通信に関する理論
伝送路の種類、変復調と多重化、パリティチェックなどの誤り検出・訂正、信号同期方式という、データを正しく届けるための理論を理解できるようになります。
ねらい
データを離れた場所へ正しく届けるための基本理論を学びます。このレッスンを終えると、通信の向きによる伝送路の分類、変調と多重化の考え方、誤りを見つけて直す仕組み、送り手と受け手のタイミングを合わせる方式を説明できるようになります。
ストーリー
あなたはオンライン会議で同僚と話しています。あなたの声は0と1のデータになり、回線を通って相手に届きます。ここで疑問がわきます。互いに同時に話せるのはなぜでしょうか。1本の回線をたくさんの通信が共有できるのはなぜでしょうか。そして、途中でデータが壊れたら、どうやって気づくのでしょうか。この3つの疑問に、このレッスンで答えていきます。
伝送路:通信の向きで分類する
データが流れる道を伝送路といいます。通信の向きに注目すると、次の3つに分類できます。
| 方式 | 通信の向き | 身近な例 |
|---|---|---|
| 単方向 | 一方向のみ | ラジオ放送、テレビ放送 |
| 半二重 | 双方向。ただし同時には片方向のみ | トランシーバー |
| 全二重 | 双方向で同時に送受信できる | 電話、オンライン会議 |
冒頭の疑問の1つめの答えがここにあります。オンライン会議で互いに同時に話せるのは、全二重の通信だからです。
変復調方式:アナログの伝送路にデジタルを載せる
電話回線のようなアナログの伝送路でデジタルデータを送るには、0と1を波の形に乗せる必要があります。送信側で波に乗せる処理を変調、受信側で元のデータに戻す処理を復調といいます。波のどこを変化させるかで、代表的な方式が3つあります。
- AM(振幅変調)は、波の振れ幅を変化させます。
- FM(周波数変調)は、波の細かさを変化させます。
- PM(位相変調)は、波のずれ具合を変化させます。
逆に、音声のようなアナログ情報をデジタルデータに変換する代表的な方式がPCM(パルス符号変調)です。前のレッスンで学んだ標本化、量子化、符号化の手順で、波を0と1の並びに変えます。
多重化方式:1本の伝送路を分け合う
冒頭の疑問の2つめが、1本の回線を複数の通信で共有する仕組みです。これを多重化といい、分け方に2つの代表的な方式があります。
- FDM(周波数分割多重)は、伝送路が扱える周波数の範囲をいくつかの帯域に分け、通信ごとに別の帯域を割り当てます。ラジオ局が局ごとに違う周波数を使うのと同じ考え方です。
- TDM(時分割多重)は、時間を短い区切りに分け、通信ごとに順番に時間を割り当てます。1本の道を時間差で交代しながら使うイメージです。
誤り検出・訂正:壊れたデータに気づき、直す
冒頭の疑問の3つめです。伝送中のデータは、雑音の影響でビットが反転してしまうことがあります。信頼性を高めるために、受信側で誤りに気づける工夫を施します。
パリティチェック
最も基本的な誤り検出がパリティチェックです。データに検査用の1ビット(パリティビット)を付け加え、1の個数が偶数になるように揃える方式を偶数パリティ、奇数になるように揃える方式を奇数パリティといいます。受信側は1の個数を数え、約束と合わなければ伝送中に誤りが起きたと判断できます。ただし、どのビットが誤ったかまでは分からないため訂正はできず、2ビットが同時に反転すると見逃してしまいます。
主な誤り検出・訂正の技術
| 技術 | できること |
|---|---|
| パリティチェック | 1ビットの誤りの検出 |
| チェックサム | データの合計値を使った誤りの検出 |
| CRC | 連続したビットの誤り(バースト誤り)にも強い検出 |
| ハミング符号 | 誤りの検出に加え、1ビットの誤りなら訂正もできる |
| ECC | 誤り訂正符号の総称。メモリの信頼性向上などに使われる |
検出だけの技術は、誤りに気づいたら送り直してもらうことで信頼性を保ちます。ハミング符号のような訂正できる技術は、送り直しが難しい場面で力を発揮します。
信号同期方式:送り手と受け手のタイミングを合わせる
0と1の列を正しく読み取るには、どこからが1ビットで、どこからが1文字かを送り手と受け手で合わせる必要があります。この仕組みを信号同期といいます。
- ビット同期は、ビットを読み取るタイミングそのものを合わせます。
- 調歩同期は、文字の前後にスタートビットとストップビットを付けて区切りを知らせます。
- キャラクター同期は、SYN同期用の特別な文字を先頭に置いて文字の区切りを合わせます。
- フラグ同期(フレーム同期)は、フラグと呼ばれる特別なビットパターンでデータのまとまりの始まりと終わりを示します。
例題
次の問いに答えてください。
問1 7ビットのデータ1010110に偶数パリティのパリティビットを1ビット付け加えます。パリティビットは0と1のどちらになりますか。
問2 双方向の通信ができるものの、同時には片方向しか送れない伝送方式を何といいますか。
解答と解説
問1の答えは0です。データ1010110に含まれる1の個数は4個で、すでに偶数です。偶数パリティは全体の1の個数を偶数に揃える方式なので、パリティビットは0にします。
問2の答えは半二重です。双方向で同時に送受信できる方式は全二重、一方向しか送れない方式は単方向です。
応用
本試験を意識した問題を解いてみましょう。
問 受信側で1ビットの誤りを検出するだけでなく、訂正までできるものはどれでしょうか。次の中から選んでください。
- 偶数パリティ
- チェックサム
- ハミング符号
- CRC
解答と解説
答えは3のハミング符号です。ハミング符号は検査用のビットを複数組み合わせて付加することで、どのビットが誤ったかを特定でき、1ビットの誤りなら受信側だけで訂正できます。1の偶数パリティは1ビットの誤りを検出できますが、どのビットが誤ったかは分からないため訂正はできません。2のチェックサムは合計値の照合による検出の技術で、訂正はできません。4のCRCはバースト誤りにも強い検出の技術ですが、これも基本的には検出までで、訂正の仕組みは持ちません。
分からなかった点・気になった点
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