保険商品
貯蓄型保険・変額保険・外貨建保険を金融商品として見たときの利回りとリスクを理解し、預貯金や投資信託との違いを判断できるようになります。
ねらい
保険を「保障」ではなく「お金をふやす・ためる金融商品」として見たときの特徴を学びます。このレッスンを終えると、養老保険や学資保険などの貯蓄型保険、変額保険、外貨建保険のリスクとリターンの性質が分かり、預貯金や投資信託と比べたときの利点と弱点を判断できるようになります。
ストーリー
子どもが生まれた白石さんは、教育資金の準備に学資保険をすすめられました。「銀行に積み立てるより増えると言われたが、本当だろうか。途中で解約したらどうなるのか」。保険は保障と貯蓄の2つの顔を持つ商品です。金融資産運用の分野では、貯蓄の顔に光を当てて、他の金融商品と同じ物差しで評価します。
貯蓄の顔を持つ保険は、大きく3つに分けられます。予定利率が固定された定額の貯蓄型保険、運用リスクを契約者が負う変額保険、為替リスクを負う外貨建保険です。それぞれリスクの所在が違うことを、はじめに地図として押さえておきましょう。
貯蓄型保険
満期保険金や解約返戻金の形でお金が戻る保険のことを「貯蓄型保険」と呼びます。代表的な商品は次のとおりです。
| 商品 | 貯蓄の性格 |
|---|---|
| 養老保険 | 満期まで生存すれば満期保険金、死亡すれば同額の死亡保険金。満期のある積立ての性格 |
| こども(学資)保険 | 進学時期に合わせて祝金・満期保険金を受け取る。契約者である親が死亡すると、以後の保険料の払込みが免除され、保障は継続する |
| 個人年金保険 | 老後に年金を受け取る積立て。終身・確定・有期の受取り方がある |
貯蓄型保険を金融商品として見るときは、次の点に注意します。
注意
貯蓄型保険は、早期に解約すると解約返戻金が払込保険料の総額を下回る(元本割れする)のが通常です。保険料には保障のコストと事業費が含まれているためです。預貯金のようにいつでも全額を引き出せる商品ではないことが、最大の違いです。
また、保険会社が破綻した場合の保護は、保険契約者保護機構による責任準備金等の原則90%であり、預金保険制度の対象ではありません。加入時の予定利率が満期まで固定される定額の保険は、その後に市場金利が上昇しても利回りが変わらない金利リスクも負っています。
保険料の仕組みと配当
保険料が予定死亡率・予定利率・予定事業費率で決まること、実際との差から生まれる剰余金が配当金として分配されることは、生命保険のレッスンで学んだとおりです。金融商品として見ると、予定利率は「その保険に組み込まれた運用利回りの見込み」であり、有配当保険は実績に応じた上乗せの可能性を持つ商品と読み替えられます。保険料の払込方法には月払い・半年払い・年払いや一時払いがあり、まとめて払うほど保険料の総額は少なくなります。
変額保険と外貨建保険
運用の成果を契約者が受け取る代わりに、リスクも契約者が負う保険があります。
- 変額保険: 保険料を株式や債券で運用する特別勘定で運用し、成果に応じて保険金や解約返戻金が変動します。死亡保険金には基本保険金額の最低保証がありますが、解約返戻金と満期保険金には最低保証がありません。有期型と終身型があります。
- 変額個人年金保険: 年金原資を特別勘定で運用する個人年金です。運用次第で年金額が増減します。
- 外貨建保険: 保険料の払込みや保険金の受取りを外貨で行う保険です。外貨ベースの利回りが高くても、円に戻すときの為替レート次第で円ベースでは元本割れすることがあります。外貨建商品のレッスンで学んだ為替リスクが、そのまま当てはまります。
変額保険は、どの受取りに最低保証があるかが試験の要になります。
| 受取り | 変額保険の最低保証 |
|---|---|
| 死亡保険金 | 基本保険金額の最低保証あり |
| 解約返戻金 | 最低保証なし(元本割れの可能性) |
| 満期保険金 | 最低保証なし |
ポイント
変額保険は「死亡保険金には保証あり、解約返戻金・満期保険金には保証なし」という線引きが最重要です。運用が不調でも死亡時は基本保険金額を下回りませんが、途中で解約したり満期を迎えたりしたときは払込保険料の総額を下回ることがあります。
市場金利に応じて解約時の返戻金が調整される市場価格調整という仕組みを持つ商品もあります。金利が上昇した局面で解約すると、返戻金が減額される方向に働きます。
保険商品のメリットとリスク
金融商品としての保険の利点は、保障と貯蓄を同時に持てること、生命保険料控除など税制上の扱いがあること、長期の据置きで増える設計になっていることです。弱点は、換金性が低く早期解約で元本割れすること、コストが保険料に内包されていて見えにくいこと、定額型ではインフレに弱いことです。
預貯金・投資信託・保険のどれで準備するかは、資金の使途と時期の確実性で選びます。使う時期が決まっている教育資金を大きな価格変動にさらさない、流動性が必要な生活防衛資金を保険で固定しない、という整理が実務の基本です。
例題
次の記述が適切か、不適切かを考えてみましょう。
変額保険(終身型)では、運用実績にかかわらず、死亡保険金については基本保険金額が最低保証されている。
答え合わせ
適切です。変額保険は特別勘定の運用実績で保険金や解約返戻金が変動する保険ですが、死亡保険金には基本保険金額の最低保証があります。運用が不調でも、死亡時には基本保険金額を下回りません。一方、解約返戻金と満期保険金には最低保証がなく、払込保険料の総額を下回ることがあります。「死亡保険金には保証あり、解約返戻金・満期保険金には保証なし」という線引きが、この商品の最重要ポイントです。
応用
もう一問、学資保険の仕組みを考えてみましょう。
Aさんは、子どもの教育資金の準備のため、自分を契約者、子どもを被保険者とするこども(学資)保険に加入した。保険期間の途中でAさんが死亡した場合、この契約はどうなるか。
答え合わせ
以後の保険料の払込みが免除され、契約はそのまま継続します。祝金や満期保険金も、当初の契約どおり受け取れます。この払込免除の仕組みが、学資保険が単なる積立てと違う保障機能であり、親に万一のことがあっても教育資金の準備が止まらないという商品の核心です。一方で、早期に解約すると解約返戻金が払込保険料の総額を下回るのが通常であり、換金性の低さという弱点は他の貯蓄型保険と共通です。目的の時期まで続けられる資金で加入することが、活用の前提になります。
分からなかった点・気になった点
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この章の問題を解く
章のまとめへ- 保有株式の値下がりに備えるオプション取引の選択解く
- オプションの買い手の損失の限定の判定解く
- 外貨預金の預入時に適用される為替レートの選択解く
- 外貨建MMFと預金保険制度の関係の判定解く
- 変額保険の死亡保険金の最低保証の判定解く