G検定(ジェネラリスト検定)
ぎじそうかん
疑似相関
Spurious Correlation
疑似相関は、2つの変数の間にデータの上では関連が見えるのに、その2つの間に因果関係が無い状態を指します。関連は偶然によって生じることもあれば、2つの変数の両方に影響している見えない第三の変数によって生じることもあります。関連そのものは実際に観測されていて、誤っているのは「一方がもう一方を引き起こしている」という読み方のほうです。
詳しい説明
疑似相関とは何を指すか
疑似相関(spurious correlation)は、2つの変数の間にデータの上では関連が見えるのに、その2つの変数の間には因果関係が無い状態を指します。英語ではspurious relationship(見せかけの関係)とも呼ばれます。ここでいう相関とは、一方の値が大きいときにもう一方の値も大きい、あるいは小さいという傾向が、データの上で見られることです。因果関係とは、一方を変えるともう一方が変わるという、原因と結果の結びつきのことです。
注意したいのは、データの上の関連そのものは実際に観測されているという点です。集計や計算が間違っているわけではありません。見せかけなのは、その関連を「一方がもう一方を引き起こしている」と読む解釈のほうです。
英語版ウィキペディアの項目「Spurious relationship」は、疑似相関を次のように説明しています。2つ以上の事象や変数が関連しているのに因果関係にはなく、その関連が偶然によるか、見えていない第三の要因の存在によって生じている、数学的な関係です。この第三の要因は、共通の応答変数(common response variable)、交絡因子(confounding factor)、潜伏変数(lurking variable)などと呼ばれます。
この説明の出どころと確かさ
疑似相関という語の名前と、上の定義の言い回しは、ウィキペディアの項目によるものです。ウィキペディアは誰でも編集できる百科事典なので、このページではそれだけで事実を確定する資料としては扱っていません。
関連が見かけだけになる仕組みのほうは、統計学の教科書でも確かめられます。無料で公開されている教科書、OpenStax「Introductory Statistics 2e」の1.4節は、研究の結果を見えにくくする追加の変数を潜伏変数(lurking variable)と呼び、ある変数が別の変数の変化を引き起こしていると示すには、その変数を他の影響から切り離す必要があると述べています。ただし、この節は「spurious correlation」という語を使っていません。教科書が裏づけているのは仕組みの部分で、語の名前は裏づけていないということです。
見かけの関連が生まれる2つの道筋
1つ目は偶然です。ウィキペディアの定義は、偶然を疑似相関の原因の1つに挙げています。2つの変数がたまたま似た動きをしただけでも、データの上では関連が見えることがあります。
2つ目は、2つの変数の両方に影響している第三の変数です。第三の変数をZ、関連が見えている2つの変数をXとYとします。ZがXを増やし、同時にYも増やすとき、XとYの間に直接のつながりが無くても、Zが大きい場面ではXとYがそろって大きくなります。その結果、XとYの間に関連が現れます。分析する人がZを測っていなかったり、考えに入れていなかったりすると、XとYの関連だけが目に入り、XがYを引き起こしているように見えてしまいます。
夏に増える2つの数の例
次の表は、疑似相関を説明するときによく使われる例をまとめたものです。どちらも説明のための例で、特定の調査のデータを示すものではありません。
| 見えている関連 | 背後に考えられる第三の変数 | 因果関係と読めない理由 |
|---|---|---|
| アイスクリームがよく売れる時期ほど、水の事故も多い | 気温が高い季節 | 暑い時期にはアイスクリームが売れ、泳ぎに行く人も増えると考えられます。アイスクリームを食べることが水の事故を起こしているわけではありません |
| 出動した消防車の台数が多い火事ほど、被害が大きい | 火事の規模 | 大きな火事ほど多くの消防車が呼ばれ、被害も大きくなります。消防車が被害を増やしているわけではありません |
どちらの例でも、2つの数の関連はデータとしては本当に現れます。アイスクリームの販売をやめても水の事故は減らないだろう、と考えられるのは、関連の元が気温という別の変数にあるからです。
相関と因果はどこが違うか
相関は、2つの変数がデータの上で一緒に動く傾向です。どちらが原因でどちらが結果かという情報は含んでいません。因果関係は、原因の側を変えたときに結果の側が変わる関係です。
ウィキペディアの項目は「相関は因果を意味しない」(Correlation does not imply causation)という言い回しを紹介し、疑似的な関係である可能性を排除できない限り、実験で見つかった相関は因果関係を表さないと述べています。OpenStaxの教科書も、説明変数が応答変数の変化を引き起こしていると示すには、説明変数を切り離す必要があると書いています。説明変数とは原因の候補として調べる変数、応答変数とはその結果として変わるかどうかを見る変数のことです。
ここで2つの読み違いに注意します。1つは、相関を調べることが無意味だという読み方です。資料はそう述べていません。述べているのは、疑似的な関係である可能性を排除するまでは、相関を因果関係の証拠として扱えないということです。もう1つは、疑似相関だと分かれば2つの変数はまったく無関係だという読み方です。上のアイスクリームの例では、2つの数は気温を通じてつながっています。疑似相関だと分かって否定されるのは、一方がもう一方を直接引き起こしているという関係です。
疑似相関かどうかを確かめる方法
OpenStaxの教科書が挙げる方法は、実験で調べたい要因を与える群と与えない群に、対象を無作為に割り当てることです。無作為とは、くじ引きのように人の判断を入れずに決めることです。教科書は、無作為に割り当てると、潜伏変数になりうる変数の影響がそれぞれの群へ均等に行き渡ると説明しています。群どうしで潜伏変数の影響がそろっていれば、説明変数を切り離して比べることに近づきます。
一方で、すでに集まっているデータを分析する場合など、無作為な割り当てができない場面もあります。そのような場面のために、ある第三の変数との線形の関連を差し引いたうえで2つの変数の関連を見る統計の手法があり、偏相関係数はその1つです。この語の根拠資料はこうした手法を扱っていないため、ここでは名前を挙げるにとどめます。なお、差し引けるのは、分析する人が測って計算に入れた変数との線形の関連だけです。測っていない第三の変数との関連は、こうした計算では差し引けません。
機械学習のデータで気をつけること
ここからは、上の定義から考えられることの整理です。この語の根拠資料は機械学習について論じていません。
予測のためのモデルは、データの中の関連を手がかりに予測を行います。ある入力の変数と予測したい値の関連が第三の変数によって生じていても、学習したときと同じ条件のデータであれば、その関連は予測の手がかりとして働くことがあります。しかし、関連が疑似相関であれば、その入力の変数を人の手で変えても、予測したい値は変わるとは限りません。モデルが重く使っている変数を見て「この値を動かせば結果が良くなる」と判断する前に、その関連が因果関係なのか疑似相関なのかを確かめる必要があります。
試験で問われること
G検定
- 疑似相関は、2つの変数の間にデータの上の関連があるのに、2つの間に因果関係が無い状態です。関連そのものは実際に観測されていて、誤りなのは一方がもう一方を引き起こしているという解釈のほうだと押さえておきます。
- 疑似相関が生じる道筋は2つあります。1つは偶然、もう1つは2つの変数の両方に影響している第三の変数です。第三の変数は交絡因子や潜伏変数とも呼ばれます。
- 「相関は因果を意味しない」という原則は、相関を調べることが無意味だという意味ではありません。疑似的な関係である可能性を排除するまでは、相関を因果関係の証拠として扱えないという意味です。
- 具体例を示されたときに、関連が見えている2つの変数の両方に影響する第三の変数を挙げられるようにしておきます。たとえばアイスクリームの売上と水の事故の件数の関連では、気温の高い季節が第三の変数にあたります。
- 原因を確かめる方法の1つは、実験で調べたい要因を与える群と与えない群に対象を無作為に割り当てることです。無作為に割り当てると、潜伏変数になりうる変数の影響が各群へ均等に行き渡り、説明変数を切り離して比べやすくなります。
- 疑似相関だと分かっても、2つの変数がまったく無関係だとは限りません。否定されるのは、一方がもう一方を直接引き起こしているという関係です。
最終更新日: 2026/09/23