IoTシステムと組込みシステム
身の回りの機器がネットにつながるしくみを、測る・伝える・考える・動かすの4つの役割に分けて説明できるようになります。
ねらい
機器がインターネットにつながる技術を学びます。このレッスンを終えると、IoTのしくみを測る・伝える・考える・動かすの4つの役割に分けて説明でき、組込みシステムとの関係を整理できるようになります。
組込みシステム — 機械の中で動いているコンピュータ
組込みシステムは、特定の機能を果たすために機器の中に組み込まれたコンピュータです。炊飯器、エアコン、自動車、自動改札機。どれも中でプログラムが動いています。
パソコンとは性格が違います。
| 組込みシステム | パソコン | |
|---|---|---|
| やること | 決まった用途だけ | 利用者が自由にソフトを入れる |
| 求められること | 決められた時間内に必ず応答する | ある程度の待ち時間は許される |
| 使える資源 | メモリも処理能力も限られている | 比較的余裕がある |
「決められた時間内に必ず応答する」ことを求められるのが、組込みシステムの大きな特徴です。自動車のブレーキ制御が0.5秒遅れては困ります。そのためのOSをリアルタイムOSといいます。
IoT — 物がネットにつながる
IoT(Internet of Things)は、あらゆる物がインターネットにつながり、情報をやり取りするしくみです。組込みシステムを持った機器がネットにつながることで実現します。
役割は4つに分けられます。
- 測る(センサ)… 温度、明るさ、加速度、位置などを電気信号に変えます。IoTの入口です。
- 伝える(ネットワーク)… 測った値をサーバへ送ります。機器とネットの間を仲介する装置をIoTゲートウェイといいます。
- 考える(サーバ・クラウド)… 集めた値を分析し、何をすべきかを判断します。
- 動かす(アクチュエータ)… 判断の結果を、モータやバルブなどの物理的な動きに変えます。IoTの出口です。
ポイント
センサとアクチュエータは対になっています。センサは物理の世界の状態を電気信号に変え(入口)、アクチュエータは電気信号を物理の動きに変えます(出口)。この2つがそろうと、測って動かすという一巡りが閉じます。
すべてをクラウドに送らない — エッジコンピューティング
機器の数が増えると、すべての値をクラウドに送るのは無理があります。通信量が膨大になり、応答も遅れます。
エッジコンピューティングは、機器の近く(エッジ)で処理を済ませ、必要なものだけをクラウドへ送る考え方です。応答が速くなり、通信量も減ります。工場の異常検知のように、その場ですぐ止めなければならない用途で効きます。
IoTが広げるもの
- デジタルツイン… 現実の設備や街を、集めたデータで仮想空間に写し取ったもの。実物を止めずに、仮想側で試せます。
- サイバーフィジカルシステム(CPS)… 現実世界から集めたデータを仮想空間で分析し、その結果を現実世界へ返すしくみ全体を指します。
- ドローン… 遠隔操作や自動制御で飛ぶ航空機。点検や測量、配送に使われます。
- 自動運転… センサで周囲を認識し、判断して車両を制御します。
- ウェアラブル端末… 身に着けて使う機器。心拍や歩数を測ります。
- スマートスピーカ… 音声で操作でき、家電の制御などにつながります。
まとめ
組込みシステムは、機器の中で決まった用途を担い、決められた時間内に応答することを求められます。それがネットにつながるとIoTになります。IoTは測る・伝える・考える・動かすの4役で成り立ち、入口がセンサ、出口がアクチュエータです。機器が増えすぎたときは、エッジコンピューティングで手前に処理を寄せます。
理解の確認
工場の機械にセンサを取り付けて振動を測り、異常な振動を検知したら直ちに機械を停止させたいと考えています。集めたデータをすべてクラウドへ送って分析する方式ではなく、工場内の装置で処理する方式が適している理由を2つ述べてください。
答え: 1つ目は応答の速さです。異常を検知してから停止させるまでの間に機械が動き続けると被害が広がります。クラウドへ送って結果を待つ方式では通信の往復に時間がかかりますが、工場内で処理すれば判断から停止までが短く済みます。2つ目は通信量です。振動データは絶えず発生し続けるため、すべてをクラウドへ送ると通信量が膨大になり、費用も回線の負荷も増えます。手前で処理して異常時の記録など必要なものだけを送れば、通信量を抑えられます。この考え方をエッジコンピューティングといいます。
分からなかった点・気になった点
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