輸出許可の要否を判断する3つの段階
貨物を輸出するとき、リスト規制の該当性、輸出への該当性、特例の適用可否という3つの段階で経済産業大臣の輸出許可の要否を判断できるようになります。
この節で学ぶこと
- 輸出許可の要否を、決まった順序の3つの段階で判断できるようになります。
- 各段階がどの章の内容と対応するかを整理し、この章で扱う範囲を説明できるようになります。
覚えること
- 輸出許可の要否は、次の3つの段階で順に判断します。
- 貨物がリスト規制に該当するか。輸出令別表第1の項番と貨物等省令の仕様で判定します(第4章で学んだ該非判定)。
- 行おうとする行為が輸出にあたるか。貨物を本邦から外国へ向けて送付することが輸出です。
- 特例が適用できるか。該当貨物の輸出でも、輸出令第4条に列挙された場合には許可が不要になります。
- 3つの段階のどれか1つでも外れれば、外為法第48条第1項の輸出許可は不要です。リスト規制に該当し、輸出にあたり、特例も使えないときに、経済産業大臣の輸出許可が必要になります。
1. なぜ3つの段階に分かれるのか
外為法第48条第1項は、政令で定める特定の種類の貨物を、政令で定める特定の地域へ輸出しようとする者に、経済産業大臣の許可を義務づけています。この条文を実際の取引に当てはめるには、貨物の側の条件と、行為の側の条件を分けて確かめる必要があります。
貨物の側の条件が、リスト規制の該当性です。輸出令第1条第1項は、許可の対象を「別表第一中欄に掲げる貨物の同表下欄に掲げる地域を仕向地とする輸出」と定めます。1から15までの項の下欄は全地域です。そのため、該当貨物であれば仕向地がどこの国でも許可の対象になります。
行為の側の条件が、輸出への該当性です。販売でも、無償のサンプル送付でも、ハンドキャリーでの持ち出しでも、貨物が本邦から外国へ向けて送付されるなら輸出にあたります。反対に、国内で完結する納品は輸出にあたりません。この線引きは次の節でくわしく扱います。
最後に、特例の確認が残ります。外為法第48条第1項の義務は、輸出令第4条が列挙する場合には適用されません。修理のために輸入した貨物を修理後に返送する場合や、総価額が小さい場合などが列挙されています。この章の後半は、この特例の中身を扱います。
2. この章で扱う範囲
この章は、3つの段階のうち2番目(輸出への該当性)と3番目(特例)、および許可の種類(個別許可と包括許可)を扱います。1番目のリスト規制の該当性は第4章で扱いました。許可が必要になった後の申請の手続は第11章で扱います。
3. 注意すべきこと
試験で気をつける点
- 3つの段階の順序を守って判断します。特例の検討は、リスト規制に該当し輸出にあたることを確かめた後です。該当しない貨物に特例を持ち出す必要はありません。
- 「グループA向けだから許可は不要」という判断は誤りです。1から15までの項の下欄は全地域であり、仕向地で対象が絞られるのは16の項(キャッチオール規制)です。
実務で気をつける点
- 許可の要否の判断は、判断した根拠(該非判定の結果・特例の該当条項)を記録に残します。輸出令第5条第1項により、税関は輸出申告の際に許可の要否を確認します。
4. 根拠法令
- 外為法第48条第1項(輸出の許可等)。政令で定める特定の種類の貨物を、政令で定める特定の地域へ輸出する者に、経済産業大臣の許可を義務づけます。
- 輸出令第1条第1項(輸出の許可)。許可の対象を「別表第一中欄に掲げる貨物の同表下欄に掲げる地域を仕向地とする輸出」と定めます。
- 輸出令第4条第1項(特例)。「法第四十八条第一項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない」と定め、許可が不要になる場合を列挙します。
- 条文は e-Gov 法令検索の各法令で確認しています。
5. 理解度の確認
次の記述が正しいか、誤りかを判断してみましょう。
問1 リスト規制に該当する貨物であっても、輸出令第4条の特例に該当する場合には、外為法第48条第1項の輸出許可を受けずに輸出できる。
答え: 正しいです。輸出令第4条第1項は、列挙した場合に外為法第48条第1項を適用しないと定めています。
問2 貨物が輸出令別表第1の中欄に掲げる品目にあたるかどうかを確かめる前に、まず特例が使えるかを検討するのが正しい順序である。
答え: 誤りです。リスト規制の該当性、輸出への該当性を確かめた後に、特例の適用可否を検討します。該当しない貨物には許可の義務がそもそも生じません。
分からなかった点・気になった点
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この章の問題を解く
章のまとめへ- 輸出令第4条第1項の柱書は、法第48条第1項の規定は次に掲げる場合には適用しない、と定めている。解く
- X社は、災害の被災地へ送る人道支援の物資として、リスト規制に該当する浄水装置を無償で輸出する。人道支援を目的とする輸出であるから、輸出許可は不要である。解く
- A大学は、共同研究のためリスト規制に該当する測定器をB国の研究機関へ輸出する。学術研究のための輸出であるから、輸出許可は不要である。解く
- X社は、政府開発援助として行う事業のためにリスト規制該当貨物を輸出する。この場合でも、輸出令第4条第1項に列挙されていない以上、輸出許可は必要である。解く
- X社は、リスト規制に該当する貨物をA国のY社へ輸出する。用途を確認したところ民生用途であることが明らかだった。民生用途であることが明らかであるから、輸出許可は不要である。解く