プロジェクトのコスト
コスト見積りから予算・管理までの流れ、ファンクションポイント法やCOCOMO、EVMによる出来高管理を理解できるようになります。
ねらい
お金の計画と管理を学びます。このレッスンを終えると、コストの対象群のプロセス、規模と工数の見積り手法、EVMによる進捗とコストの定量的な把握を説明できるようになります。
ストーリー
「予算の半分を使いました」。この報告だけでは、順調なのか危ないのか分かりません。仕事の半分が終わって半分使ったなら計画どおり。3割しか終わっていないのに半分使ったなら赤信号です。使ったお金と、生み出した価値。両方を測って初めて、プロジェクトの健康状態が見えます。
コストの対象群のプロセス
コストの対象群は、次の流れで進みます。
- コストの見積りで、活動に必要な費用を見積もります。
- 予算の作成で、見積りを積み上げて予算を確定し、時間軸に沿った基準であるコストベースラインを定めます。
- コストの管理で、実コストを監視し、完成までの予想コストを更新しながら、ベースラインとのずれに対処します。
見積りの手法
時間のレッスンで学んだ類推見積り、パラメトリック見積り、三点見積り、ボトムアップ見積りは、コストの見積りでも使います。ソフトウェア開発に固有の手法も押さえましょう。
| 手法 | 内容 |
|---|---|
| ファンクションポイント法 | 画面や帳票などの機能の数と複雑さから規模を見積もる。利用者から見える機能で測るため、言語に依存しない |
| LOC法 | プログラムの行数(Lines of Code)から規模を見積もる |
| COCOMO、COCOMOⅡ | 規模の見積りから、係数を使って工数や期間を算出するモデル |
EVM:出来高で健康状態を測る
EVM(Earned Value Management)は、進捗とコストを金額という同じ物差しで測る管理手法です。3つの値を使います。
- PV(計画価値)は、この時点までに終わっているはずの作業の予算額です。
- EV(出来高)は、実際に終わった作業の予算額です。
- AC(実コスト)は、実際に使った金額です。
EVとPVの差がスケジュールのずれ、EVとACの差がコストのずれを表します。たとえばPVが500万円、EVが400万円、ACが450万円なら、EVからPVを引いた値はマイナス100万円で作業が遅れており、EVからACを引いた値はマイナス50万円で予算を超過しています。冒頭の「半分使いました」に足りなかったのは、EVという出来高の視点です。
例題
次の問いに答えてください。
問1 画面や帳票などの機能の数と複雑さから、ソフトウェアの規模を見積もる手法を何といいますか。
問2 EVMで、実際に完了した作業を予算額で表した値を何といいますか。
解答と解説
問1の答えはファンクションポイント法です。利用者から見える機能で測るため、プログラム言語の違いに左右されない点が特徴です。
問2の答えはEV(出来高)です。計画上の予定額であるPV、実際の支出であるACと組み合わせて、遅れと超過を定量的に把握します。
応用
本試験を意識した問題を解いてみましょう。
問 EVMで管理しているプロジェクトの、ある時点のEV(出来高)が400万円、AC(実コスト)が450万円でした。コストの状況の評価として適切なものはどれでしょうか。次の中から選んでください。
- コスト差異はマイナス50万円で、予算を超過している
- コスト差異はプラス50万円で、予算内に収まっている
- コスト差異はマイナス100万円で、スケジュールが遅延している
- 出来高が実コストを下回っているため、コスト効率は良好である
解答と解説
答えは1です。コスト差異はEVからACを引いて求めます。400万円から450万円を引くとマイナス50万円で、生み出した価値より多くの費用を使っている、つまり予算超過の状態です。2は符号の解釈が逆です。マイナスの差異は超過を意味します。3はスケジュール差異と取り違えています。スケジュールの評価はEVとPVの比較で行い、この問題ではPVが与えられていません。4は誤りです。出来高が実コストを下回っている状態は、コスト効率が悪いことを意味します。
分からなかった点・気になった点
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