所得税の仕組み
所得税の基本原則(暦年課税・所得=収入−必要経費)、非課税所得、計算の5ステップ、総合課税と分離課税、復興特別所得税を説明できるようになります。
ねらい
所得税の骨組みを学びます。このレッスンを終えると、所得税の基本原則、非課税所得の代表例、税額計算の流れ(5つのステップ)、総合課税と分離課税の違い、復興特別所得税を説明できるようになります。第4章のこの後のレッスンは、すべてこの骨組みの上に載ります。
ストーリー
フリーランス1年目の青木さんは、初めての確定申告に向けて国税庁のサイトを開きました。「収入」と「所得」は違うらしい。もらったお金のうち、課税されないものもあるらしい。まずは計算の全体の流れという地図を手に入れましょう。
所得税の基本原則
- 所得税は、個人の所得に課される国税です。原則として、1月1日から12月31日までの1暦年に生じた所得に対して課されます(暦年課税)。
- 所得とは、収入金額そのものではなく、収入金額から必要経費を差し引いたもうけの部分です。青木さんの場合、デザイン料の売上が収入金額、パソコン代や打合せの交通費などが必要経費、その差額が所得です。
- 納税義務者は原則として個人で、国内に住所がある居住者は、国内・国外を問わずすべての所得に課税されます。
非課税所得
社会政策などの理由から、所得税が課されない収入があります。代表例を押さえましょう。
- 遺族年金・障害年金(第1章で学んだとおり、老齢年金は課税されます)
- 雇用保険の失業等給付や健康保険の給付
- 会社員の通勤手当(月15万円までの部分)
- 損害保険金・損害賠償金・慰謝料(心身や資産の損害への補てん)
- 宝くじの当せん金
税額計算の5つのステップ
所得税は、次の流れで計算します。
- 所得を10種類に分けて、それぞれの所得金額を計算する(次のレッスンで学びます)。
- 総合課税の対象になる所得を合算する。損失がある場合は損益通算を行い、総所得金額を求める。
- 総所得金額などから所得控除(基礎控除・扶養控除・医療費控除など)を差し引いて、課税総所得金額を求める。
- 課税総所得金額に超過累進税率を掛けて税額を求める。税率は5%から45%までの7段階です。
- 求めた税額から税額控除(住宅ローン控除・配当控除など)を差し引いて、納付する税額を確定する。
ポイント
「所得控除は税率を掛ける前に所得から引く。税額控除は税率を掛けた後に税額から引く」という順序の違いは、この後のレッスンでも繰り返し効いてきます。
総合課税と分離課税
10種類の所得は、課税のされ方で2つに分かれます。
- 総合課税は、各種の所得を合算して超過累進税率で課税する原則の方式です。給与所得・事業所得・不動産所得などが対象です。
- 分離課税は、他の所得と合算せず、その所得だけで課税する方式です。確定申告で精算する申告分離課税(土地建物や株式の譲渡所得、退職所得など)と、支払いを受ける時点の源泉徴収で課税が完結する源泉分離課税(預貯金の利子など)があります。
復興特別所得税
東日本大震災の復興財源として、基準所得税額(その年の所得税額)に対して2.1%の復興特別所得税が併せて課されます。2037年まで課される予定です。第3章で学んだ金融商品の税率20.315%のうち0.315%が、この復興特別所得税(15%×2.1%)にあたります。
例題
次の記述が適切か、不適切かを考えてみましょう。
所得税は、原則として、毎年4月1日から翌年3月31日までの1年間に生じた個人の所得に対して課される。
答え合わせ
不適切です。所得税の課税期間は暦年、すなわち1月1日から12月31日までの1年間です。4月始まりの年度は国や会社の会計の区切りであり、個人の所得税には使いません。期間の取り違えを問う定番のひっかけです。
応用
非課税所得を見分けてみましょう。
会社員のFさんは今年、給与のほかに、月10万円の通勤手当と、交通事故の被害にあって受け取った損害賠償金がある。これらに所得税は課されるか。
答え合わせ
どちらも課されません。通勤手当は月15万円までの部分が非課税で、月10万円はその範囲内です。損害賠償金は損害の補てんであり、非課税所得です。給与そのものは課税されるのと対照的に、「もうけ」ではないお金には所得税が課されない、という考え方で整理できます。
分からなかった点・気になった点
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この章の問題を解く
章のまとめへ- 個人事業税の事業主控除の金額の選択解く
- 個人事業税と青色申告特別控除に関する正誤判定解く
- 個人住民税の課税の基準日の選択解く
- 個人住民税の所得割の税率に関する正誤判定解く
- 医療費控除と年末調整に関する正誤判定解く