該当と非該当の考え方(入口)
貨物がリスト規制に該当するか非該当かを判断する基本の流れと、非該当と判断した後にも確認が残る理由を説明できるようになります。
この節で学ぶこと
- 該当・非該当という言葉が、法令の何に対する判断なのかを説明できるようになります。
- 該当か非該当かを判断する基本の3段階(品目の特定・項番の当たり・仕様の照合)を説明できるようになります。
- 非該当と判断しても輸出管理が終わらない理由を説明できるようになります。
覚えること
- 該当とは、輸出しようとする貨物が輸出令別表第1の項番に掲げられ、かつ貨物等省令の仕様に合致することです。該当する貨物の輸出には、経済産業大臣の許可が必要です。
- 非該当とは、別表第1のどの項番の仕様にも合致しないことです。ただし非該当は「リスト規制の許可が不要」という意味であり、キャッチオール規制の確認は別に残ります。
- 判断は、貨物の性能・仕様を正確に把握することから始まります。カタログ値ではなく、設計値・実測値など根拠のある数値で照合します。
- 判断の結果は文書に残します。何の項番と何の条文に対して、どの仕様値で判断したかが記録の中心です。
1. 該当・非該当は「リストとの照合」の結果
該当・非該当は、感覚的な危険性の判断ではありません。輸出令別表第1と貨物等省令という2つの法令に、貨物の仕様を照合した結果です。
兵器や軍事用途に見えない貨物でも、仕様が省令の数値基準に合致すれば該当です。反対に、軍事転用が心配に思える貨物でも、どの項番の仕様にも合致しなければリスト規制としては非該当です。懸念の感覚と法令上の該当・非該当を分けて考えることが、輸出管理の出発点です。
この判断を実務では該非判定と呼びます。組織としての進め方・様式(パラメータシート・該非判定書)は第8章で扱います。本節では、判断の骨組みだけを押さえます。
2. 基本の3段階
該当か非該当かは、次の3段階で判断します。
| 段階 | すること | 使う法令 |
|---|---|---|
| 1 品目の特定 | 輸出する貨物が何か(名称・型式・性能・仕様)を根拠資料で確定する | (社内の設計・仕様資料) |
| 2 項番の当たり | 貨物の分野から、別表第1のどの項に関係しそうかを絞る | 輸出令別表第1 |
| 3 仕様の照合 | 絞った項番に対応する省令の条文と、貨物の仕様値を突き合わせる | 貨物等省令 |
段階2で「関係しそうな項がない」と即断しないことが大切です。別表第1の項番は分野の見出しにすぎず、対象の線引きは省令の条文にあります。見出しの印象で飛ばした項に、実は仕様が合致することがあります。
段階3の照合で、境界の言葉(以上・以下・超える・未満)と条件のつながり(及び・いずれか)を正確に読む方法は、前節までで学んだとおりです。
3. 非該当でも輸出管理は終わらない
非該当という結論は、リスト規制の許可が不要というだけの意味です。輸出管理には、リスト規制のほかにキャッチオール規制があります。
- リスト規制は「モノの性能」で規制します。該当すれば、仕向地がどこでも原則として許可が必要です。
- キャッチオール規制は「用途と需要者」で規制します。リスト規制に非該当の貨物でも、大量破壊兵器などに使われるおそれがあるときは許可が必要になります。
非該当の判定書があっても、輸出のたびに用途と需要者の確認が残ります。キャッチオール規制の仕組みは第9章で扱います。
4. 注意すべきこと
試験で気をつける点
- 「非該当であれば許可は一切不要」という記述は誤りです。キャッチオール規制の要件に当たれば許可が必要です。
- 該当・非該当を判断する基準は、別表第1だけではありません。仕様の線引きは貨物等省令にあります。「別表第1に品名がないから非該当」という判断の仕方は誤りです。
実務で気をつける点
- 判断の根拠にする仕様値は、営業カタログでなく設計・試験の一次資料から取りましょう。カタログ値は丸められていることがあり、境界付近の判断を誤らせます。
- 一度の判定結果を使い回さないことが大切です。省令の数値基準は改正で変わります。判定時点の法令の版を記録し、改正があれば照合し直します。
5. 根拠法令
- 外為法第48条第1項・輸出令第1条・別表第1。リスト規制該当貨物の輸出に許可を求める枠組みです。
- 貨物等省令第1条から第14条の2まで。別表第1の各項の中欄の委任を受けて、該当の線引きになる仕様を定めます。
- 条文は、e-Gov 法令検索の各法令(frontmatter に記載の法令版ID・各施行時点)で確認しています。
6. 理解度の確認
次の記述が正しいか、誤りかを判断してみましょう。
問1 リスト規制の該当・非該当は、輸出令別表第1の項番と貨物等省令の仕様の両方に照らして判断する。
答え: 正しいです。別表第1の項番は分野の枠を示し、該当の線引きになる仕様は貨物等省令が定めています。
問2 リスト規制に非該当と判定された貨物は、仕向地や用途にかかわらず許可なしで輸出できる。
答え: 誤りです。非該当はリスト規制の許可が不要という意味にとどまり、用途や需要者に懸念がある場合はキャッチオール規制による許可が必要になります。
問3 該非判定で使う貨物の仕様値は、営業カタログの記載値をそのまま使うのが望ましい。
答え: 誤りです。カタログ値は丸められていることがあるため、設計値や実測値など根拠のある一次資料の数値で照合します。
7. 用語の確認
この章の用語を、カードで確かめましょう。用語を見て意味を思い出し、カードを押して答え合わせをします。
表 輸出令別表第1
分からなかった点・気になった点
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この章の問題を解く
章のまとめへ- X社の貨物は、輸出令別表第1の5の項に品名として掲げられ、かつ貨物等省令が定める仕様にも合致していた。この貨物は該当である。解く
- X社の貨物を輸出令別表第1の全項番と照合したところ、どの項番の仕様にも合致しなかった。この貨物は非該当である。解く
- X社の貨物は該非判定の結果、リスト規制に非該当だった。担当者は、非該当であればキャッチオール規制の確認も不要だと判断した。解く
- X社は該非判定を始めるにあたり、まず自社製品の性能・仕様を設計部門から取り寄せて正確に把握した。該非の判断は、この作業から始まる。解く
- X社は該非判定にあたり、カタログ値ではなく設計値と実測値を用いて条文の基準値と照合した。解く