業務分析・データ利活用
線形計画法や在庫管理の発注方式、ゲーム理論、QC七つ道具、回帰分析による需要予測、ビッグデータやBIといったデータ利活用の手法を理解できるようになります。
ねらい
データと数理の手法で意思決定を助ける方法を学びます。このレッスンを終えると、OR・IEの代表的な手法と、データ利活用の基本的な流れ、適切なグラフ表現を説明できるようになります。
ストーリー
「なんとなく多めに仕入れておこう」という勘は、しばしば在庫の山と欠品を同時に生みます。どれだけ仕入れるのが得か、どの作業に時間がかかっているか、来月はどれだけ売れそうか。こうした問いに、経験ではなく数字とデータで答えるのが業務分析です。
OR:数理で最適を求める
OR(オペレーションズリサーチ)は、数理的な手法で最適な意思決定を導く分野です。
- 線形計画法(LP)は、制約条件のもとで利益の最大化やコストの最小化を求める手法で、シンプレックス法で解きます。配分問題や輸送問題が代表例です。
- 在庫問題では、発注のたびに一定量を発注する定量発注方式と、一定期間ごとに発注する定期発注方式があります。定量発注方式で発注の目安となる在庫水準を発注点、総費用が最小になる1回の発注量を経済的発注量(EOQ)、品切れに備える余裕分を安全在庫と呼びます。
- 日程計画では、PERTやCPMを使い、アローダイアグラム上で最も余裕のない経路であるクリティカルパスを求めます。
- ゲーム理論では、利害が対立する状況を分析します。一方の利得が他方の損失になるゼロ和2人ゲーム、最悪の場合の利得を最大にするマクシミン原理、選択と結果を枝分かれで表すデシジョンツリー(決定木)が基本です。
在庫は時間とともに減り続け、発注点に達すると発注し、安全在庫を残したまま経済的発注量(EOQ)ぶんが届いて一気に回復する、という増減を繰り返します。
アローダイアグラムでは、開始から終了までの複数の経路のうち、最も日数がかかる経路がクリティカルパスになります。他の経路には日程の余裕(フロート)があり、多少遅れても全体の完了には影響しません。
IE・品質管理と需要予測
IE(経営工学)は、作業を測定・分析して効率を高める分野です。一定間隔で観測して作業の割合を推定するワークサンプリング法などの作業測定があります。検査では、一部を調べる抜き取り検査や、検査の特性を表すOC曲線、時間経過による故障率の変化を示す故障率曲線(バスタブ曲線)が使われます。
品質管理では、主に定量分析に使うQC七つ道具(パレート図、特性要因図、ヒストグラムなど)と、主に定性分析に使う新QC七つ道具があります。多い順に並べて重点を絞るパレート分析は、代表的な考え方です。
需要予測には、過去の実績から関係式を求める回帰分析、2つの量の関連の強さを表す相関係数、直近の値を平均する移動平均法、誤差の二乗和を最小にする最小二乗法が使われます。
データ利活用
大量のデータを事業に活かす取組も出題されます。データには、数値で表す量的データと分類で表す質的データ、自ら集めた1次データと既存の2次データ、表形式の構造化データと文章・画像などの非構造化データといった区別があります。Webから自動収集するWebクローリングやスクレイピング、多様なデータをそのまま蓄えるデータレイクが収集を支えます。
分析では、外れ値や欠損値の処理などの前処理を行い、データマイニングで規則性を見つけ、テキストマイニングで文章を分析し、アソシエーション分析で「一緒に買われる商品」のような関連を見つけます(関連の強さはリフト値で測ります)。経営の意思決定を支える仕組みをBI(ビジネスインテリジェンス)、膨大で多様なデータをビッグデータと呼びます。
分析結果は、統計的手法で正しく捉えます。全体を表す母集団から標本を抽出する際は、単純無作為抽出や層別抽出を使い、選択バイアスや情報バイアスに注意します。可視化では、目的に応じて棒グラフ・折れ線グラフ・箱ひげ図・散布図などを選び、起点が0でないグラフや不必要な立体表現といった不適切な表現に惑わされないことが大切です。
例題
次の問いに答えてください。
問1 在庫管理において、発注してから納品されるまでの需要をまかない、品切れを起こさないために設定する在庫水準の目安を何といいますか。
問2 データを値の大きい順に棒グラフで並べ、累積比率を折れ線で重ねて、重点的に取り組むべき項目を絞り込む手法を何といいますか。
解答と解説
問1の答えは発注点です。定量発注方式で、在庫がこの水準まで減ったら発注します。
問2の答えはパレート分析(パレート図)です。「上位の少数が全体の大半を占める」という傾向を活かします。
応用
本試験を意識した問題を解いてみましょう。
問 利害が対立する2人のゲームで、相手にどう動かれても自分の利得が最も大きくなるように、最悪の場合の利得が最大となる選択をする考え方はどれでしょうか。次の中から選んでください。
- マクシミン原理
- 線形計画法
- 移動平均法
- パレート分析
解答と解説
答えは1のマクシミン原理です。各選択について最悪の場合の利得を考え、その中で最大となる選択を選ぶという、リスクを避ける意思決定の考え方です。2の線形計画法は、制約条件のもとで目的の値を最大化・最小化する数理計画の手法であり、対戦相手を想定した意思決定の原理ではありません。3の移動平均法は、時系列データの直近の値を平均して傾向をつかむ需要予測の手法です。4のパレート分析は、項目を大きい順に並べて重点を絞る品質管理の手法であり、ゲームの意思決定とは関係ありません。
分からなかった点・気になった点
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