会計・財務
固定費・変動費と損益分岐点の計算、貸借対照表と損益計算書の見方、財務会計と管理会計の違い、ROA・ROEなどの財務指標や減価償却の考え方を理解できるようになります。
ねらい
会社のお金の流れを読む力を学びます。このレッスンを終えると、売上と利益と費用の関係、財務諸表の基本的な見方、代表的な財務指標を説明できるようになります。
ストーリー
「今月は売上が過去最高でした」という報告に、社長は喜びませんでした。売上が増えても、それ以上に費用がかかっていれば利益は残らないからです。会社の健康状態は、売上の大きさではなく、費用との関係で決まります。
売上と利益、損益分岐点
費用は、売上に関係なくかかる固定費と、売上に比例してかかる変動費に分けられます。売上高と費用がちょうど等しくなり、利益も損失も出ない売上高を損益分岐点と呼びます。損益分岐点は次の式で求めます。
損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ (1 − 変動費率)
変動費率は、売上高に対する変動費の割合です。たとえば固定費が300万円、変動費率が0.4のとき、損益分岐点売上高は300万円 ÷ (1 − 0.4)で500万円です。売上が500万円を超えると利益が出ます。なお、供給できずに逃した利益を機会損失と呼びます。
動かして確かめる
固定費と変動費率を動かすと、損益分岐点売上高がどう変わるか確かめられます。実際の売上高も動かして、黒字と赤字の境目を探してみましょう。
固定費と変動費率を動かすと、損益分岐点はどこへ動くか。
損益分岐点売上高=固定費÷(1−変動費率)。実際の売上高も動かして、黒字と赤字の境目を確かめてください。
企業会計の手順と決算
取引は仕訳として記録し、仕訳帳から総勘定元帳へ転記します。会計期間ごとに決算を行い、試算表や精算表を経て財務諸表を作成します。子会社を含む企業グループを1つの組織とみなして決算することを連結会計と呼び、買収で生じる差額であるのれんなどが関係します。国際的な会計基準としてIFRSがあります。
財務諸表の見方
代表的な財務諸表は次の3つです。
| 財務諸表 | 表すもの |
|---|---|
| 貸借対照表 | ある時点の資産・負債・純資産の状態(財政状態) |
| 損益計算書 | 一定期間の収益・費用・利益(経営成績) |
| キャッシュフロー計算書 | 一定期間の現金の増減 |
貸借対照表では、資産を流動資産・固定資産・繰延資産に、負債を流動負債・固定負債に分け、残りを純資産(株主資本など)とします。左側の資産の合計は、右側の負債と純資産の合計に必ず一致します。
損益計算書では、売上総利益、営業利益、経常利益といった段階ごとの利益を計算します。売上総利益から販売費及び一般管理費を引くと営業利益、そこに営業外損益を加減すると経常利益になります。段階を経るごとに費用や損益が差し引かれ、利益の幅が絞られていきます。
財務会計と管理会計
企業会計には2つの目的があります。財務会計は、法的に定められた情報公開の仕組みで、外部の株主や債権者に報告します。管理会計は、企業活動の見直しや経営計画の策定に使う、社内向けの会計です。
経営分析には財務指標を使います。収益性を測る指標には、総資産をどれだけ効率よく利益に変えたかを示すROA(総資産利益率)、株主の資本に対する利益を示すROE(自己資本利益率)があります。安全性を測る指標には、短期の支払能力を示す流動比率、資本の健全さを示す自己資本比率があります。
資金管理と資産管理
必要な資金を調達し、効率的な投資とキャッシュフローの維持を図る活動が資金計画と資金管理です。現金を軸に経営を捉える考え方をキャッシュフロー経営、資金を効率的に管理する仕組みをキャッシュマネジメントと呼びます。
資産管理では、在庫(棚卸資産)の評価方法として、先に仕入れた分から払い出したとみなす先入先出法、平均単価で評価する総平均法や移動平均法があります。建物や機械などの固定資産は、使用に応じて価値が減るとみなし、その分を費用として計上する減価償却を行います。資産を貸借対照表に載せないことをオフバランスと呼び、リースの活用などが関係します。
例題
次の問いに答えてください。
問1 固定費が600万円、変動費率が0.25のとき、損益分岐点売上高はいくらですか。
問2 一定期間の収益と費用から、企業の経営成績(もうけ)を表す財務諸表を何といいますか。
解答と解説
問1の答えは800万円です。600万円 ÷ (1 − 0.25) = 600万円 ÷ 0.75 = 800万円と計算します。
問2の答えは損益計算書です。ある時点の財政状態を表す貸借対照表と区別しましょう。
応用
本試験を意識した問題を解いてみましょう。
問 企業の収益性を測る指標のうち、総資産を使ってどれだけ効率的に利益を生み出したかを表すものはどれでしょうか。次の中から選んでください。
- ROA
- 流動比率
- 自己資本比率
- 損益分岐点
解答と解説
答えは1のROA(総資産利益率)です。利益を総資産で割って求め、資産全体をどれだけ効率よく利益に変えたかという収益性を測ります。2の流動比率は、流動資産を流動負債で割った、短期の支払能力を測る安全性の指標です。3の自己資本比率は、総資本に占める自己資本の割合を示す安全性の指標です。4の損益分岐点は、利益も損失も出ない売上高のことであり、収益性そのものを測る指標ではありません。
分からなかった点・気になった点
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