ファイナンシャル・プランニングと倫理
ファイナンシャル・プランニングの社会的な役割と、顧客利益の優先・守秘義務という職業的原則を説明できるようになります。
ねらい
ファイナンシャル・プランニングが社会で果たす役割を知り、ファイナンシャル・プランナーが守るべき職業的原則を学びます。このレッスンを終えると、顧客利益の優先と守秘義務という2つの原則が身につき、具体的な場面に当てはめて判断できるようになります。
ストーリー
会社員の佐藤さんは、結婚を機にこれからのお金のことが気になり始めました。住宅の購入、子どもの教育費、老後の備え。どれも大切だとわかっていても、何から手を付ければよいのか見当がつきません。
そこで佐藤さんは、お金の専門家に相談することにしました。この専門家が「ファイナンシャル・プランナー」です。ファイナンシャル・プランナーは、相談者の家族構成や収入、将来の希望を聞き取り、人生設計に沿ったお金の計画づくりを手伝います。この計画づくりの活動を「ファイナンシャル・プランニング」といいます。
ファイナンシャル・プランニングの社会的ニーズと役割
ファイナンシャル・プランニングが求められる背景には、個人がお金について自分で判断しなければならない場面が増えたことがあります。年金・保険・投資・税金・不動産・相続と、扱う分野は幅広く、制度は毎年のように変わります。個人がすべてを正確に把握することは簡単ではありません。
ファイナンシャル・プランナーは、これらの幅広い分野の知識を使って、相談者一人ひとりの生活設計に合った資金計画を立てる手助けをします。資産の設計・運用・管理と、これらに関わる相談業務がファイナンシャル・プランナーの仕事です。個人の暮らしとお金の橋渡しをすることが、社会的な役割といえます。
職業的原則
ファイナンシャル・プランナーには、業務を行ううえで守るべき職業的原則があります。試験範囲の細目では、その代表として「顧客利益の優先」と「守秘義務の厳守」が挙げられています。
顧客利益の優先
ファイナンシャル・プランナーは、顧客の利益を最も優先して業務を行わなければなりません。自分の報酬や手数料を増やすこと、あるいは特定の会社の商品を売ることは、顧客の利益より先に置いてはいけません。
たとえば、顧客にとっては掛金の負担が軽い商品が合っているのに、自分の手数料収入が多いという理由で別の商品を勧めることは、顧客利益の優先に反します。
ポイント
提案の理由は、常に顧客の生活設計にとって良いかどうかで説明できなければなりません。
守秘義務の厳守
ファイナンシャル・プランニングでは、収入や資産、家族の事情といった、顧客の大切な個人情報を預かります。ファイナンシャル・プランナーは、業務で知った顧客の情報を本人の同意なく第三者に漏らしてはいけません。この決まりを「守秘義務」といいます。
ただし、顧客の同意を得たうえで、業務に必要な範囲で他の専門家に情報を伝えることは、守秘義務に反しません。たとえば、税金の具体的な計算が必要になり、顧客の同意を得て税理士に資料を渡すことは、適切な業務の進め方です。同意の有無が判断の分かれ目になります。
例題
次の記述が適切か、不適切かを考えてみましょう。
ファイナンシャル・プランナーのAさんは、顧客への提案にあたり、顧客の意向より自身が受け取る手数料の多さを基準に商品を選んだ。
答え合わせ
不適切です。ファイナンシャル・プランナーは顧客の利益を最も優先しなければなりません。手数料の多さという自分の利益を基準に商品を選ぶことは、顧客利益の優先という職業的原則に反します。
応用
もう一問、同意の有無に注目して考えてみましょう。
ファイナンシャル・プランナーのBさんは、顧客の相続の相談を進めるため、顧客の同意を得たうえで、顧客の資産の状況を提携先の弁護士に伝えた。
答え合わせ
適切です。業務で知った顧客の情報を第三者に伝えるには、顧客本人の同意が必要です。Bさんは同意を得たうえで、業務に必要な範囲で情報を共有しているので、守秘義務に反しません。もし同意を得ずに伝えていれば、守秘義務の厳守に反し不適切となります。
分からなかった点・気になった点
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この章の問題を解く
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