所得税の申告と納付
源泉徴収と年末調整の仕組み、確定申告が必要になる場合、青色申告の特典を説明できるようになります。
ねらい
所得税を実際に納めるまでの手続を学びます。このレッスンを終えると、源泉徴収と年末調整の仕組み、給与所得者でも確定申告が必要になる場合、青色申告の特典を説明できるようになります。
ストーリー
フリーランスの青木さんのもとに、取引先から「支払調書」が届きました。報酬からはあらかじめ税金が引かれています。会社員の友人は「自分は年末調整だけで税金が終わる」と言いますが、青木さんは2月からの確定申告が必要です。さらに税務署からは「青色申告にすると控除が受けられます」という案内も。手続の全体像を整理しましょう。
源泉徴収と年末調整
源泉徴収は、給与や報酬などを支払う者が、支払いの際に所得税を差し引いて国に納める仕組みです。給与・利子・配当・原稿料などが対象で、支払者が徴収義務者になります。
給与所得者の場合、毎月の給与から源泉徴収された税額の合計は、概算のため年間の正しい税額と一致しません。この過不足を年末に精算するのが年末調整です。
ポイント
年末調整が済めば、大部分の給与所得者は確定申告が不要になります。
勤務先から年明けに受け取る源泉徴収票には、支払金額(年収)、給与所得控除後の金額、所得控除の額の合計額、源泉徴収税額が記載されており、1年分の税金の計算結果を読み取れます。
確定申告
確定申告は、1暦年の所得と税額を自分で計算して申告する手続です。申告期間は、原則として翌年の2月16日から3月15日までです。
給与所得者でも、次のような場合は確定申告が必要です。
- 給与の年収が2,000万円を超える場合
- 給与所得・退職所得以外の所得(副業など)の合計が20万円を超える場合
- 2か所以上から給与を受けている場合
また、義務ではなくても、確定申告をすると税金が戻る場合があります。医療費控除・寄附金控除・雑損控除を受けるとき、住宅ローン控除の1年目、年の途中で退職して年末調整を受けていないときなどです。
青色申告
一定の帳簿を備えて申告する人に、税制上の特典を与える制度です。
- 対象になるのは、不動産所得・事業所得・山林所得のある人です(頭文字で「ふ・じ・さん」と覚えます)。
- 適用を受けるには、原則としてその年の3月15日まで(1月16日以後の開業なら開業から2か月以内)に、青色申告承認申請書を税務署に提出します。
主な特典は次のとおりです。
| 特典 | 内容 |
|---|---|
| 青色申告特別控除 | 正規の簿記により記帳し貸借対照表などを添付すると55万円(さらに e-Tax による申告または電子帳簿保存を行うと65万円)、それ以外は10万円を所得から控除できる |
| 青色事業専従者給与 | 生計を一にする家族への給与を届出の範囲で必要経費にできる |
| 純損失の繰越控除 | 損益通算で引ききれない損失を翌年以後3年間繰り越せる(前年への繰戻し還付も選べる) |
フリーランスの青木さんが青色申告を選べば、65万円の特別控除と赤字の3年繰越しという大きな特典を受けられます。
納付
確定申告で計算した税額は、申告期限(3月15日)までに納付します。所定の手続をすれば、延納や振替納税も利用できます。納税者が申告や処分に不服がある場合には、税務署長への再調査の請求や審査請求という救済の手続も用意されています。
例題
次の記述が適切か、不適切かを考えてみましょう。
年末調整を受けた給与所得者であっても、給与所得および退職所得以外の所得の合計額が20万円を超える場合は、所得税の確定申告が必要である。
答え合わせ
適切です。副業の所得などが20万円を超えると、年末調整を受けていても確定申告が必要です。20万円という基準は所得(収入から経費を引いた後)で判定する点と、この基準は所得税の話であり住民税には適用がない点まで覚えておくと万全です。
応用
青色申告の対象を考えてみましょう。
会社員のJさん(給与所得のみ)は、節税のために青色申告を利用したいと考えている。利用できるか。
答え合わせ
利用できません。青色申告の対象は、不動産所得・事業所得・山林所得のある人に限られており、給与所得だけの人は対象外です。もしJさんが賃貸アパートの経営(不動産所得)や副業の事業を始めれば、承認申請をしたうえで青色申告を選べるようになります。「ふ・じ・さん」は損益通算のレッスンでも登場した並びですが、譲渡所得は青色申告の対象に入らない点が異なります。
分からなかった点・気になった点
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この章の問題を解く
章のまとめへ- 個人事業税の事業主控除の金額の選択解く
- 個人事業税と青色申告特別控除に関する正誤判定解く
- 個人住民税の課税の基準日の選択解く
- 個人住民税の所得割の税率に関する正誤判定解く
- 医療費控除と年末調整に関する正誤判定解く