許可申請の全体像と申請の流れ
輸出許可・役務取引許可の申請から許可証の交付、税関の確認までの流れを、申請書の様式と添付書類、電子申請のしくみとあわせて説明できるようになります。
この節で学ぶこと
- 許可申請が、申請書の提出から許可証の交付、税関の確認までどう流れるかを説明できるようになります。
- 申請書の様式と通数、電子申請のしくみを条文に結びつけて確かめられるようになります。
覚えること
- 輸出許可の申請は、輸出貿易管理規則第1条が手続を定めます。申請者は、別表第一で定める様式による輸出許可申請書を二通、経済産業大臣に提出します。役務取引の許可申請は貿易外省令第1条が定め、こちらも様式による許可申請書を二通提出します。
- 経済産業大臣は、申請を許可したときは申請書にその旨を記入し、輸出許可証として一通を申請者に交付します(規則第1条第4項)。許可証が、輸出の場面で許可を受けたことを示す文書になります。
- 申請は電子情報処理組織(NACCS)を使った電子申請で行います(規則第1条の2)。令和4年7月1日以降、電子申請が原則で、書面によれるのは電子申請に対応していない手続や、障害・災害などで電子申請が困難と認められる場合に限られます(運用通達1-1(9)・原文確認済み)。
- 輸出申告の際は、税関が、輸出者が許可を受けていること、または許可を要しないことを確認します(輸出令第5条第1項)。許可を受けて終わりではなく、税関の確認を通って初めて輸出できます。
- 電子申請(NACCS)の実務上の運用は、特定手続等運用通達(電子情報処理組織を使用して行う特定手続等の運用について)が定めます。名前の近い運用通達(輸出貿易管理令の運用について)とは別の通達です。どちらの通達の何号を引いているかは、条番号だけでなく正式名称もあわせて確認します。
1. なぜ手続が省令で細かく決まっているのか
外為法第48条第1項は「経済産業大臣の許可を受けなければならない」と定めるだけで、どう申請するかは書いていません。様式・通数・提出先という手続の細部は、法律より改正しやすい省令(輸出貿易管理規則・貿易外省令)に委ねられています。
手続が様式で統一されているのは、審査する側がどの申請でも同じ項目を同じ場所で確かめられるようにするためです。申請者にとっても、様式の項目を順に埋めることが、取引の内容(貨物・仕向地・需要者・用途)を自分で整理し直す機会になります。
2. 申請の流れ
- 申請の前に、該非判定(第8章)と特例の確認(第5章・第7章)を終え、許可が必要な取引であることを確定させます。
- 判断に迷う点がある取引は、申請の前に経済産業省へ相談できます(事前相談)。事前相談手続通達は、該非の疑義がある場合(1の項・特定技術などのほか、条文の規定だけでは判断が困難な場合)と、輸出令別表第4に掲げる地域向けの許可申請前の相談について、様式と手順を定めています(原文確認済み)。許可事務の窓口は本省の安全保障貿易審査課、経済産業局又は沖縄総合事務局で、どの申請をどこが扱うかは運用通達別表第1の事務取扱区分が定めます(1-1(1)・原文確認済み)。輸出令第12条により税関長に権限が委任されているときは税関が行います。
- 様式に従って申請書を作成し、添付書類(次の節で扱います)とともに提出します。電子申請では、NACCSの申請様式に記載すべき事項を入力します。
- 経済産業省が需要者と用途を審査し、許可のときは許可証が交付されます。
- 輸出申告の際に、税関が許可証などで許可の有無を確認します。
3. 注意すべきこと
試験で気をつける点
- 申請先はどの場合も経済産業大臣です。税関に許可を申請するという記述は、申請と申告の混同で誤りです。税関の役割は輸出申告の際の確認(輸出令第5条第1項)です。
- 本省と経済産業局の窓口の区分を入れ替える出題に注意します。区分の定めは運用通達別表第1(事務取扱区分)にあります。
実務で気をつける点
- 申請から許可までの審査期間を見込んで、船積みの日程より十分前に申請します。事前相談を使う場合はさらに前倒しが要ります。
4. 根拠法令
- 輸出貿易管理規則第1条・第1条の2。申請書の様式・通数・電子申請の手続を定めます。
- 貿易外省令第1条。役務取引の許可申請書の様式と通数を定めます。
- 輸出令第5条第1項。税関の確認を定めます。
- 運用通達1-1(1)(窓口=安全保障貿易審査課・経済産業局・沖縄総合事務局と別表第1の事務取扱区分)・1-1(9)(令和4年7月1日以降の電子申請の原則)。原文で確認済みです(2026-08-05)。
- 事前相談手続通達。該非の疑義がある場合の事前相談と、別表第4地域向けの申請前相談の様式・手順を定めます。原文で確認済みです(2026-08-06)。
- 特定手続等運用通達(電子情報処理組織を使用して行う特定手続等の運用について)。NACCSを使った電子申請の実務上の運用を定めます。DOM番号の割り当てと原文の号番号での照合は今後の課題で、正式名称のみCISTEC「輸出管理用語集」の対応表で確認済みです。
5. 理解度の確認
次の記述が正しいか、誤りかを判断してみましょう。
問1 リスト規制に該当する貨物の輸出許可は、輸出申告の際に税関に申請する。
答え: 誤りです。許可の申請先は経済産業大臣です。税関は輸出申告の際に、許可を受けていること、または許可を要しないことを確認する役割です。
問2 輸出許可の申請は、輸出貿易管理規則の様式による申請書を提出して行うほか、電子情報処理組織を使用した電子申請でも行える。
答え: 正しいです。書面の申請は規則第1条、電子申請は規則第1条の2が定めます。
問3 電子申請(NACCS)の実務上の運用を定める通達と、輸出貿易管理令の解釈・運用を定める運用通達は、同じ1つの通達である。
答え: 誤りです。電子申請の実務上の運用は特定手続等運用通達が、輸出貿易管理令の解釈・運用は運用通達が定めます。名前が近いため、条番号を引くときは正式名称もあわせて確認します。
分からなかった点・気になった点
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この章の問題を解く
章のまとめへ- 許可を申請するのは、輸出や技術提供を行う本人(法人)である。解く
- 授権証明書は、代表者が社内の担当者に申請の権限を与えたことを示す書面である。解く
- 委任状は、申請の手続を他社に委ねるときの書面である。解く
- X社は、輸出許可の申請手続を通関業者Y社に委ねることにした。担当者は、そのために授権証明書を用意した。解く
- 授権証明書や委任状を使っても、許可を受ける主体は輸出者・提供者の法人のままである。解く