システムの評価指標
稼働率をMTBFとMTTRから計算できるようになり、直列と並列で全体の稼働率がどう変わるかを説明できるようになります。
ねらい
システムの良し悪しを数で測る方法を学びます。このレッスンを終えると、稼働率を計算でき、装置のつなぎ方によって全体の信頼性がどう変わるかを説明できるようになります。
何を測るのか
システムの評価には、いくつもの物差しがあります。
- 信頼性… 壊れにくいか。
- 可用性… 使いたいときに使えるか。
- 性能… 速いか、たくさんこなせるか。
- 保守性… 直しやすいか。
性能には2つの見方があります。
- レスポンスタイム(応答時間)… 依頼してから答えが返るまでの時間。利用者が待つ時間です。
- スループット… 一定の時間にこなせる処理の量。
この2つは一致しません。たくさんまとめて処理すればスループットは上がりますが、1件あたりの待ち時間は長くなることがあります。利用者の体感はレスポンスタイム、装置の働きぶりはスループットで見ます。
稼働率を計算する
2つの指標を使います。
- MTBF(平均故障間隔)… 故障と故障の間、平均してどれだけ動いていたか。大きいほど壊れにくい。
- MTTR(平均修理時間)… 壊れてから直るまで、平均してどれだけかかったか。小さいほど直りが速い。
稼働率= MTBF ÷(MTBF + MTTR)
分母は「動いていた時間+止まっていた時間」なので、全体の時間です。そのうち動いていた時間の割合が稼働率になります。
たとえば MTBF が 95時間、MTTR が 5時間なら、稼働率は 95 ÷ 100 = 0.95(95%)です。
稼働率を上げる方法は2つあります。壊れにくくする(MTBFを大きくする)か、直りを速くする(MTTRを小さくする)かです。後者は見落とされがちですが、予備の部品を用意しておく、手順書を整えるといった手当てで効果が出ます。
つなぎ方で、全体の稼働率が変わります
複数の装置を組み合わせたとき、全体の稼働率はつなぎ方で決まります。
直列(両方動かないと動かない)
全体の稼働率 = 装置Aの稼働率 × 装置Bの稼働率
稼働率0.9の装置を2台直列につなぐと、0.9 × 0.9 = 0.81。つなぐほど下がります。どちらか一方でも止まれば全体が止まるからです。
並列(どちらかが動けば動く)
全体の稼働率 = 1 −(1 − A)×(1 − B)
稼働率0.9の装置を2台並列にすると、1 −(0.1 × 0.1)= 0.99。つなぐほど上がります。両方同時に止まったときだけ、全体が止まるからです。
ポイント
直列は掛け算で下がり、並列は「両方止まる確率」を引いて上がります。二重化が効くのは、この並列の性質によります。
費用の物差し
- TCO(総所有費用)… 導入から廃棄までにかかる費用の総額です。導入費だけでなく、運用・保守・教育・更新の費用を含みます。
- 初期費用と運用費用… 初期費用が安くても運用費用が高ければ、長く使うほど不利になります。
まとめ
性能は、利用者の待ち時間であるレスポンスタイムと、こなせる量であるスループットの2つで見ます。稼働率は MTBF ÷(MTBF + MTTR)で求めます。壊れにくくするか、直りを速くするかで上げられます。直列につなぐと稼働率は掛け算で下がり、並列にすると上がります。費用はTCOで比べます。
理解の確認
稼働率0.9の装置が2台あります。この2台を直列に接続した場合と、並列に接続した場合の全体の稼働率をそれぞれ求め、違いが生じる理由を述べてください。
答え: 直列は0.81、並列は0.99です。
直列は両方が動いていなければ全体が動かない構成なので、稼働率を掛け合わせます。0.9 × 0.9 = 0.81 となり、1台のときの0.9より下がります。どちらか一方でも止まれば全体が止まるため、止まる機会が増えるからです。
並列はどちらか一方が動いていれば全体が動く構成です。全体が止まるのは両方が同時に止まったときだけなので、その確率 0.1 × 0.1 = 0.01 を1から引いて、1 − 0.01 = 0.99 となり、1台のときより上がります。二重化が信頼性を高めるのは、この並列の性質によります。
分からなかった点・気になった点
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