外貨建商品
TTSとTTBの使い分けと為替リスクの仕組みを理解し、外貨預金や外貨建MMFの商品性と、円ベースの投資利回りの計算ができるようになります。
ねらい
外貨で運用する商品と、為替が損益に与える影響を学びます。このレッスンを終えると、TTSとTTBという2つの為替レートを場面で使い分けられるようになり、外貨預金・外貨建MMFなどの商品性を区別して、外貨建商品の円ベースの利回りを計算できるようになります。
ストーリー
円預金の金利の低さに物足りなさを感じている横山さんは、銀行で外貨預金をすすめられました。「金利は年3%。円預金よりずっと高い」。しかし説明を聞くと、預けるときと戻すときで違う為替レートを使い、戻すときの相場次第では元本割れもあるといいます。外貨建商品の損益は、金利と為替の両方で決まります。
為替レートとTTS・TTB
円と外貨の交換には、金融機関が定める為替レートを使います。基準になる仲値(TTM)に、金融機関の手数料にあたる為替手数料を加減した2つのレートがあり、場面で使い分けます。
- TTS(対顧客電信売相場): 顧客が円を外貨に換えるときのレートです。金融機関から見て外貨を「売る」レートなのでSelling(セリング)のSと覚えます。外貨預金の預入時に使います。
- TTB(対顧客電信買相場): 顧客が外貨を円に換えるときのレートです。金融機関から見て外貨を「買う」レートなのでBuying(バイイング)のBです。外貨預金の払戻し時に使います。
たとえば仲値が1ドル151円で為替手数料が1円なら、TTSは152円、TTBは150円になります。顧客にとっては、行きも帰りも仲値より不利な方向のレートが適用される、と整理できます。
ポイント
主語を金融機関に置き、金融機関が外貨を「売る」(Selling)のがTTS、「買う」(Buying)のがTTBと覚えます。顧客から見れば、円を外貨に換える預入時がTTS、外貨を円に戻す払戻時がTTBです。
為替リスク
外貨建商品の円ベースの損益は、外貨での運用成果に加えて、為替レートの変動の影響を受けます。預入時より円安(たとえば1ドル150円から160円)になれば、同じ外貨がより多くの円に換わるため為替差益が生じます。反対に円高になれば為替差損が生じ、外貨での利息を打ち消して元本割れになることもあります。この不確実性を為替リスクといいます。
注意
「金利が高いから有利」とは言い切れません。外貨建商品の損益は、外貨ベースの金利と為替差損益の合計で決まります。高金利の通貨ほど、為替の変動も大きい傾向がある点に注意が必要です。
主な外貨建商品
| 商品 | 特徴 |
|---|---|
| 外貨預金 | 外貨建ての預金。普通・定期などがある。預金保険制度の対象外 |
| 外貨建MMF | 外国籍の公社債投資信託。購入時手数料がなく、いつでもペナルティなしで換金できる。預金保険の対象外だが、証券会社経由の保有分は投資者保護基金の補償対象 |
| 外貨建債券 | 外国の政府や企業などが発行する債券。信用リスク・金利リスクに加えて為替リスクを負う |
| 外国株式 | 外国企業の株式。国内の証券会社を通じた委託取引などで売買できる |
外貨定期預金は、原則として中途解約できないか、解約時に不利な条件になります。外貨建MMFは日々決算を行い、換金の自由度が高いことが特徴です。同じ「外貨建ての安全運用」でも、外貨預金と外貨建MMFでは、換金性と保護の仕組みが異なります。
なお、外貨と円の交換を伴う取引は、外国為替及び外国貿易法(外為法)の枠組みの下で行われますが、個人の通常の外貨建商品への投資は自由に行えます。
円ベースの投資利回りの計算
外貨建商品の成果は、円に戻して初めて確定します。計算例で確かめましょう。
Aさんは、TTS150円のときに1万米ドルの外貨定期預金(期間1年・年利3%)に預け入れ、満期時にTTB152円で全額を円に払い戻しました。税金は考慮しません。
- 預入時の円ベースの投資額は、1万ドル×150円で150万円です。
- 満期時の外貨ベースの元利合計は、1万ドル×1.03で1万300ドルです。
- 払戻し時の円ベースの受取額は、1万300ドル×152円で156万5,600円です。
- 円ベースの利益は6万5,600円で、投資額150万円に対する利回りは、6万5,600円÷150万円×100で約4.37%です。
外貨ベースの金利3%に、円安による為替差益が上乗せされ、円ベースの利回りが金利を上回りました。もし満期時の為替が円高に振れていれば、利回りは3%を下回り、マイナスになることもあります。
例題
次の空欄にあてはまる語句を選んでみましょう。
個人が銀行で外貨預金に預け入れる(円を外貨に換える)際に適用される為替レートは( )である。
答え合わせ
TTSです。TTSは対顧客電信売相場のことで、金融機関が顧客に外貨を売るレート、すなわち顧客が円を外貨に換えるときのレートです。預入時に使われます。反対に、満期や解約で外貨を円に戻すときは、金融機関が顧客から外貨を買うレートであるTTB(対顧客電信買相場)が使われます。主語を「金融機関」に置いて、売るのがS・買うのがBと覚えると取り違えません。
応用
もう一問、円ベースの損益を考えてみましょう。
Bさんは、TTS140円のときに1万米ドルの外貨定期預金(期間1年・年利2%)に預け入れた。満期時のTTBが136円だった場合、円ベースの損益はどうなるか(税金は考慮しない)。
答え合わせ
損失になります。投資額は1万ドル×140円で140万円です。満期時の外貨ベースの元利合計は1万ドル×1.02で1万200ドル、円ベースの受取額は1万200ドル×136円で138万7,200円です。円ベースでは1万2,800円の損失となり、利回りはマイナス約0.91%です。外貨ベースでは2%の利息を得ていますが、預入時の140円から136円へ円高が進んだことによる為替差損が利息を上回りました。外貨建商品の損益は金利と為替の合計で決まる、という原則を数字で確かめられる例です。
分からなかった点・気になった点
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この章の問題を解く
章のまとめへ- 保有株式の値下がりに備えるオプション取引の選択解く
- オプションの買い手の損失の限定の判定解く
- 外貨預金の預入時に適用される為替レートの選択解く
- 外貨建MMFと預金保険制度の関係の判定解く
- 変額保険の死亡保険金の最低保証の判定解く