不動産の取得・保有に係る税金
不動産取得税と登録免許税の課税の場面の違い、固定資産税の住宅用地特例(6分の1・3分の1)と都市計画税の仕組みを判断できるようになります。
ねらい
不動産を取得したとき、持ち続けているときにかかる税金を学びます。このレッスンを終えると、不動産取得税と登録免許税がかかる場面とかからない場面を区別でき、固定資産税の納税義務者と住宅用地の課税標準の特例(6分の1・3分の1)を使った判断ができるようになります。
ストーリー
親から実家を相続した三好さんは、「不動産を取得したのだから不動産取得税がかかるはず」と納税の準備をしていました。ところが調べると、相続による取得には不動産取得税はかからないといいます。「同じ『取得』なのに、なぜ違うのか」。不動産の税金は、取得の原因と場面で扱いが細かく分かれます。
不動産の税金は、取得したときにかかるものと、保有しているあいだ毎年かかるものに大きく分かれ、それぞれ課税する主体(国・都道府県・市町村)が異なります。
不動産取得税
不動産取得税は、不動産の取得に対して都道府県が課税する地方税です。売買・交換・贈与・新築・増改築による取得が課税の対象になり、有償か無償か、登記をしたかどうかを問いません。
ポイント
相続による取得には、不動産取得税は課されません。相続は本人の意思による取引ではなく、包括的な承継だからです。一方、贈与による取得には課税されます。相続と贈与で扱いが分かれることが、この税金の最重要ポイントです。
課税標準は、実際の購入価格ではなく固定資産税評価額です。税率は本則4%で、土地と住宅には3%とする特例が設けられています。また、一定の新築住宅では課税標準から1,200万円を控除でき、宅地は課税標準を2分の1とする特例があります。これらの特例には適用期限があり、土地・住宅を3%とする税率特例と宅地の課税標準を2分の1とする特例は、いずれも令和9年3月31日までの取得が対象です。新築住宅の課税標準からの控除額は1戸あたり1,200万円(認定長期優良住宅は1,300万円)で、床面積が50平方メートル以上240平方メートル以下であることなどが要件です。
登録免許税
登録免許税は、不動産の登記を受けるときに課される国税です。所有権保存登記・移転登記・抵当権設定登記などが対象で、課税標準は原則として固定資産税評価額(抵当権設定登記は債権金額)です。
不動産取得税と異なり、相続による所有権移転登記にも課税されます。「取得税は相続非課税、登録免許税は相続でも課税」という対比で覚えます。本則の税率は、登記の種類によって次のとおりです。
| 登記の種類 | 本則税率 |
|---|---|
| 所有権の保存登記 | 0.4% |
| 売買・贈与等による所有権の移転登記 | 2.0% |
| 相続・合併による所有権の移転登記 | 0.4% |
住宅用家屋には、床面積などの要件を満たすとさらに低い軽減税率が適用されます。
このほか、売買契約書には印紙税が、建物の購入には消費税(土地は非課税)がかかります。
固定資産税
固定資産税は、毎年1月1日現在の固定資産の所有者(固定資産課税台帳に登録された人)に、固定資産の所在する市町村が課税する地方税です。年の途中で売却しても、その年度の納税義務者は1月1日時点の所有者のままです。実務では、売買契約で固定資産税を日割り精算する慣行がありますが、これは当事者間の精算であり、納税義務者が変わるわけではありません。
課税標準は固定資産税評価額で、標準税率は1.4%です。
住宅用地の課税標準の特例
住宅の敷地(住宅用地)には、課税標準を大きく引き下げる特例があります。
| 区分 | 範囲 | 課税標準 |
|---|---|---|
| 小規模住宅用地 | 住宅1戸あたり200平方メートル以下の部分 | 固定資産税評価額の6分の1 |
| 一般住宅用地 | 200平方メートルを超える部分 | 固定資産税評価額の3分の1 |
計算例で確かめます。固定資産税評価額1,800万円の住宅用地180平方メートル(小規模住宅用地)の固定資産税の課税標準は、1,800万円×6分の1で300万円です。標準税率1.4%を掛けると、税額は4万2,000円になります。
このほか、床面積などの要件を満たす新築住宅には、新たに課税される年度から3年度分(3階建て以上の耐火・準耐火建築物は5年度分)、1戸あたり120平方メートル相当分までの税額を2分の1に減額する特例があります。認定長期優良住宅では、この期間が5年度分(3階建て以上の耐火・準耐火建築物は7年度分)に延長されます。この減額特例は令和13年3月31日までに新築された住宅が対象です。
都市計画税
都市計画税は、原則として市街化区域内の土地・家屋の所有者に、市町村が固定資産税とあわせて課税する目的税です。税率は0.3%を上限とする制限税率で、住宅用地には課税標準を小規模住宅用地で3分の1、一般住宅用地で3分の2とする特例があります。固定資産税の6分の1・3分の1との混同に注意が必要です。
注意
住宅用地の課税標準の特例は、固定資産税と都市計画税で割合が違います。小規模住宅用地は固定資産税が6分の1・都市計画税が3分の1、一般住宅用地は固定資産税が3分の1・都市計画税が3分の2です。どちらの税金の話かを確かめてから割合を当てはめましょう。
例題
次の記述が適切か、不適切かを考えてみましょう。
相続により不動産を取得した場合、不動産取得税は課されないが、相続による所有権移転登記を受ける際の登録免許税は課される。
答え合わせ
適切です。不動産取得税は、売買・贈与・新築などの取得に課され、相続による取得には課されません。一方、登録免許税は登記を受けること自体に課される税金なので、相続登記にも課税されます。「相続」という同じ場面でも、取得に着目する税金と登記に着目する税金で扱いが分かれる点が、この論点の核心です。なお、贈与による取得には不動産取得税も登録免許税もどちらも課されるという対比も、あわせて整理しておきましょう。
応用
もう一問、住宅用地の特例を計算してみましょう。
Aさんは、固定資産税評価額1,800万円の住宅用地180平方メートル(住宅1戸の敷地・小規模住宅用地に該当)を所有している。固定資産税の課税標準はいくらになるか。また、標準税率1.4%とした場合の固定資産税額はいくらか。
答え合わせ
課税標準は300万円、税額は4万2,000円です。住宅1戸あたり200平方メートル以下の小規模住宅用地は、課税標準が固定資産税評価額の6分の1になります。1,800万円×6分の1で300万円が課税標準となり、標準税率1.4%を掛けた4万2,000円が税額です。特例を使わずに1,800万円×1.4%=25万2,000円と計算すると大きく誤ります。200平方メートルを超える部分は3分の1、都市計画税では3分の1と3分の2という別の割合になることも、組で覚えましょう。住宅を取り壊して更地にするとこの特例が使えなくなり、税負担が跳ね上がる点は、実務の注意点です。
分からなかった点・気になった点
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この章の問題を解く
章のまとめへ- 返還を要する敷金の収入計上の判定解く
- 消費税が非課税となる貸付けの選択解く
- 譲渡した年の1月1日による所有期間の判定解く
- 居住用財産の特例を併用した税額の計算解く
- 土地と建設資金を出し合う有効活用手法の選択解く