製造間接費(予定配賦と配賦差異)
製造間接費を予定配賦率で製品へ配賦し、実際発生額とのずれを配賦差異として処理し、予算差異と操業度差異に分けられるようになります。
ねらい
複数の製品に共通してかかる製造間接費を製品ごとに割り当てる方法を学びます。このレッスンを終えると、予定配賦率を使って製造間接費を配賦し、実際発生額とのずれを配賦差異として処理し、その差異を予算差異と操業度差異に分けられるようになります。
ストーリー
これまで、材料費・労務費・経費のうち、特定の製品に直接ひもづかない分を製造間接費に集めてきました。工場全体の電力料や機械の減価償却費などです。
問題は、この製造間接費を製品1つひとつにどう割り当てるかです。工場全体でかかった電気代のうち、この製品にいくら分かかったのかは、直接にはわかりません。そこで、何か共通のものさしを決めて、その割合で各製品に割り振ります。この割り振りを「配賦(はいふ)」といいます。ものさしには、直接作業時間や機械運転時間がよく使われます。
予定配賦
製造間接費の実際の発生額は、月末にならないと確定しません。それを待っていると製品の原価計算が遅れてしまいます。そこで、あらかじめ決めておいた「予定配賦率」を使って、月中に配賦してしまいます。
予定配賦率は、次のように1年間の見積もりから求めます。
予定配賦率 = 1年間の製造間接費の予算 ÷ 1年間の予定される配賦基準
たとえば、年間の製造間接費の予算が ¥3,600,000、年間の予定直接作業時間が12,000時間なら、予定配賦率は1時間あたり ¥300 です。当月の実際の直接作業時間が950時間なら、予定配賦額は 950時間 かける ¥300 で ¥285,000 になります。
ポイント
製造間接費は、実際の発生額が確定するのを待たず、あらかじめ決めた予定配賦率を使って月中に配賦します。予定配賦率は、1年間の製造間接費の予算を1年間の予定される配賦基準で割って求めます。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 仕掛品 | 285,000 | 製造間接費 | 285,000 |
予定配賦額を各製品へ割り当てるので、資産の勘定である仕掛品の借方に記入します。配賦した分だけ製造間接費を貸方に記入して減らします。
配賦差異
月末になると、製造間接費の実際発生額が確定します。予定配賦額と実際発生額はふつう一致しないので、その差額を「製造間接費配賦差異(せいぞうかんせつひはいふさい)」という勘定で処理します。
当月の実際発生額が ¥300,000 だったとすると、予定配賦額 ¥285,000 との差額 ¥15,000 が配賦差異です。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 製造間接費配賦差異 | 15,000 | 製造間接費 | 15,000 |
予定配賦額 ¥285,000 より実際発生額 ¥300,000 のほうが多く、製造間接費の勘定には配賦しきれなかった ¥15,000 が借方に残っています。これを製造間接費配賦差異へ振り替えるので、製造間接費を貸方に記入します。実際発生額が予定配賦額を上回る差異は、原価が見込みより多くかかった不利な差異で、配賦差異を借方に記入します。
注意
実際発生額が予定配賦額を上回るときは、配賦しきれなかった分が製造間接費の借方に残ります。この不利な差異は、製造間接費配賦差異の借方へ振り替えます。
動かして確かめる
年間の予算・時間と、当月の実際の数字を動かすと、予定配賦率→予定配賦額→配賦差異(不利/有利・借方/貸方)がその都度どう変わるか確かめられます。
予定配賦率を決めてから、実際発生額とのずれを配賦差異にする。
年間の予算・時間と、当月の実際の数字を動かして、予定配賦額と配賦差異がどう変わるか確かめてください。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 仕掛品 | 285,000 | 製造間接費 | 285,000 |
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 製造間接費配賦差異 | 15,000 | 製造間接費 | 15,000 |
予算差異と操業度差異
配賦差異は、なぜ生じたかによって2つに分けて分析します。
- 予算差異: 製造間接費が予算どおりに使われたかどうかのずれです。実際発生額と、その操業度で許される予算額との差から生じます。
- 操業度差異: 工場をどれだけ動かせたか(操業度)のずれです。予定していた操業度と実際の操業度の差から生じ、主に固定費が計画どおり回収できたかを表します。
配賦差異の総額は、予算差異と操業度差異を合わせたものになります。それぞれの計算のしかたは演習でくわしく扱いますが、まずは「配賦差異は予算のずれと操業度のずれに分けられる」という枠組みをつかんでおきましょう。
例題
次の資料から、当月の製造間接費の予定配賦額を求め、予定配賦の仕訳を書いてみましょう。
年間の製造間接費の予算は ¥4,800,000、年間の予定直接作業時間は16,000時間である。当月の実際直接作業時間は1,300時間であった。
答え合わせ
予定配賦率は ¥4,800,000 ÷ 16,000時間 で1時間あたり ¥300 です。予定配賦額は 1,300時間 かける ¥300 で ¥390,000 になります。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 仕掛品 | 390,000 | 製造間接費 | 390,000 |
応用
例題の続きです。当月の製造間接費の実際発生額が ¥410,000 だった場合の、配賦差異の仕訳を書いてみましょう。
答え合わせ
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 製造間接費配賦差異 | 20,000 | 製造間接費 | 20,000 |
予定配賦額 ¥390,000 より実際発生額 ¥410,000 が ¥20,000 多く、配賦しきれなかった分が製造間接費の借方に残っています。これを製造間接費配賦差異へ振り替えます。実際発生額が予定配賦額を上回る不利な差異なので、配賦差異を借方に記入します。
分からなかった点・気になった点
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この章の問題を解く
章のまとめへ- 製造間接費を予定配賦したときの仕訳解く
- 製造間接費配賦差異を計上したときの仕訳解く
- 用語の確認: 製造間接費(意味から用語)解く
- 用語の確認: 製造間接費(用語から意味)解く
- 用語の確認: 予定配賦(意味から用語)解く