経営・組織論
会社が何のために存在し、どんな形で人を配置し、社会に対して何を約束しているのかを、身近な会社の姿から理解できるようになります。
ねらい
会社という組織が、何を目指し、どう人を並べ、社会に対して何を負っているのかを学びます。このレッスンを終えると、経営理念から組織の形、社会的責任までのつながりを、自分の言葉で説明できるようになります。
経営理念から経営計画への4段階
会社の活動は、抽象から具体へ向かって段階的に落ちていきます。上から順に、経営理念・経営目標・経営戦略・経営計画の4段です。
この段階が要る理由は、会社が大勢で動くからです。1つの商品が店頭に並ぶまでに、企画する人、店舗を増やすか決める人、原材料を仕入れる人、資金を調達する人が関わります。この大勢が同じ方向を向くために、会社は「何のためにやっているのか」を言葉にして共有します。それが最上段の経営理念です。
| 段階 | 何を決めるか | 例 |
|---|---|---|
| 経営理念 | 会社が何のために存在するか | 食を通じて地域を豊かにする |
| 経営目標 | 理念に近づくために何を達成するか | 3年で地域シェア1位 |
| 経営戦略 | 目標をどうやって達成するか | 惣菜の品ぞろえで差をつける |
| 経営計画 | いつ誰が何をするか | 来期に惣菜担当を5名増やす |
上の段が変わらないまま下の段だけを変えるのが、ふつうの経営です。理念がころころ変わる会社は、働く人が何を頼りにしてよいか分からなくなります。
組織の形
会社は、仕事の分け方によっていくつかの形をとります。ITパスポートでよく問われるのは次の4つです。
| 形 | 分け方 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 職能別組織 | 営業・製造・経理など仕事の種類で分ける | 事業が1つで、専門性を高めたいとき |
| 事業部制組織 | 製品別・地域別など事業のまとまりで分ける | 事業が複数あり、それぞれに任せたいとき |
| マトリックス組織 | 職能と事業の両方に属する | 専門性と事業への機動力を両立したいとき |
| プロジェクト組織 | 目的ごとに人を集め、終わったら解散する | 期間と目的が決まった仕事のとき |
ポイント
マトリックス組織は、1人が2人の上司を持ちます。専門性と機動力を両立できる代わりに、指示が食い違ったときに現場が迷うという弱点があります。長所と短所は必ず対で覚えましょう。
会社全体の意思決定では、最高経営責任者(CEO)・最高財務責任者(CFO)・最高情報責任者(CIO)といった役職の呼び方も問われます。CIOは情報システム全体に責任を持つ役職です。
社会に対する責任
会社は利益を出すだけの存在ではありません。次の3つは言葉と中身を対にして覚えます。
- CSR(企業の社会的責任)… 利益追求だけでなく、環境や地域、働く人に対して責任を果たすという考え方。
- コーポレートガバナンス(企業統治)… 経営者が暴走しないよう、株主などが経営を監視する仕組み。
- コンプライアンス(法令遵守)… 法律や社会のルールを守ること。守れない会社は、たとえ儲かっていても存続できません。
株主・従業員・顧客・取引先・地域といった、会社の活動に利害を持つ人たちをステークホルダーといいます。この語は経営戦略でもシステム開発でも出てくるので、ここで押さえておきましょう。
働き方に関わる考え方
近年の出題では、人の働き方についての語も増えています。
- ワークライフバランス… 仕事と生活の調和を図ること。
- ダイバーシティ… 性別・年齢・国籍などの多様性を活かすこと。
- テレワーク… 情報通信技術を使って、場所にとらわれず働くこと。
- HRテック… 人事の業務に情報技術を活用すること。
これらは、ITパスポートが「デジタルを使って働く人」を対象にした試験であることの表れです。技術そのものより、技術が働き方をどう変えるかが問われます。
まとめ
会社は、理念という土台の上に目標・戦略・計画を積み、組織という形で人を並べ、社会に対して責任を負いながら活動します。この章で学ぶ会計・財務も、業務分析も、その活動を数字と事実で確かめるための道具です。
分からなかった点・気になった点
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