システムの構成
処理をどこで行うかによる構成の違いを知り、止めないための二重化やRAIDのしくみを説明できるようになります。
ねらい
複数の機器を組み合わせてシステムを作る方法を学びます。このレッスンを終えると、処理をどこで行うかの違いを説明でき、止めないための備えの型が分かるようになります。
処理をどこで行うか
- クライアントサーバシステム… サービスを提供する側(サーバ)と、受ける側(クライアント)に分けて処理を分担します。いまのシステムの基本の形です。
- シンクライアント… 手元の端末にはほとんど処理をさせず、サーバ側でまとめて処理します。端末にデータが残らないため、紛失や盗難に強いという利点があります。
- 集中処理… 1台の大きなコンピュータで、すべてを処理します。管理は楽ですが、その1台が止まると全部止まります。
- 分散処理… 複数のコンピュータで分担します。1台が止まっても他が動きますが、管理は複雑になります。
仮想化 — 1台を、複数台のように使う
仮想化は、1台の物理的なコンピュータの上に、複数の仮想的なコンピュータを動かす技術です。
利点は3つです。
- 機器の数を減らせる。性能に余裕のある機器を使い切れます。
- 作るのが速い。新しいサーバが必要になっても、機器を買わずに用意できます。
- 移しやすい。別の物理機器へ移すことができます。
クラウドサービスは、この技術を土台にしています。
止めないための備え
装置が1台しかなければ、その1台が壊れたときにシステムは止まります。そこで重ねて持ちます。
- デュアルシステム… 2台で同じ処理を行い、結果を照合します。間違いを見つけられるうえ、片方が壊れても続けられます。費用は高くなります。
- デュプレックスシステム… 1台が動き、もう1台は待機します。壊れたら切り替えます。待機側を止めておく形(コールドスタンバイ)と、動かしておく形(ホットスタンバイ)があります。
- 負荷分散(ロードバランス)… 複数台に処理を振り分けます。性能を上げると同時に、1台が止まっても残りで受けられます。
ポイント
二重化は「壊れないようにする」のではなく、「壊れても止まらないようにする」しくみです。機器はいつか壊れる前提で設計します。壊れない機器を作るより、壊れても続く形にするほうが現実的だからです。
RAID — 複数のディスクを組み合わせる
RAIDは、複数のディスクを組み合わせて、速さや安全性を高める技術です。
- RAID 0(ストライピング)… データを分けて複数のディスクへ同時に書きます。速くなりますが、1台壊れると全部失われます。安全性は下がります。
- RAID 1(ミラーリング)… 同じデータを2台へ書きます。1台壊れても残ります。使える容量は半分になります。
- RAID 5… データと復元用の情報を分散して置きます。1台壊れても復元でき、容量の無駄も比較的少なくなります。
RAID 0は速さのため、RAID 1は安全のためのしくみです。名前が似ていますが、目的は正反対です。
まとめ
システムは、処理をどこで行うかで構成が分かれます。シンクライアントは端末にデータを残さないので紛失に強く、仮想化は1台を複数台のように使います。二重化は壊れない設計ではなく、壊れても止まらない設計です。RAID 0は速さ、RAID 1は安全と、目的が正反対であることに注意します。
理解の確認
外回りの営業担当者に貸与するノートパソコンについて、紛失や盗難による情報漏えいを心配しています。シンクライアントを採用すると、この心配に対してどのような効果があるでしょうか。
答え: 端末側にデータが残らないため、紛失や盗難が起きても情報が漏れにくくなります。シンクライアントは、手元の端末にはほとんど処理をさせず、処理もデータの保存もサーバ側で行う構成です。端末は画面の表示と操作の受け渡しを担うだけなので、端末が第三者の手に渡っても、そこから業務データを取り出すことはできません。通常のノートパソコンでは、本体の記憶装置に業務データが保存されているため、紛失すればその中身が漏れるおそれがあります。データを持たせないことが、この構成の防御になっています。
分からなかった点・気になった点
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