経営・組織論
企業の経営資源とCSR、経営管理のPDCA、代表的な組織構造とCEO・CIOなどの役職、BCP・BCMのリスクマネジメント、DXやSociety5.0といったIT利活用の動向を理解できるようになります。
ねらい
ここから第9章、企業と法務に入ります。このレッスンを終えると、企業活動と経営資源の考え方、経営管理と組織の形、リスクマネジメント、社会のIT利活用の動向を説明できるようになります。
ストーリー
会社は、社長1人でできることには限りがあります。だからこそ、人を集め、役割を分け、資源を配り、目標に向かって動く仕組みが必要になります。この「動かす仕組み」を考えるのが経営・組織論です。
企業活動と経営資源
企業は、経済的機能や営利活動を担い、所有と経営が分離した有機的な組織体です。事業を続けることを前提とする考え方をゴーイングコンサーン(継続的事業体)と呼びます。経営資源は、ヒト・モノ・カネ・情報の4つで捉え、それぞれの管理が重要です。
企業には社会への責任も求められます。企業の社会的責任をCSR、環境に配慮したITの利用をグリーンIT、製品の一生で排出される二酸化炭素の量をカーボンフットプリントと呼びます。企業統治のコーポレートガバナンスを健全に保つため、投資家向け広報のIR、経営情報をまとめた統合報告書やアニュアルレポート、CSR報告書が公表されます。企業形態には、持分会社や株式会社があり、株式を市場に公開することをIPO(株式公開)と呼びます。
経営管理とヒューマンリソースマネジメント
経営管理は、企業の目的を達成するために活動を円滑に行い、経営資源の最適配分と有効活用を図る仕組み作りと運用です。改善のサイクルとしてPDCA(計画・実行・評価・改善)を回し、品質面ではTQM(総合的品質管理)に取り組みます。
人の資源を活かすヒューマンリソースマネジメント(人的資源管理)も要点です。実務を通じて育てるOJT、目標管理、学び直しのリスキリング、優秀な人材を計画的に活かすタレントマネジメント、仕事と生活の調和であるワークライフバランス、場所を選ばないテレワーク、多様性・公平性・包摂を重んじるDE&Iなどが含まれます。行動科学の面では、リーダーシップやネゴシエーション、自由な発想を出し合うブレーンストーミング、発想を飛躍させる水平思考、動機付けに関するXY理論や衛生理論が学びの対象です。
リスクマネジメント
企業の価値を維持・向上させるには、リスクを想定して備える必要があります。災害などでも重要な業務を続けるための計画が事業継続計画(BCP)で、それを継続的に運用・改善する活動が事業継続マネジメント(BCM)です。関連規格にJIS Q 22301があります。どの業務が止まるとどれだけ影響が出るかを分析することを事業影響度分析(BIA)と呼び、守るべき業務の優先順位を決める土台になります。
経営組織
代表的な組織構造には、上下の階層で構成する階層型組織(ピラミッド型組織)、仕事の機能で分ける職能別組織、指揮命令のラインと支援のスタッフを分けるラインアンドスタッフ組織、製品や地域などの事業単位で分ける事業部制組織、機能と事業の2つの軸で管理するマトリックス組織、独立採算の単位に分けるカンパニー制組織、特定の目的のために一時的に編成するプロジェクト組織があります。職能別組織は全員が本社という1人の上司に従うのに対し、事業部制組織は事業ごとに部門が分かれて利益責任をもち、マトリックス組織は1人が機能と事業の2人の上司から指揮を受ける点で異なります。
経営を担う役職も押さえましょう。
| 役職 | 責任範囲 |
|---|---|
| CEO | 最高経営責任者 |
| COO | 最高執行責任者 |
| CFO | 最高財務責任者 |
| CIO | 最高情報責任者 |
| CDO | 最高デジタル責任者 |
| CISO | 最高情報セキュリティ責任者 |
| CPO | 最高プライバシー責任者 |
社会におけるIT利活用の動向
コンピュータの処理能力の向上やデータ量の増加、AIの進化は、社会そのものを変えています。IoTやAIによる第4次産業革命、日本が目指す超スマート社会であるSociety5.0、データを軸に価値を生むデータ駆動型社会が、その方向を表します。企業や社会がデジタル技術で変わることをDX(デジタルトランスフォーメーション)と呼び、脱炭素に向けた変革をGX(グリーントランスフォーメーション)、その到達点をカーボンニュートラルと呼びます。ITの利活用は、人口動態や地球環境、教育格差といった社会課題の解決の手段としても期待されています。
例題
次の問いに答えてください。
問1 災害などの緊急事態でも重要な業務を継続、又は早期に復旧させるために、あらかじめ策定しておく計画を何といいますか。
問2 企業の情報戦略を統括する最高責任者を表す役職の略称は何ですか。
解答と解説
問1の答えはBCP(事業継続計画)です。それを運用・改善し続ける活動はBCM(事業継続マネジメント)です。
問2の答えはCIO(最高情報責任者)です。経営の視点でITを統括します。
応用
本試験を意識した問題を解いてみましょう。
問 事業を製品別や地域別などの単位に分け、それぞれに利益責任をもたせて独立性を高めた組織構造はどれでしょうか。次の中から選んでください。
- 事業部制組織
- 職能別組織
- マトリックス組織
- プロジェクト組織
解答と解説
答えは1の事業部制組織です。製品や地域などの事業単位ごとに部門を分け、それぞれに利益責任をもたせることで、意思決定を速め独立性を高めます。2の職能別組織は、製造・営業・経理といった仕事の機能で分ける組織であり、事業単位で分けるものではありません。3のマトリックス組織は、機能と事業などの2つの軸で二重に管理する組織で、1人が2人の上司をもつ形になります。4のプロジェクト組織は、特定の目的のために一時的に編成され、目的の達成後に解散する組織です。
分からなかった点・気になった点
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