労働・取引関連法規
労働基準法と労働者派遣法(偽装請負・二重派遣)、民法の請負と準委任、NDAやOSSライセンスといった企業間契約、下請法や特定商取引法を理解できるようになります。
ねらい
働き方と取引のルールを学びます。このレッスンを終えると、労働に関する代表的な法律、派遣と請負の違い、企業間の取引に関わる契約とソフトウェアのライセンスを説明できるようになります。
ストーリー
システム開発の現場には、自社の社員、派遣で来た技術者、外注先の会社の社員が入り混じることがよくあります。誰が誰に指示を出せるのか、契約は何なのか。これを取り違えると、意図せず法律違反になることがあります。労働と取引の法律は、働く人と取引の公正さを守る土台です。
労働関連の法規
労働基準法は、労働条件の最低基準を定めた法律です。就業規則、賃金、労働時間、労働災害、解雇・退職などを規定します。時間外・休日労働に必要な労使協定である36協定、労働時間を労働者の裁量に委ねる裁量労働制、始業・終業の時刻を労働者が選べるフレックスタイム制が代表的な用語です。
労働者派遣法は、労働者を派遣する際の三者の関係を定めます。派遣労働者は派遣元と雇用契約を結び、派遣先の指揮命令を受けて働きます。ここで、実態は指揮命令を受けているのに請負契約を装う偽装請負や、派遣された労働者をさらに別の会社へ派遣する二重派遣は禁止されています。派遣先が労働者に直接指示できるのが派遣、指示できないのが請負、という違いが要点です。
このほか、労働契約法、労働安全衛生法、パワハラ防止法(労働施策総合推進法)、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法、公益通報者保護法などがあります。
取引関連の法規
取引に関わる代表的な法律を押さえましょう。
- 民法は、契約の基礎を定めます。ソフトウェア開発では、仕事の完成に責任を負う請負契約と、業務の遂行に責任を負う(準)委任契約の区別が重要です。
- 中小受託取引適正化法(取適法)は、発注する側が優位な立場を悪用して、中小の受託事業者に不当な負担を強いることを防ぎます。製造委託や役務提供委託などが対象です。
- インターネット取引に関わる法律には、消費者の操作ミスを救済する電子消費者契約法、訪問販売や通信販売のルールを定める特定商取引法、電子マネーなどを規律する資金決済法、誇大な表示を規制する景品表示法があります。権利が消滅し誰でも自由に使える状態をパブリックドメインと呼びます。
企業間の取引に関わる契約
企業間の取引では、目的に応じた契約を結びます。
| 契約 | 目的 |
|---|---|
| 外部委託契約 | 自社以外の事業者に業務を委託する |
| 守秘契約(NDA) | 開示する秘密情報を守る |
| ソフトウェア使用許諾契約 | ソフトウェアの利用条件を取り決める |
| ソフトウェア開発契約 | ソフトウェアの開発を受託する |
ソフトウェア使用許諾契約(ライセンス契約)には様々な形態があります。まとめて購入するボリュームライセンス契約、特定の施設内での利用を認めるサイトライセンス契約、包装を開封すると契約に同意したとみなすシュリンクラップ契約、サーバへの接続数に応じたCALがあります。オープンソースソフトウェア(OSS)のライセンスでは、改変・再配布したものにも同じ条件を課すコピーレフトの考え方があり、GPLやLGPLがその例です。無償のフリーソフトウェアや、試用後に支払うシェアウェアも押さえましょう。
例題
次の問いに答えてください。
問1 実態は派遣先の指揮命令を受けて働いているのに、契約上は請負を装う違法な形態を何といいますか。
問2 オープンソースソフトウェアのライセンスで、改変・再配布した成果物にも元と同じ条件を適用させる考え方を何といいますか。
解答と解説
問1の答えは偽装請負です。指揮命令の実態と契約の形式が食い違っており、労働者派遣法などに違反します。
問2の答えはコピーレフトです。GPLが代表例で、自由を「引き継がせる」仕組みです。
応用
本試験を意識した問題を解いてみましょう。
問 労働者派遣において、派遣労働者と雇用契約を結ぶのはどの当事者でしょうか。次の中から選んでください。
- 派遣元
- 派遣先
- 派遣労働者自身が設立した会社
- 労働基準監督署
解答と解説
答えは1の派遣元です。派遣労働者は派遣元と雇用契約を結び、実際の業務では派遣先の指揮命令を受けて働きます。2の派遣先は、労働者に指揮命令を行いますが、雇用契約の相手ではありません。3は労働者派遣の仕組みと異なる記述で、誤りです。4の労働基準監督署は、労働基準法などの遵守を監督する行政機関であり、雇用契約の当事者ではありません。
分からなかった点・気になった点
読み込み中です。