わが国の税金の全体像を整理できるようになります。
ねらい
税金の学習の入口として、わが国の税制の全体像を学びます。このレッスンを終えると、国税と地方税、直接税と間接税、申告納税方式と賦課課税方式という3つの分類の軸が身につき、代表的な税金がどの分類にあたるかを判断できるようになります。
ストーリー
個人事業を始めた青木さんのもとには、1年を通じてさまざまな税金の知らせが届きます。自分で計算して申告する所得税。市役所から通知が届く住民税。買い物のたびに払っている消費税。「同じ税金なのに、払い方も相手もばらばらだ」。実は、税金は3つの軸で整理すると、全体の地図が見えてきます。
税法の体系
税金は、法律の定めにもとづいてのみ課すことができます。この原則を租税法律主義といい、日本国憲法が定めています。国の税金は所得税法や法人税法などの法律で、地方の税金は地方税法とそれにもとづく条例で定められています。なお、租税特別措置法という法律が、政策目的のために本来の税法の特例(軽減税率や特別控除など)を定めており、住宅ローン控除やNISAのような身近な制度の多くはこの特例に根拠があります。
税金の3つの分類
税金は、課税主体・負担者・確定方式という3つの軸で整理できます。それぞれの軸が2つの分類に分かれます。
課税主体による分類(国税と地方税)
どこが課税するかによる分類です。国が課税するのが国税、都道府県や市区町村が課税するのが地方税です。
負担者による分類(直接税と間接税)
税金を納める人(納税義務者)と、実際に負担する人(担税者)が同じかどうかによる分類です。同じ税金が直接税、異なる税金が間接税です。消費税は、負担するのは消費者ですが、納めるのは事業者なので間接税の代表です。
税額の確定方式による分類(申告納税方式と賦課課税方式)
税額を誰が確定させるかによる分類です。納税者が自分で税額を計算して申告するのが申告納税方式、国や地方公共団体が税額を計算して通知するのが賦課課税方式です。
代表的な税金の整理表
3つの軸で代表的な税金を整理します。
| 税金 | 国税か地方税か | 直接税か間接税か | 確定方式 |
|---|---|---|---|
| 所得税 | 国税 | 直接税 | 申告納税方式 |
| 法人税 | 国税 | 直接税 | 申告納税方式 |
| 相続税・贈与税 | 国税 | 直接税 | 申告納税方式 |
| 消費税 | 国税(地方消費税は地方税) | 間接税 | 申告納税方式 |
| 個人住民税 | 地方税 | 直接税 | 賦課課税方式 |
| 個人事業税 | 地方税 | 直接税 | 賦課課税方式 |
| 固定資産税 | 地方税 | 直接税 | 賦課課税方式 |
ポイント
国税は申告納税方式、地方税は賦課課税方式が基本の対応です。所得税・法人税・相続税は自分で申告し、住民税・事業税・固定資産税は通知が届いてから納めます。この対応を押さえると、表を丸暗記しなくても判断できます。
なお、地方税にも申告納税方式のもの(法人住民税・法人事業税など)があり、国税にも賦課課税方式のもの(加算税など)があります。基本の対応をつかんだうえで、例外は個別に覚えます。
注意
消費税は身近な税ですが、確定方式は申告納税方式で、事業者が計算して納めます。買い物のたびに払うため賦課課税方式と混同しやすい点に注意しましょう。また消費税は国税で、間接税に分類されます(税率のうち地方消費税の部分だけが地方税です)。
例題
次の空欄にあてはまる語句を選んでみましょう。
納税者が自分で税額を計算して申告する税額の確定方式を申告納税方式といい、( )はこの方式による税金である。
答え合わせ
所得税です。所得税は、納税者が1年間の所得と税額を自分で計算し、確定申告により申告・納付する申告納税方式の国税です。法人税や相続税・贈与税も同じ方式です。一方、個人住民税や固定資産税は、地方公共団体が税額を計算して納税者に通知する賦課課税方式です。「国税は申告、地方税は賦課」という基本の対応から導けます。
応用
もう一問、負担者による分類を考えてみましょう。
税金を納める人と実際に負担する人が異なる税金を間接税という。消費税・所得税・相続税のうち、間接税に該当するのはどれか。
答え合わせ
消費税です。消費税を実際に負担しているのは商品やサービスを買った消費者ですが、税金を国に納めるのは売り手である事業者です。納める人と負担する人が異なるため、間接税に分類されます。所得税は所得を得た本人が、相続税は財産を相続した本人が、それぞれ自分で負担して納めるため、どちらも直接税です。「誰の財布から出て、誰が納めるか」を分けて考えることが、この分類の判断の軸になります。
分からなかった点・気になった点
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この章の問題を解く
章のまとめへ- 法人税の損金に算入される税金の選択解く
- 赤字法人の均等割の納付義務の判定解く
- 損金の額に算入される役員給与の選択解く
- 中小法人の年800万円以下の部分の税率の選択解く
- 届出をしなかった場合の法定償却方法の選択解く