本文へ移動

G検定(ジェネラリスト検定)

えーでぃーへんかん

A-D 変換

Analog-Digital Converter

別称: アナログ・デジタル変換

マイクなどから得たアナログ信号を、標本化と量子化の2つの工程でコンピュータが扱えるデジタル信号へ変換する処理です。

詳しい説明

アナログからデジタルへの2つの工程

音声は、まず空気の圧力の変化として生じ、マイクの中でアナログの電気信号に変わります。どちらも連続的に変化する量なので、このままではコンピュータで保存したり計算したりできません。そこで、連続的な信号を数値の並びに置き換えます。この処理がA-D変換(アナログ-デジタル変換)で、標本化(サンプリング)と量子化の2つの工程から成ります。標本化は時間の方向で区切る工程、量子化は振幅の方向で区切る工程と考えると整理しやすくなります。

標本化とナイキスト周波数

標本化とは、ある時刻における信号の振幅を測ることです。1秒あたりに何回測るかを標本化周波数(サンプリングレート)と呼びます。

波を正しく測るには、1周期の中に少なくとも2つの標本が必要です。波の正の部分を測る標本と、負の部分を測る標本です。1周期あたり2つより多く測れば振幅をより正確に捉えられますが、2つより少ないと、その波の周波数そのものが完全に失われてしまいます。このため、ある標本化周波数で測れる最大の周波数は、標本化周波数のちょうど半分になります。この上限の周波数をナイキスト周波数と呼びます。

具体的な数値で見てみます。人間の音声の情報の大部分は10,000Hzより低い周波数にあるため、完全な精度を求めるなら20,000Hzの標本化周波数が必要になります。一方、電話の音声は交換網でフィルタをかけられており、4,000Hz未満の周波数しか伝わりません。そのため、電話帯域の音声であれば8,000Hzの標本化周波数で足ります。マイクで録音した音声には16,000Hzの標本化がよく使われます。どの周波数まで残したいかによって、必要な標本化周波数が決まるという関係です。

量子化

標本化で得た振幅の値は、もともと実数です。しかし8,000Hzの標本化でも、音声1秒あたり8000回の振幅の測定値が生じるため、測定値を効率よく保存することが重要になります。そこで振幅は通常、整数として保存されます。8ビットなら-128から127まで、16ビットなら-32768から32767までの値です。

このように実数を整数で表す処理を量子化と呼びます。名前の由来は、隣り合う2つの整数の差が表現できる最小の細かさ(量子の大きさ)として働き、この大きさより近い値どうしはすべて同じ値として表されてしまう点にあります。つまり量子化では、元の信号との間にわずかなずれ(量子化誤差)が必ず生じます。16ビットは8ビットより広い範囲の整数を使えるため、より細かく振幅を区別できます。

音声認識の入り口としての位置づけ

A-D変換は、音声をコンピュータで扱うための最初の一歩です。ここで得た数値の並びをもとに、特徴量の抽出や音声認識などの処理が進みます。量子化した値を実際にどう記録・圧縮するかはPCM(パルス符号変調)の項目で扱います。なお、A-D変換はG検定のシラバス2024のキーワードに含まれています。

試験で問われること

G検定

  • A-D変換を構成する2つの工程である標本化と量子化が、それぞれ信号の何を離散的な値に置き換える処理なのかを説明できますか。
  • 1周期あたり少なくとも2つの標本が必要な理由と、そこから導かれるナイキスト周波数(標本化周波数の半分)の意味を説明できますか。
  • 電話音声で8,000Hz、マイク音声で16,000Hz、音声を完全な精度で捉えるには20,000Hzの標本化周波数が使われる理由を、伝えたい周波数の上限と結びつけて説明できますか。
  • 量子化で8ビットや16ビットの整数を用いるとき、量子の大きさより近い値が同じ値として表されることで何が失われるのかを説明できますか。

最終更新日: 2026/09/23