法人事業税
法人事業税の所得割と外形標準課税の仕組み、特別法人事業税との関係、納めた事業税が損金になるという法人税との接点を判断できるようになります。
ねらい
法人が都道府県に納める法人事業税を学びます。このレッスンを終えると、所得割を基本とする課税の仕組みと、大法人に適用される外形標準課税の考え方が分かり、納めた事業税が法人税の損金になるという他の税金との違いを判断できるようになります。
ストーリー
会社の決算を確認していた林社長は、税理士から「法人事業税は、法人税や住民税と違って損金になります」と説明を受けました。「同じように納める税金なのに、なぜ扱いが違うのか」。法人事業税には、事業が都道府県の行政サービスを利用することへの対価という性格があり、その性格が税金の扱いの違いに表れています。
法人事業税の仕組み
法人事業税は、法人の行う事業に対して、事務所・事業所がある都道府県が課税する地方税です。道路や消防などの行政サービスを事業活動が利用していることへの応分の負担という考え方にもとづきます。個人事業税の法人版にあたります。
課税の基本は、法人の所得を課税標準とする所得割です。所得の計算は法人税の所得の計算におおむねならいます。申告納税方式で、申告・納付の期限は法人税と同じく、原則として事業年度終了の日の翌日から2か月以内です。
外形標準課税
資本金1億円を超える法人には、所得割に加えて、外形標準課税が適用されます。所得(もうけ)ではなく、事業の規模という外から見える基準(外形)にも課税する仕組みで、次の2つが加わります。
- 付加価値割: 報酬給与額・純支払利子・純支払賃借料と単年度損益の合計(付加価値額)を課税標準とします。
- 資本割: 資本金等の額を課税標準とします。
外形標準課税の対象法人は、赤字の年度でも付加価値割・資本割の負担が生じます。大規模な法人は赤字でも行政サービスを利用しているため、応分の負担を求める趣旨です。
なお、令和6年度税制改正により、減資への対応として対象範囲が見直されました。前事業年度に外形標準課税の対象だった法人は、当該事業年度終了の日の資本金が1億円以下であっても、資本金と資本剰余金の合計額(払込資本)が10億円を超える場合には、引き続き外形標準課税の対象となります。
特別法人事業税
法人事業税とあわせて、特別法人事業税(国税)を申告・納付します。地域間の税収の偏りを調整するため、法人事業税の一部を国税として集め、都道府県に再配分する仕組みです。国税ですが、申告・納付は法人事業税と一体で都道府県に対して行います。
法人税との接点(損金算入)
法人税・法人住民税は損金になりませんが、法人事業税(特別法人事業税を含む)は損金に算入されます。事業税は事業活動のコストという性格を持つためです。損金になる時期は、原則として申告書を提出した日の属する事業年度です。当期の事業税が翌期の損金になる、という時間のずれが生じます。
| 法人3税 | 損金の扱い |
|---|---|
| 法人税 | 損金不算入 |
| 法人住民税 | 損金不算入 |
| 法人事業税(特別法人事業税を含む) | 損金算入 |
ポイント
「法人税・法人住民税は損金不算入、法人事業税は損金算入」。法人3税の中で事業税だけが損金になるという対比は、法人税のレッスンで学んだ租税公課の扱いの中でも、最も問われやすい組合せです。
注意
法人事業税が損金になるのは、原則として申告書を提出した事業年度です。発生した当期ではなく、申告した翌期の損金になるという時期のずれがあります。「損金になるか」と「いつ損金になるか」を分けて押さえましょう。
例題
次の空欄にあてはまる語句を選んでみましょう。
法人事業税の外形標準課税(付加価値割・資本割)は、原則として資本金が( )を超える法人に適用される。
答え合わせ
1億円です。外形標準課税は、資本金1億円超の大法人を対象に、所得割に加えて付加価値割と資本割を課す仕組みです。所得ではなく事業の規模に着目するため、赤字の年度でも負担が生じます。1億円という基準は、法人税の中小法人の軽減税率(年800万円以下の部分15%)や交際費の定額控除(年800万円)の判定でも登場します。「資本金1億円」が中小と大法人を分ける税務上の代表的な境界線だと押さえておきましょう。
応用
もう一問、法人3税の損金の扱いを整理しましょう。
法人税・法人住民税・法人事業税のうち、法人税の所得の計算上、損金の額に算入されるものはどれか。
答え合わせ
法人事業税です。法人事業税(あわせて納付する特別法人事業税を含む)は、事業活動のコストという性格から損金に算入されます。損金になる時期は原則として申告書を提出した日の属する事業年度で、当期分が翌期の損金になるという時間のずれがあります。一方、法人税と法人住民税は、所得(もうけ)そのものに対する税金であるため損金になりません。罰金や延滞税も損金不算入です。「何に対する負担か」という税金の性格から損金かどうかを導けるようにすると、暗記に頼らず判定できます。
分からなかった点・気になった点
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この章の問題を解く
章のまとめへ- 法人税の損金に算入される税金の選択解く
- 赤字法人の均等割の納付義務の判定解く
- 損金の額に算入される役員給与の選択解く
- 中小法人の年800万円以下の部分の税率の選択解く
- 届出をしなかった場合の法定償却方法の選択解く