ビジネスシステム
POSやIoT・デジタルツインなどの業務システム、e-Govやマイナンバーなどの行政システム、人間中心のAI社会原則やハルシネーションなどAI利活用の論点を理解できるようになります。
ねらい
社会の様々な分野で使われる情報システムを学びます。このレッスンを終えると、社内業務・基幹業務・行政のそれぞれで使われる代表的なシステムと、AIを利活用する際の原則・留意事項を説明できるようになります。
ストーリー
コンビニで商品を買うと、レジが売れた商品と時刻を記録し、本部が発注に活かします。役所ではマイナンバーで手続が進み、工場では機械の状態が仮想空間に再現されています。目に見えないところで、無数のビジネスシステムが社会を動かしています。
社内業務・基幹業務を支えるシステム
社内業務支援システムには、会計・経理・財務システム、人事・給与システム、営業支援システム、組織内の情報共有を支えるグループウェア、Web会議システム、申請・承認を電子化するワークフローシステムがあります。財務報告の分野では、財務情報を電子的に交換するための言語であるXBRLが使われます。
基幹業務を支えるシステムの代表例は次のとおりです。
- POSシステムは、販売時点の情報(何がいつ売れたか)を記録し、品ぞろえや発注に活かします。
- 流通情報システム・物流情報システムは、受発注管理、在庫管理、店頭販売管理などを支えます。金融情報システムや医療情報システムのような業種特化のシステムもあります。
- ERPパッケージや業務別・業種別パッケージは、業務を標準機能で支えるソフトウェアです。
- コンテンツを利用者の近くのサーバから配信するCDN(Content Delivery Network)も、サービスを支える基盤です。
さらに、あらゆるモノがネットワークにつながるIoT、現実の設備やモノをデジタル空間に再現するデジタルツイン、現実世界とサイバー空間が連動するサイバーフィジカルシステム(CPS)、改ざんしにくい記録でトレーサビリティ確保やスマートコントラクトを実現するブロックチェーンの活用が広がっています。
行政システム・公共情報システム
行政の分野では、行政手続の電子窓口であるe-Govをはじめ、電子政府・電子自治体の取組が進んでいます。自治体間を結ぶLGWAN(総合行政ネットワーク)、住民基本台帳ネットワークシステム、上場企業の開示書類を閲覧できるEDINET、個人を識別するマイナンバーとその個人向け窓口であるマイナポータルが代表例です。
公共の分野では、電力を効率的に制御するスマートグリッドとEMS(エネルギーマネジメントシステム)、GPS応用システム、道路交通を高度化するITS、緊急速報やJアラート(全国瞬時警報システム)があります。公共システムには、誰もが使えるユニバーサルデザインと、デジタルディバイドへの配慮が求められます。
AIの利活用
AIの社会実装には原則があります。日本では人間中心のAI社会原則(人間中心の原則、公平性・説明責任・透明性の原則など)が示され、AI利活用ガイドラインやAI開発ガイドライン、信頼できるAIのための倫理ガイドラインなどが整備されています。
AIは、仮説検証、知識発見、原因究明、計画策定、判断支援、活動代替といった目的で、製造・物流・販売・金融・ヘルスケアなど幅広い領域で活用されています。教師あり学習による予測(売上予測、離反予測など)、教師なし学習によるグルーピング(顧客セグメンテーション)、文章の要約やプログラミング、画像生成を行う生成AIやマルチモーダルAIがその例です。特定の用途に絞った特化型AIと、人間のように幅広く対応する汎用AIの区別や、AIの古典的な難問であるフレーム問題・シンボルグラウンディング問題も押さえましょう。
利活用には留意事項があります。AIの出力には、誤った情報、偏った情報、差別的表現などの悪意ある情報、古い情報が含まれるリスクがあります。もっともらしい誤りを生成するハルシネーションや、本物と見分けの付かない偽動画などのディープフェイクは代表的な脅威です。そのため、判断の根拠を説明できるようにする説明可能なAI(XAI)や、人間が確認・介入する仕組みであるヒューマンインザループ(HITL)が重要になります。AIの出力は人間が確認し、必要に応じて加工して用いるという関与が欠かせません。
例題
次の問いに答えてください。
問1 現実の工場設備などの状態をデジタル空間にリアルタイムで再現し、シミュレーションに活用する技術を何といいますか。
問2 AIがもっともらしいが誤った情報を生成してしまう現象を何といいますか。
解答と解説
問1の答えはデジタルツインです。「デジタルの双子」を作ることで、現実では試しにくい実験や予測ができます。
問2の答えはハルシネーションです。AIの出力を人間が確認することの重要性の根拠になっています。
応用
本試験を意識した問題を解いてみましょう。
問 AIの利活用において、AIの判断過程や根拠を人間が理解できるように説明可能にする取組はどれでしょうか。次の中から選んでください。
- XAI
- HITL
- ディープフェイク
- マルチモーダルAI
解答と解説
答えは1のXAI(説明可能なAI)です。AIの判断の根拠を人間が理解できる形で示すことで、公平性・説明責任・透明性の原則を支えます。2のHITL(ヒューマンインザループ)は、AIの処理の輪の中に人間の確認・介入を組み込む仕組みであり、説明可能にする技術そのものではありません。3のディープフェイクは、AIで生成された本物と見分けの付かない偽の画像・動画であり、取組ではなく脅威の例です。4のマルチモーダルAIは、文章・画像・音声など複数の種類のデータを扱えるAIのことで、説明可能性とは別の概念です。
分からなかった点・気になった点
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