該非判定の全体像と判定の責任
該非判定が何を確かめる作業かを整理し、判定の責任が輸出者にあること、判定の結果を記録して立証できる形に残すことの意味を説明できるようになります。
この節で学ぶこと
- 該非判定が何を確かめる作業かを、規制の全体の中に位置づけて説明できるようになります。
- 判定の責任の所在と、記録の意味を説明できるようになります。
覚えること
- 該非判定とは、輸出しようとする貨物や提供しようとする技術が、リスト規制に該当するかしないかを判定する作業です。貨物は輸出令別表第1と貨物等省令、技術は外為令別表と貨物等省令に当てはめます。
- 判定の責任は輸出者・提供者にあります。メーカーや取引先の判定書を参考にできますが、自社の輸出の判定責任は自社が負います。この、該非判定を輸出者自身の責任で行うという原則を自己判定と呼びます。
- 税関は輸出申告の際に許可の要否を確認します(輸出令第5条第1項)。輸出者は該非判定書などで判定の結果を示せるようにしておきます。
- 判定の結果は根拠とともに記録します。どの項番のどの括弧を見て、貨物等省令のどの条とどの数値で判断したか。この記録が、税関対応、社内監査、そして判定の見直しの土台になります。
1. なぜ判定の責任が輸出者にあるのか
自社の貨物の性能や仕様を最もよく知るのは、それを作り、扱う者です。行政が全ての輸出品を検査する体制は現実には成り立ちません。規制は、最も情報を持つ者に判定させ、行政と税関がそれを確認するという分担で設計されています。
この分担の帰結として、判定を誤れば無許可輸出の責任は輸出者に向かいます。「メーカーが非該当と言ったから」は、判定の参考にはなっても、責任を移す理由にはなりません。他社の判定書を使うときも、自社の輸出の条件(仕向地・用途・構成)に当てはまるかを自社で確かめます。
2. 判定の作業の全体像
該非判定は、次の2段階でできています。
- 項番の特定。貨物や技術が、別表のどの項のどの括弧にあたる可能性があるかを絞り込みます。品目の分類と、本体か部分品かの区別、技術なら設計・製造・使用のどの段階かの区別が入ります。
- 仕様の照合。特定した項番に対応する貨物等省令の条文と、貨物や技術の仕様(性能値・機能)を突き合わせます。
この2段階の進め方が、次の節からの主題です。第4章(貨物の省令の読み方)と第6章(技術の3層構造)で学んだ読み方が、ここで判定の手順として組み合わさります。
3. 注意すべきこと
試験で気をつける点
- 「該非判定はメーカーの義務であり、輸出者は判定書を受け取ればよい」という記述は誤りです。判定の責任は輸出者にあります。
- 該非判定と許可の要否の判断は別の段階です。該当と判定された貨物も、特例にあたれば許可は不要です(第5章・第7章)。
実務で気をつける点
- 判定の記録は、判定した人・日付・根拠(項番・省令の条・仕様値)・使った資料を1件ごとに残します。記録の無い判定は、後から正しさを示せません。
4. 根拠法令
- 輸出令第5条第1項。税関は輸出申告の際に、許可の要否を確認します。
- 輸出令別表第1・外為令別表・貨物等省令。判定の当てはめ先です。
- 運用通達1-1(8)。税関が該非に疑義を生じたときは、経済産業省の安全保障貿易審査課等に判定を依頼し、その通知によって確認を行います(原文確認済み・2026-08-05)。
- 判定に使う語の解釈は、運用通達の別掲「輸出令別表第1中解釈を要する語」(貨物)と役務通達別紙1(技術)が項ごとに定めます。いずれも原文を取得して確認済みです(2026-08-05・台帳 DOM-1823・DOM-1824)。
5. 理解度の確認
次の記述が正しいか、誤りかを判断してみましょう。
問1 該非判定の責任は輸出者にあり、メーカーの判定書を入手した場合でも、自社の輸出への当てはまりは自社で確かめる必要がある。
答え: 正しいです。判定書は参考資料であり、判定の責任は移りません。
問2 該非判定で「該当」と判定された貨物は、必ず経済産業大臣の輸出許可を受けなければ輸出できない。
答え: 誤りです。該当でも、輸出令第4条の特例(無償告示や少額特例など)の要件を満たせば許可を受けずに輸出できる場合があります。判定と許可の要否は段階を分けて考えます。
分からなかった点・気になった点
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この章の問題を解く
章のまとめへ- X社は、輸出する装置について該非判定書を作成した。該非判定書は、判定の結果と根拠を示す文書である。解く
- X社の担当者が、貨物等省令の基準値と自社製品の仕様値を1項目ずつ並べて照合した。この様式をパラメータシートという。解く
- X社は、部品メーカーY社の該非判定書を使おうとしている。担当者は、判定の対象が自社が輸出する製品と同じ型式・構成かを確かめた。解く
- X社は、Y社が3年前に作成した該非判定書を受け取った。担当者は、その判定が現行の法令の版で行われているかを確かめた。解く
- X社は、部品メーカーY社の該非判定書を受け取った。担当者は、項番・条・仕様値という根拠が書かれているかを確かめた。解く