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G検定(ジェネラリスト検定)

さんぷりんぐばいあす

サンプリングバイアス

Sampling Bias

サンプリングバイアスは、データを集める段階で、母集団を代表しないデータが集まることで生じる偏りです。原因がデータの集め方(由来)にある点で、モデルの学習過程やアルゴリズムの処理で生じるアルゴリズムバイアスと区別して理解します。

詳しい説明

サンプリングバイアスとは

サンプリングバイアスは、データが集められる段階で、本来知りたい対象全体(母集団)を代表しないデータが集まってしまうことで生じる偏りです。

統計やデータ分析では、母集団のすべてを調べられないことが多いため、その一部を標本(サンプル)として取り出して調べます。このとき、標本の選ばれ方に偏りがあると、標本から得られる傾向が母集団の傾向とずれてしまいます。たとえば、特定の地域や特定の利用者層からだけデータを集めた場合、そのデータは母集団全体の姿を十分に表していない可能性があります。

このページで押さえたい位置づけは、サンプリングバイアスがデータの由来に起因するバイアスだということです。偏りの原因は、データを分析したりモデルに学習させたりする段階ではなく、その手前の、データがどのように集められたかという段階にあります。

学術的に近い議論: 選択バイアス

機械学習の公平性を扱う定番の教科書として、Barocas、Hardt、Narayanan による Fairness and Machine Learning(fairmlbook.org)があります。この書籍のselective labels問題(選択的ラベル問題)の節には、次の記述があります。

> the selective labels problem is the issue of selection bias in evaluating decision making systems due to the fact that the very selection process we wish to study determines the sample of instances that are observed.

執筆者による参考訳は次のとおりです。

> 選択的ラベル問題とは、意思決定システムを評価する際、観測されるサンプル自体が、まさにその研究対象である選択過程によって決まってしまうことから生じる選択バイアス(selection bias)の問題である。

ここで注意したいのは、この書籍が使っている用語はselection bias(選択バイアス)であり、サンプリングバイアスという語そのものは使われていない点です。そのため、この議論をサンプリングバイアスの定義として読むことはできません。

そのうえで、観測されるサンプルが何らかの選ばれ方によって決まってしまい、その結果として偏りが生じるという考え方は、標本が母集団を代表しなくなるというサンプリングバイアスの考え方に近いものです。この用語集では、選択バイアスの議論を、サンプリングバイアスに関連する学術的な扱いの一例として紹介します。

日本の公式文書における位置づけ

総務省と経済産業省によるAI事業者ガイドライン(第1.1版、令和7年3月28日)は、脚注26で、バイアスという言葉にさまざまな解釈があることを述べ、次のように書いています。

> 本ガイドラインではそれらを総称したものとして用いている。

そして、その解釈の例の一つとして、次の記述があります。

> 統計的な用語(サンプリングバイアス。偏り・偏差など。)

つまり、日本の公式文書の中で、サンプリングバイアスという語そのものが、統計的な用語としてのバイアスの例として明記されています。同じ脚注では、心理学的な用語としての認知バイアスも別の解釈の例として挙げられており、ガイドラインにおけるバイアスという語は、これらを総称したものとして用いられています。

また同じ脚注は、NISTのProposal for Identifying and Managing Bias in Artificial Intelligence(SP 1270)が、AIにおけるバイアスをSystemic(既存のルールや規範、慣行等によるもの)、Statistical and Computational(統計的・計数的なもの)、Human(認知・知覚、習性等によるもの)の3つのカテゴリで説明していることにも触れています。

データ由来かどうかという違い

サンプリングバイアスと対比される語に、アルゴリズムバイアスがあります。アルゴリズムバイアスは、集めたデータが公平であっても、モデルの学習過程や、アルゴリズムの設計・処理の段階で生じる偏りを指します。

両者は、偏りがどの段階で生じるかという点で整理できます。

観点サンプリングバイアスアルゴリズムバイアス
偏りが生じる段階データが集められる段階モデルの学習やアルゴリズムの設計・処理の段階
原因の所在データの集められ方(由来)学習や処理の仕組み
典型的な姿母集団を代表しないデータが集まるデータが公平でも処理の結果に偏りが出る

サンプリングバイアスはデータ由来のバイアス、アルゴリズムバイアスは処理由来のバイアスとして区別すると、両者の違いを捉えやすくなります。ただし、実際のAIシステムでは、両方が同時に関わっている場合も考えられます。

AIとの関わり

機械学習のモデルは、与えられた学習データから傾向を学びます。そのため、学習データの集め方が偏っていれば、その後のモデルの学習や処理が公平に設計されていたとしても、出力に偏りが生じうると考えられます。

AIの公平性を考えるときには、モデルやアルゴリズムの設計を点検するだけでなく、学習に使うデータがどのように集められ、どの集団をどの程度代表しているかを確かめることも、検討の対象になります。

試験で問われること

G検定

  • サンプリングバイアスが、データが集められる段階で、母集団を代表しないデータが集まってしまうことで生じる偏りとして説明されることを確認しておきましょう。
  • サンプリングバイアスはデータの由来に起因するバイアス、アルゴリズムバイアスはモデルの学習過程やアルゴリズムの設計・処理の段階で生じるバイアス、という区別を確認しておきましょう。
  • AI事業者ガイドラインの脚注26で、サンプリングバイアスが統計的な用語としてのバイアスの例として挙げられ、ガイドラインではバイアスという語をさまざまな解釈の総称として用いていることを確認しておきましょう。
  • 学習データの集め方が偏っていると、モデルの処理が公平であっても出力に偏りが生じうる、という考え方を確認しておきましょう。

最終更新日: 2026/09/23