損害保険
損害保険の原則と、火災保険・地震保険・自動車保険・傷害保険・賠償責任保険の補償範囲、地震保険料控除を説明できるようになります。
ねらい
物や賠償のリスクに備える損害保険を学びます。このレッスンを終えると、損害保険に共通する原則と、火災保険・地震保険・自動車保険・傷害保険・賠償責任保険それぞれの補償範囲の勘所を説明できるようになります。
ストーリー
パン屋の森さんは、店舗兼自宅のために火災保険へ加入しようとしています。パンフレットを読むと「地震による火災は対象外」と書かれていて驚きました。また、配達用の自動車には自賠責保険に入っていますが、「それだけでは足りない」と代理店に言われました。
損害保険は商品ごとに「何が対象で、何が対象外か」の線引きがはっきり決まっています。その線引きを覚えることが、試験でも実務でも核心になります。
損害保険の原則
損害保険は、次の考え方のうえに成り立っています。
- 大数の法則: 個々には偶然の事故も、大量に観察すれば発生率が予測できるという法則です。保険料計算の土台になります。
- 給付・反対給付均等の原則: リスクの高さに応じた保険料を負担するという公平の原則です。
- 利得禁止の原則: 保険金の受け取りで儲けてはならないという原則です。損害保険は実際の損害額をてん補する実損てん補が基本で、保険で利益を得ることはできません。
火災保険と地震保険
火災保険は、火災・落雷・破裂爆発・風災などによる建物や家財の損害を補償します。建物と家財はそれぞれ別に保険の対象として契約します。
注意
注意したいのは、地震・噴火またはこれらによる津波を原因とする損害(地震による火災を含む)は、火災保険では補償されないことです。
この地震のリスクに備えるのが地震保険です。ポイントは次の4つです。
- 単独では契約できず、火災保険に付帯して契約します。
- 対象は居住用の建物と家財です(店舗専用の建物は対象外です)。
- 保険金額は、主契約の火災保険の保険金額の30%から50%の範囲で設定します。
- 限度額は建物5,000万円・家財1,000万円です。
自動車保険
自動車の保険は、法律で加入が義務づけられた自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)と、任意加入の自動車保険の2階建てです。
ポイント
自賠責保険が補償するのは対人賠償(他人を死傷させた場合)だけで、物を壊した賠償や自分のけが・自分の車の損害は対象外です。
支払限度額は被害者1人あたり、死亡3,000万円・後遺障害4,000万円・傷害120万円です。
この不足を補うのが任意の自動車保険です。対人賠償保険(自賠責の限度額を超える部分を補償)、対物賠償保険、自分や同乗者のけがに備える人身傷害保険、自分の車の損害に備える車両保険などを組み合わせます。
傷害保険
傷害保険は、急激かつ偶然な外来の事故によるけがを補償します。病気は対象外です。商品ごとの対象範囲の違いが定番の論点です。
| 商品 | 補償の範囲 | 細菌性食中毒 | 地震によるけが |
|---|---|---|---|
| 普通傷害保険 | 国内外を問わず、業務中・旅行中を含む日常のけが | 対象外 | 対象外 |
| 国内旅行傷害保険 | 国内旅行中のけが | 対象 | 対象外 |
| 海外旅行傷害保険 | 海外旅行のため自宅を出てから帰宅するまでのけが | 対象 | 対象 |
賠償責任保険
他人にけがをさせたり、他人の物を壊したりして法律上の賠償責任を負ったときに備える保険です。個人向けの代表が個人賠償責任保険で、自転車で歩行者にぶつかった、買い物中に商品を壊した、飼い犬が人をかんだといった日常生活の事故を補償します。同居の家族なども被保険者に含まれます。ただし、業務中の事故や自動車の運転による事故は対象外です。
事業者向けには、施設の欠陥や業務中のミスによる賠償に備える施設所有(管理)者賠償責任保険、提供した製品が原因の事故に備える生産物賠償責任保険(PL保険)などがあります。森さんの店なら、店内でお客さまが転んでけがをした場合は施設所有(管理)者賠償責任保険、販売したパンで食中毒が起きた場合は生産物賠償責任保険が対応します。
損害保険と税金
- 保険料を払ったとき: 地震保険の保険料は地震保険料控除の対象で、所得税で最高50,000円(住民税で最高25,000円)を所得から控除できます。
- 保険金を受け取ったとき: 建物や家財の損害に対して個人が受け取る損害保険金は、損害のてん補であり、原則として非課税です。
- 損害賠償金: 被害者が加害者から受け取る損害賠償金も、原則として非課税です。
法人契約の損害保険は、火災保険などに支払う掛け金を原則として損金に算入するなど、経理処理のルールが別に定められています。
例題
次の記述が適切か、不適切かを考えてみましょう。
自賠責保険は、自動車事故により他人を死傷させた場合の対人賠償に加えて、他人の財物を壊した場合の対物賠償も補償の対象としている。
答え合わせ
不適切です。自賠責保険が補償するのは対人賠償だけで、対物賠償は対象外です。物の損害や自分のけが・自分の車に備えるには、任意の自動車保険を組み合わせる必要があります。
応用
地震保険の仕組みを考えてみましょう。
火災保険(保険金額2,000万円)に地震保険を付帯する場合、地震保険の保険金額はいくらの範囲で設定できるか。
答え合わせ
600万円から1,000万円の範囲です。地震保険の保険金額は主契約の火災保険の保険金額の30%から50%の範囲で設定するため、2,000万円の30%(600万円)から50%(1,000万円)までとなります。なお、建物5,000万円・家財1,000万円という限度額も別にあります。
分からなかった点・気になった点
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この章の問題を解く
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