剰余金の配当と処分
剰余金の配当にともなう利益準備金の積立額を計算し、配当と処分の仕訳ができるようになります。
ねらい
会社のもうけを株主へ分ける処理に、2級で加わる計算を積み上げます。このレッスンを終えると、会社法の規定による利益準備金の積立額を計算し、剰余金の配当と処分を仕訳できるようになります。
ストーリー
株主総会の日を迎えました。あなたの会社は、これまで積み上げてきた繰越利益剰余金から、株主へ ¥3,000,000 の配当を行うことを決議しました。
3級では、配当にあわせて利益準備金を積み立てることを学びました。2級では、その積立額を自分で計算します。会社法のルールは次のとおりです。
ポイント
配当額の10分の1は、資本準備金と利益準備金の合計が資本金の4分の1に達するまで積み立てます。
際限なく配当してしまうと会社の財産が痩せて債権者が困るため、配当のたびに一定額を社内に留め置く決まりです。
当社の資本金は ¥20,000,000、資本準備金は ¥2,000,000、利益準備金は ¥1,500,000 です。
図解
積立額の計算を2段階で行います。
| 手順 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 配当額の10分の1 | 3,000,000 ÷ 10 | ¥300,000 |
| 積立の上限 | 資本金の4分の1(¥5,000,000)− 準備金合計(¥3,500,000) | ¥1,500,000 |
| 積立額 | 2つのうち小さいほう | ¥300,000 |
配当額の10分の1が上限に収まっているので、¥300,000 を積み立てます。もし上限の余地が ¥300,000 より小さければ、その余地の金額までしか積み立てません。
仕訳と理由
株主総会で、配当 ¥3,000,000、利益準備金の積立 ¥300,000、さらに別途積立金の積立 ¥500,000 を決議したときの仕訳です。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 繰越利益剰余金 | 3,800,000 | 未払配当金 | 3,000,000 |
| 利益準備金 | 300,000 | ||
| 別途積立金 | 500,000 |
借方は繰越利益剰余金です。配当と処分に回した合計 ¥3,800,000 だけ、純資産が減るので借方に記入します。貸方は3つに分かれます。配当はまだ支払っていないので未払配当金という負債、利益準備金と別途積立金は純資産の中での積み替えです。
後日、配当金を普通預金口座から支払ったときの仕訳です。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 未払配当金 | 3,000,000 | 普通預金 | 3,000,000 |
なお、配当の原資が繰越利益剰余金ではなく、その他資本剰余金の場合は、積み立てる準備金が利益準備金ではなく資本準備金になります。利益から出す配当には利益準備金、元手の剰余から出す配当には資本準備金という対応です。
例題
次の資料から、利益準備金の積立額を計算してみましょう。
株主総会で繰越利益剰余金から ¥2,000,000 の配当を決議した。資本金は ¥16,000,000、資本準備金は ¥1,800,000、利益準備金は ¥1,200,000 である。
答え合わせ
配当額の10分の1は ¥200,000 です。積立の上限は、資本金の4分の1の ¥4,000,000 から準備金合計 ¥3,000,000 を差し引いた ¥1,000,000 です。小さいほうの ¥200,000 を積み立てます。
応用
例題の続きです。株主総会の決議の仕訳を書いてみましょう。配当は ¥2,000,000、利益準備金の積立は例題で計算した金額とする。
答え合わせ
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 繰越利益剰余金 | 2,200,000 | 未払配当金 | 2,000,000 |
| 利益準備金 | 200,000 |
配当 ¥2,000,000 と積立 ¥200,000 の合計 ¥2,200,000 を繰越利益剰余金の借方に記入します。配当は支払いまでの間、未払配当金という負債になります。
用語の確認
この章に関係する2級の用語を、カードで確認しましょう。
表 利益準備金
分からなかった点・気になった点
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この章の問題を解く
章のまとめへ- 増資で払込金の最低額を資本金としたときの仕訳解く
- 株主総会で配当と処分を決議したときの仕訳解く
- 資本準備金を資本金に組み入れたときの仕訳解く
- 会社を吸収合併しのれんを計上したときの仕訳解く
- 増資の際の発行費用を支払ったときの仕訳解く