プロジェクトの時間
活動の順序付けからスケジュール管理まで、4つの見積り手法、PERTとクリティカルパス法によるスケジュールネットワーク分析を理解できるようになります。
ねらい
スケジュールの立て方と守り方を学びます。このレッスンを終えると、時間の対象群のプロセス、期間見積りの4つの手法、クリティカルパスの考え方と計算を説明できるようになります。
ストーリー
「どこか1日短縮すれば、全体も1日早く終わるはず」。そう考えて、あるチームの作業を急がせましたが、完成日は1日も早まりませんでした。急がせた作業は、実は待ち時間に余裕のある作業だったのです。全体の完成日を握っている経路はどこか。それを見つける道具がこのレッスンの主役です。
時間の対象群のプロセス
スコープのレッスンで作った活動リストを受けて、次の流れでスケジュールを作り、守ります。
- 活動の順序付けで、活動どうしの依存関係(活動順序)を定めます。
- 活動期間の見積りで、各活動の所用期間を見積もります。
- スケジュールの作成で、順序と期間とスケジュールの制約からスケジュールを組み立てます。
- スケジュールの管理で、進捗を監視し、ずれに対処します。
期間見積りの手法
| 手法 | 内容 |
|---|---|
| 類推見積り | 過去の似たプロジェクトの実績から見積もる |
| パラメトリック見積り | 単位あたりの生産性などの係数を使って計算で見積もる |
| 三点見積り | 楽観値・最可能値・悲観値の3点から見積もる |
| ボトムアップ見積り | 細かい作業ごとに見積もり、積み上げる |
スケジュールネットワーク分析:クリティカルパスを見つける
活動の依存関係を網の目で表し、分析する手法をスケジュールネットワーク分析といいます。代表的な技法がPERTとCPM(クリティカルパス法)で、活動を節で表して依存関係を矢線で結ぶ図法をPDM(プレシデンスダイアグラム法)といいます。
クリティカルパスの計算
開始から終了までの経路のうち、所要期間の合計が最も長い経路をクリティカルパスといいます。この経路上の活動が1日遅れると、プロジェクト全体が1日遅れます。逆に、クリティカルパス上にない活動には余裕があり、多少遅れても全体には響きません。
例で確かめましょう。作業Aが3日、Aの後に作業B(5日)と作業C(4日)が並行で始まり、Cの後に作業D(3日)、BとDの両方が終わったら作業E(2日)という計画です。
- 経路1はAからBを通ってEへ。3日と5日と2日で合計10日です。
- 経路2はAからCとDを通ってEへ。3日と4日と3日と2日で合計12日です。
長いほうの経路2がクリティカルパスで、プロジェクトの最短完成日数は12日です。経路1のBには2日の余裕があるため、冒頭の失敗のようにBを急がせても完成日は変わりません。短縮したいなら、クリティカルパス上の作業を短縮する必要があります。
スケジュールの道具と短縮の技法
依存関係の分析にはアローダイアグラム(PERT図)を使い、日々の管理には、活動を横棒で表して進捗を見やすくするガントチャートを使います。節目となる時点はマイルストーンとして計画に置き、全体は大日程計画表(マスタスケジュール)、工程別の中日程計画表、週間の小日程計画表という階層で管理し、進捗報告を重ねます。全体を粗く見る大日程の中に工程別の中日程があり、その中に週間の小日程があるという、外側から内側へ入れ子になった階層です。
スケジュールを短縮する技法には2つあります。クラッシングは、クリティカルパス上の活動に資源を追加して期間を縮めます。ファストトラッキングは、順に行う予定だった活動を並行して進めます。また、活動間の待ち時間をラグ、前倒しをリードといい、出来高で進捗とコストを測るEVMは次のレッスンで扱います。
例題
次の問いに答えてください。
問1 楽観値・最可能値・悲観値の3つの値から期間を見積もる手法を何といいますか。
問2 クリティカルパス上の活動が1日遅れると、プロジェクト全体の完成日はどうなりますか。
解答と解説
問1の答えは三点見積りです。不確実さを幅で捉えることで、1点の見積りより現実的な計画になります。
問2の答えは、1日遅れます。クリティカルパスには余裕がないため、その上の遅れはそのまま全体の遅れになります。
応用
本試験を意識した問題を解いてみましょう。
問 作業Aが3日、Aの完了後に作業B(5日)と作業C(4日)が並行して始まり、Cの完了後に作業D(3日)、BとDの両方の完了後に作業E(2日)を行います。プロジェクトの最短完成日数は何日でしょうか。次の中から選んでください。
- 10日
- 12日
- 14日
- 17日
解答と解説
答えは2の12日です。経路はAからBを経てEに至る10日(3足す5足す2)と、AからCとDを経てEに至る12日(3足す4足す3足す2)の2本で、最短完成日数は長いほうの経路、つまりクリティカルパスの12日で決まります。1の10日は短いほうの経路を選んだ誤りで、Eの開始はBとDの両方の完了を待つ必要があります。3の14日は先頭の作業Aを数え漏らして残りを足し合わせたときなどに出る誤りです。4の17日はすべての作業を直列に足した誤りで、BとCからDは並行して進められることを見落としています。
分からなかった点・気になった点
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