ソリューションビジネス
顧客の経営課題を解決するソリューションビジネスの考え方と、SaaS・PaaS・IaaSといったクラウドサービス、ホスティング・ハウジングなどの提供形態を区別できるようになります。
ねらい
ITを「売る側」の視点を学びます。このレッスンを終えると、ソリューションビジネスの基本的な考え方と、クラウドサービスをはじめとする代表的なソリューションサービスの種類・特徴を説明できるようになります。
ストーリー
ある小売店の店主が「売上を伸ばしたい」とIT企業に相談しました。IT企業の担当者は、いきなり製品を売り込むのではなく、まず在庫管理や顧客対応の課題を一緒に洗い出し、解決策を提案しました。モノを売るのではなく、課題の解決を売る。これがソリューションビジネスです。
ソリューションビジネスとは
情報技術の進展や経営を取り巻く環境の複雑化によって、顧客の経営課題を解決するサービスを提案・提供するソリューションビジネスが発展しました。サービスの提供を通じて顧客の課題を探り、解決策を提案すること、そして顧客との信頼関係の構築と維持が重要です。
こうしたサービスを提供する事業者をソリューションプロバイダと呼びます。提供の形には、業務システム提案、業務パッケージの提供、問題解決支援、複数の製品やサービスを組み合わせてシステムを構築するシステムインテグレーションなどがあります。業種別、業務別、課題別に、CRMソリューションやセキュリティソリューションといった様々なサービスが提供されています。
クラウドサービス
代表的なソリューションサービスがクラウドサービスです。ネットワーク経由でコンピュータ資源をサービスとして利用する形態で、どの層まで提供するかによって次のように分かれます。
| 種類 | 提供されるもの | 利用者が用意するもの |
|---|---|---|
| SaaS | アプリケーションソフトウェアまで | ほぼなし(設定とデータ) |
| PaaS | アプリケーションの開発・実行基盤まで | アプリケーション |
| IaaS | サーバや記憶装置などの基盤資源 | OSより上の環境とアプリケーション |
これに対して、自社の設備でシステムを保有・運用する形態をオンプレミスと呼びます。オンプレミスからIaaS・PaaSを経てSaaSに進むほど、サーバ等の基盤・開発実行基盤・アプリケーションという層のうち、事業者が用意する範囲が下の層から上の層へと広がっていきます。
クラウドの設置・利用形態には、不特定多数の利用者が共用するパブリッククラウド、特定の組織専用のプライベートクラウド、両者を組み合わせるハイブリッドクラウド、データの保管場所や適用される法制度を特定の国・地域に限定するソブリンクラウドがあります。また、クラウドの利用を前提にシステムを設計する考え方をクラウドネイティブ、システム導入時にクラウドの採用を第一候補として検討する方針をクラウドバイデフォルトと呼びます。
そのほかの提供形態
クラウド以前から使われてきた形態も出題されます。
- ASPは、アプリケーションをネットワーク経由で提供する事業者・サービスです。SaaSの先駆けにあたります。
- アウトソーシングサービスは、システムの運用などの業務を外部に委託するサービスです。
- ホスティングサービスは、事業者が保有するサーバを貸し出すサービスです。
- ハウジングサービスは、顧客が保有するサーバを設置する場所(回線や電源の整った施設)を貸し出すサービスです。
ホスティングとハウジングは、「サーバが誰のものか」で区別しましょう。サーバごと借りるのがホスティング、置き場所だけ借りるのがハウジングです。このほか、サービスの組合せでシステムを構築するSOA(サービス指向アーキテクチャ)も、ソリューションを支える考え方です。
例題
次の問いに答えてください。
問1 アプリケーションの開発・実行基盤までをネットワーク経由で提供し、利用者は自分のアプリケーションだけを用意すればよいクラウドサービスの種類は何ですか。
問2 顧客が保有するサーバを設置するための、回線や電源の整った場所を貸し出すサービスを何といいますか。
解答と解説
問1の答えはPaaSです。基盤資源だけのIaaS、アプリケーションまで提供するSaaSとの層の違いを押さえましょう。
問2の答えはハウジングサービスです。サーバ自体を貸し出すホスティングサービスとの違いは、サーバの所有者が顧客か事業者かという点です。
応用
本試験を意識した問題を解いてみましょう。
問 クラウドの利用形態のうち、データの保管場所や適用される法制度を特定の国・地域に限定することを特徴とするものはどれでしょうか。次の中から選んでください。
- ソブリンクラウド
- パブリッククラウド
- ハイブリッドクラウド
- クラウドネイティブ
解答と解説
答えは1のソブリンクラウドです。データ主権(ソブリンティ)の考え方に基づき、データの保管場所や適用される法制度を特定の国・地域に限定します。2のパブリッククラウドは不特定多数の利用者が共用する形態であり、場所や法制度の限定を特徴とするものではありません。3のハイブリッドクラウドはパブリッククラウドとプライベートクラウドを組み合わせる形態です。4のクラウドネイティブは、クラウドの利用を前提にシステムを設計する考え方であり、利用形態の分類ではありません。
分からなかった点・気になった点
読み込み中です。