連結会計の基本と資本連結
連結財務諸表の考え方を理解し、投資と資本の相殺消去(資本連結)ができるようになります。
ねらい
親会社と子会社をひとつのグループとして見る会計を学びます。このレッスンを終えると、連結財務諸表の目的を理解し、支配獲得日の投資と資本の相殺消去ができるようになります。
ストーリー
第4章で、あなたの会社は他社の株式の過半数を取得して子会社にしました。親会社と子会社は法律上は別々の会社で、それぞれ自分の財務諸表を作ります。これを個別財務諸表といいます。
しかし、投資家からみれば、親会社と子会社は実質ひとつの企業グループです。親会社の個別財務諸表だけでは、グループ全体の姿は見えません。そこで、親会社と子会社の財務諸表を合算して、グループをひとつの会社とみなした「連結財務諸表(れんけつざいむしょひょう)」を作ります。
ただし、単純に足し算するだけでは正しくなりません。親会社の帳簿には子会社株式という資産があり、子会社の帳簿には資本金などの純資産があります。この2つはグループ内部の親子関係を表すだけで、グループの外から見れば存在しないものです。そこで合算にあたり、親会社の投資(子会社株式)と子会社の資本を相殺して消します。この手続を「資本連結(しほんれんけつ)」といいます。
図解
100%子会社の資本連結のイメージです。P社(親会社)はS社(子会社)の株式のすべてを ¥5,000,000 で取得しました。S社の純資産は資本金 ¥3,000,000 と利益剰余金 ¥2,000,000 です。
| 消すもの | 金額 |
|---|---|
| P社の帳簿にある子会社株式 | ¥5,000,000 |
| S社の資本金 | ¥3,000,000 |
| S社の利益剰余金 | ¥2,000,000 |
投資 ¥5,000,000 と資本の合計 ¥5,000,000 がちょうど一致するので、きれいに消えます。
仕訳と理由
支配獲得日の連結修正仕訳です。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 資本金 | 3,000,000 | 子会社株式 | 5,000,000 |
| 利益剰余金 | 2,000,000 |
借方でS社の資本金と利益剰余金を消し、貸方でP社の子会社株式を消します。グループ内部の親子関係を合算した財務諸表から取り除く仕訳です。
ここで大切な約束がひとつあります。
ポイント
連結修正仕訳は、親会社や子会社の帳簿には書き込みません。個別の帳簿はそのままにして、連結財務諸表を作る作業用の紙(連結精算表)の上だけで行う仕訳です。
毎期の連結のたびに、必要な修正を積み上げ直します。
なお、連結の純資産では、個別会計の繰越利益剰余金や利益準備金をまとめて「利益剰余金」、資本準備金などをまとめて「資本剰余金」と表示します。
例題
次の資本連結の仕訳を書いてみましょう。
P社は、S社の発行済株式のすべてを ¥3,600,000 で取得して支配を獲得した。支配獲得日のS社の純資産は、資本金 ¥2,500,000、利益剰余金 ¥1,100,000 である。
答え合わせ
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 資本金 | 2,500,000 | 子会社株式 | 3,600,000 |
| 利益剰余金 | 1,100,000 |
S社の資本の合計 ¥3,600,000 と投資額が一致するので、過不足なく相殺できます。
応用
次の問いに答えてみましょう。
資本連結の仕訳は、親会社の帳簿と子会社の帳簿のどちらに記入するか。
答え合わせ
どちらにも記入しません。連結修正仕訳は、連結財務諸表を作るための作業上の仕訳であり、個別の帳簿の外(連結精算表の上)で行います。親会社の帳簿には子会社株式が、子会社の帳簿には資本金がそのまま残り続けます。この「帳簿に書かない仕訳」という感覚が、連結会計の出発点です。
分からなかった点・気になった点
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この章の問題を解く
章のまとめへ- 支配獲得日の資本連結の空欄補充解く
- のれんの償却と非支配株主持分の空欄補充解く
- 投資と資本の相殺消去とのれん(部分所有・資本剰余金あり)解く
- 棚卸資産の未実現利益の消去(親会社から子会社への販売)解く
- 土地の未実現利益の消去(子会社から親会社への売却)解く