売掛債権の譲渡(ファクタリング)
売掛金をファクタリング会社へ譲渡したとき、手数料分を売掛債権売却損として処理できるようになります。
ねらい
売掛金を期日前にお金に換える方法を学びます。このレッスンを終えると、ファクタリングによる売掛債権の譲渡を売掛債権売却損を使って仕訳できるようになります。
ストーリー
あなたの会社は、得意先へ商品 ¥600,000 を掛けで販売しました。代金を受け取れるのは2か月後です。ところが、来週には仕入代金の大きな支払いがあり、手元の資金が足りそうにありません。
そこで当社は、この売掛金という「代金を受け取る権利」そのものをファクタリング会社へ売って、期日を待たずに現金化することにしました。この取引を「ファクタリング」といい、売掛債権の譲渡の代表例です。
ただし、満額は受け取れません。ファクタリング会社は手数料を差し引いた金額だけを支払ってくれます。今回の契約では手数料は8%、つまり ¥48,000 です。この目減りした分をどう記録するかが、このレッスンのポイントです。
図解
売掛金 ¥600,000 が、手取りのお金 ¥552,000 と手数料 ¥48,000 に分かれる動きを見てみましょう。
借方(左)
- 普通預金資産の増加 552,000
- 売掛債権売却損費用の増加 48,000
貸方(右)
- 売掛金資産の減少 600,000
仕訳と理由
譲渡が成立し、手数料8%を差し引いた手取額が当社の普通預金口座に振り込まれたときの仕訳です。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 552,000 | 売掛金 | 600,000 |
| 売掛債権売却損 | 48,000 |
貸方は売掛金です。代金を受け取る権利はファクタリング会社のものになったので、資産の減少として全額の ¥600,000 を貸方に記入します。
借方の1行目は普通預金です。手取額の ¥552,000 が口座に入り、資産が増えるので借方に記入します。
2行目の「売掛債権売却損(うりかけさいけんばいきゃくそん)」が2級の新しい勘定です。
ポイント
債権を額面より安く売ったことによる目減り分 ¥48,000 は、資金を早く手に入れるための代償であり、費用の勘定として借方に記入します。
注意
この「売掛債権売却損」は、2027年度の科目表にそった勘定名です。2027年4月1日以降に施行される試験からは売掛債権売却損を使います。2026年度中に受験する場合は、債権売却損と書きます。手数料の目減り分を費用として計上する考え方は、どちらの名前でも同じです。
2社間ファクタリングの続きの処理
ファクタリングには、得意先に譲渡を知らせない2社間方式と、得意先の承認を得る3社間方式があります。3社間方式では期日にファクタリング会社が得意先から直接回収するため、当社の処理は譲渡時で終わりです。
2社間方式では、得意先は譲渡を知らないため、期日になると今までどおり当社の口座へ代金を振り込んできます。
注意
このお金はもう当社のものではなく、ファクタリング会社のものです。
受け取ったら預かっているだけの状態なので、負債の勘定である預り金で処理し、ファクタリング会社へ渡したときに取り崩します。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 600,000 | 預り金 | 600,000 |
| 預り金 | 600,000 | 普通預金 | 600,000 |
1本目では、振り込まれたお金を資産の増加として借方に記入し、ファクタリング会社へ渡す義務を預り金という負債の増加として貸方に記入します。
2本目では、渡す義務を果たしたので預り金を借方で減らし、口座から出ていったお金を貸方に記入します。
例題
次の取引を仕訳してみましょう。
得意先に対する売掛金 ¥300,000 をファクタリング会社へ譲渡する契約を結び、手数料6%を差し引いた手取額が当社の普通預金口座に振り込まれた。
答え合わせ
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 282,000 | 売掛金 | 300,000 |
| 売掛債権売却損 | 18,000 |
手数料は ¥300,000 かける 6% で ¥18,000、手取額は ¥282,000 です。譲渡した売掛金の全額を貸方で減らし、手取額を普通預金、目減り分を売掛債権売却損として借方に記入します。
応用
次の取引を仕訳してみましょう。
2社間ファクタリングで譲渡済みの売掛金 ¥300,000 について支払期日が到来し、事情を知らない得意先から当社の普通預金口座へ ¥300,000 が振り込まれた。
答え合わせ
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 300,000 | 預り金 | 300,000 |
この ¥300,000 は当社の収入ではなく、ファクタリング会社に代わって預かったお金です。口座に入った分を資産の増加として借方に記入し、ファクタリング会社へ渡す義務を負債の勘定である預り金として貸方に記入します。売掛金はすでに譲渡時に減らしてあるので、ここでは動きません。
分からなかった点・気になった点
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この章の問題を解く
章のまとめへ- 得意先からの振込が未記帳だったときの修正仕訳解く
- 水道光熱費の自動引き落としが未記帳だったときの修正仕訳解く
- 買掛金の口座引き落としが未記帳だったときの修正仕訳解く
- 事務所を借りて敷金・仲介手数料・家賃を支払ったときの仕訳解く
- 銀行勘定調整表の空欄補充解く