エンジニアリングシステム
JITやかんばん方式などの生産方式、FA・FMS・MRPといった生産システム、CAD・CAE・CAM・CIMというコンピュータ支援システムを区別できるようになります。
ねらい
ものづくりの現場を支えるシステムを学びます。このレッスンを終えると、生産の自動制御の仕組みと代表的な生産方式、CADをはじめとするコンピュータ支援システムの役割を説明できるようになります。
ストーリー
自動車工場の組立ラインでは、必要な部品が必要なときに必要な量だけ届きます。倉庫には作りすぎた在庫がほとんどありません。この「ムダのない流れ」は偶然ではなく、生産方式と情報システムの組合せで設計されたものです。
生産の自動制御と生産方式
生産工程の自動制御では、工作機械を数値データで制御するNC(数値制御)、生産ラインを見守る自動監視装置、部品を運ぶ無人搬送車、入出庫を自動化する自動倉庫が使われます。
生産方式の代表例は次のとおりです。
- JIT(ジャストインタイム)は、必要なものを必要なときに必要な量だけ生産する考え方です。
- かんばん方式は、JITを実現する仕組みで、後工程が使った分だけ前工程に「かんばん」で発注し、中間在庫を最小化します。
- リーン生産方式は、ムダを徹底的に排除する生産方式の総称です。
- セル生産方式は、1人または少人数のチームが製品の組立を最初から最後まで受け持つ方式で、多品種少量の生産に向きます。
かんばん方式の要点は、モノ(部品)の流れと、発注の指示(かんばん)の流れが逆向きになることです。部品は前工程から後工程へ流れますが、発注の指示は後工程から前工程へさかのぼります。
ラインをどう編成するか(生産ラインの編成)も、生産性を左右する設計の論点です。
生産システム:FAとその構成
FA(Factory Automation)システムは、生産工程の自動化を図るシステムです。設計段階から組立、検査、出荷、在庫管理などの工程で合理化を図るために、生産管理システムや生産計画を支援するツールを取り入れ、装置制御から工場管理まで効率的な自動化を実現します。
| 仕組み | 内容 |
|---|---|
| CAP/CAPP | コンピュータで生産計画・工程設計を支援する |
| MRP | 生産計画から必要な資材の量と時期を計算して手配する |
| FMS | 多品種の生産に柔軟に対応できる生産システム |
| FMC | FMSを構成する、柔軟に段取りを変えられる加工の単位(セル) |
生産の効率は生産性指標で測り、改善につなげます。
コンピュータ支援システム
設計・開発の場面では、頭文字にCA(Computer Aided)が付く支援システムが活躍します。
- CAD(Computer Aided Design)は、コンピュータによる設計・製図の支援です。
- CAE(Computer Aided Engineering)は、強度や熱などの解析・シミュレーションによる設計の検証です。
- CAM(Computer Aided Manufacturing)は、設計データから工作機械の加工プログラムを作る製造の支援です。
- PDM(Product Data Management)は、設計図面や部品表などの製品データを一元管理します。
- CIM(Computer Integrated Manufacturing)は、設計から生産、販売までの情報を統合し、生産や物流・販売の流れを総合的に管理する考え方です。
「CADで設計し、CAEで検証し、CAMで加工し、PDMでデータを管理し、CIMで全体を統合する」という流れで覚えましょう。CAD・CAE・CAMが一列に並ぶ工程であるのに対し、PDMは各工程のデータを横断して管理し、CIMは設計から生産・物流・販売までをまとめて包み込む、という関係の違いも押さえておくとよいでしょう。
例題
次の問いに答えてください。
問1 後工程が使用した分だけ前工程に生産・運搬を指示する札を用いて、中間在庫を最小化する生産方式を何といいますか。
問2 コンピュータで強度や熱などの解析・シミュレーションを行い、設計を検証する支援システムを何といいますか。
解答と解説
問1の答えはかんばん方式です。JIT(ジャストインタイム)を実現する代表的な仕組みです。
問2の答えはCAE(Computer Aided Engineering)です。設計を支援するCAD、製造を支援するCAMと区別しましょう。
応用
本試験を意識した問題を解いてみましょう。
問 生産計画を基に、製品を作るために必要な資材の種類と量、手配の時期を計算して調達・生産を管理する仕組みはどれでしょうか。次の中から選んでください。
- MRP
- FMS
- CAD
- PDM
解答と解説
答えは1のMRP(資材所要量計画)です。生産計画と部品表、在庫情報から、必要な資材の量と発注の時期を計算します。2のFMS(Flexible Manufacturing System)は、多品種の生産に柔軟に対応する生産システムであり、資材の所要量計算の仕組みではありません。3のCADはコンピュータによる設計・製図の支援です。4のPDM(Product Data Management)は設計図面や部品表などの製品データを一元管理する仕組みで、資材の手配計算を行うものではありません。
分からなかった点・気になった点
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