ポートフォリオ運用
分散投資の考え方と、期待収益率の計算、リスク(標準偏差)と相関係数、ドル・コスト平均法を説明できるようになります。
ねらい
資産を組み合わせて運用するポートフォリオの考え方を学びます。このレッスンを終えると、期待収益率の計算、投資でいう「リスク」の意味、相関係数と分散効果、ドル・コスト平均法を説明できるようになります。
ストーリー
小林さんは、これまでのレッスンで預貯金・投資信託・債券・株式・外貨とさまざまな商品を学びました。「結局、どれをどれだけ持てばいいのだろう」。この「組み合わせ方」こそがポートフォリオ運用のテーマです。ひとつの籠にすべての卵を盛らない。この格言の中身は、数字で確かめていきます。
分散投資の3つの軸
保有する金融商品の組み合わせをポートフォリオといい、値動きの異なる資産に分けて投資することでリスクをおさえる手法が分散投資です。分散には3つの軸があります。
- 資産(銘柄)の分散: 株式・債券・不動産など値動きの異なる資産や、複数の銘柄に分けます。
- 地域・通貨の分散: 国内と海外、円と外貨に分けます。
- 時間の分散: 購入のタイミングを分けます。代表がドル・コスト平均法です。
国内株式・外国債券といった資産の種類(アセットクラス)ごとの配分を決めることをアセットアロケーションといい、運用成果の大部分はこの配分で決まるとされます。配分は運用の途中でも定期的に見直します(リバランス)。
期待収益率
ポートフォリオ全体の期待収益率は、組み入れた各資産の期待収益率を組入比率で加重平均して求めます。
計算例で確かめましょう。期待収益率2%の資産Aを60%、期待収益率5%の資産Bを40%組み入れたポートフォリオの期待収益率は、2%×0.6と5%×0.4を合計して3.2%です。
注意
単純な平均(3.5%)ではなく、比率で重み付けする点に注意しましょう。
投資でいう「リスク」と標準偏差
投資の世界でリスクとは、損をする危険だけでなく、リターンのばらつき(不確実性)の大きさを指します。ばらつきの大きさは、統計の分散や標準偏差という尺度で測り、標準偏差が大きいほどハイリスクです。
リスクとリターンにはトレードオフの関係があり、高いリターンが期待できる資産はリスクも高く、リスクをおさえればリターンも小さくなります。
ポイント
「ローリスク・ハイリターン」の商品は存在しない、というのが大原則です。
相関係数と分散効果
2つの資産の値動きの連動の度合いは、相関係数という数値で表します。相関係数はプラス1からマイナス1までの値をとります。
| 相関係数 | 値動きの関係 | 分散投資によるリスク低減効果 |
|---|---|---|
| プラス1 | まったく同じ方向に動く | 効果はない |
| 0 | 関係なく動く | 一定の効果がある |
| マイナス1 | まったく反対の方向に動く | 効果が最大になる |
相関係数がプラス1でない限り、組み合わせによるリスク低減効果は生まれます。値動きの反対方向の資産を組み合わせるほど、ポートフォリオ全体のばらつきは小さくなります。
ドル・コスト平均法
価格が変動する商品を定期的に一定金額ずつ買い付ける方法です。一定の口数ではなく一定の金額で買うため、価格が安いときには多く、高いときには少なく買い付けることになり、結果として平均購入単価をおさえる効果が期待できます。積立投資の基本の型で、時間の分散の代表例です。
例題
次の記述が適切か、不適切かを考えてみましょう。
ポートフォリオを構成する2つの資産の相関係数がプラス1であるとき、分散投資によるリスクの低減効果は最大になる。
答え合わせ
不適切です。相関係数プラス1は2つの資産がまったく同じ方向に動くことを意味し、組み合わせてもリスク低減効果はありません。効果が最大になるのは、まったく反対に動く相関係数マイナス1のときです。プラス1とマイナス1のどちらで効果が最大かを問う出題が定番です。
応用
期待収益率を計算してみましょう。
期待収益率1%の債券を50%、期待収益率6%の株式を50%組み入れたポートフォリオの期待収益率は何%か。
答え合わせ
3.5%です。1%×0.5で0.5%、6%×0.5で3%、合計3.5%となります。組入比率による加重平均で求めるのが基本で、この例はたまたま半々なので単純平均と同じ値になりますが、比率が変われば結果も変わります。たとえば債券を80%にすると、1%×0.8と6%×0.2で2%になります。
分からなかった点・気になった点
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この章の問題を解く
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