通信プロトコル
TCPとUDPの違い、IPアドレスとサブネットマスク、HTTPやSMTPなどのアプリケーション層プロトコル、イーサネットと無線LANの規格を理解できるようになります。
ねらい
インターネットを支えるプロトコルの分担を学びます。このレッスンを終えると、TCP/IPの階層ごとの代表的なプロトコルを対応付け、TCPとUDPの使い分け、IPアドレスの仕組み、有線と無線のLAN規格を説明できるようになります。
ストーリー
あなたが送ったメールは、SMTPというプロトコルで相手のメールサーバまで運ばれ、相手はPOPやIMAPで受け取ります。ウェブを見るときはHTTP、時刻合わせはNTP。用途ごとに「約束ごと」が決まっているから、メーカーも国も違う機器どうしが会話できます。プロトコルの世界地図を描いていきましょう。
TCP/IPの階層とプロトコル
TCP/IPは、OSI基本参照モデルと対比しながら理解します。データはパケットに分けられ、各層がヘッダーという宛先情報などを付けて下の層へ渡します。
データリンク層のプロトコル
IPアドレスから物理アドレスを調べるARP、2地点間を結ぶPPPと、それをイーサネット上で使うPPPoE、より新しい接続方式のIPoEがあります。物理的な配線と独立に仮想的なLANを構成する仕組みがVLANです。
ARPが調べる物理アドレスは、正式にはMACアドレスと呼ばれます。ネットワークカードなどの通信機器に、製造時点で世界に1つだけ割り当てられる48ビットの番号で、00-1A-2B-3C-4D-5E のように16進数2桁を6組ハイフンでつないで表記します。IPアドレスが「いまどこにいるか」を示す番号なのに対し、MACアドレスは「その機器そのもの」を示す番号で、機器を買い替えない限り変わりません。
ネットワーク層のプロトコル
中心はIPです。IPアドレスは、ネットワーク部を示すサブネットマスクによってネットワークを分割(サブネットアドレス)でき、クラスにとらわれない割当て方をCIDRといいます。宛先の指定には、1対1のユニキャスト、全員宛てのブロードキャスト、特定のグループ宛てのマルチキャストがあります。通信状態の確認にはICMPが使われ、pingコマンドの土台になっています。
具体的に見てみましょう。IPアドレス 192.168.1.0 に、サブネットマスク 255.255.255.192 を組み合わせるとします。255は「その8ビットをネットワーク部に使う」という意味で、192(2進数で11000000)は、その1バイトのうち先頭2ビットだけをネットワーク部に使うという意味です。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| ネットワーク部のビット数 | 24 + 2 = 26ビット |
| ホスト部のビット数 | 32 - 26 = 6ビット |
| 割り当てられるホスト数 | 2の6乗 - 2 = 62台 |
ホスト部の全ビットが0の値はネットワークアドレス(そのネットワーク自体を指す)、全ビットが1の値はブロードキャストアドレス(そのネットワーク内の全機器あて)として予約されているため、実際に機器へ割り当てられる数は2を引いた62台になります。
このネットワーク部のビット数を使った書き方がCIDR表記です。上の例は 192.168.1.0/26 と書きます。「/26」は、サブネットマスクをいちいち書く代わりに、ネットワーク部が26ビットであることを直接示しています。
トランスポート層:TCPとUDP
- TCPは、相手と接続を確立し、届いたかを確認しながら送る信頼性重視のプロトコルです。
- UDPは、確認を省いて送りっぱなしにする速度重視のプロトコルです。音声や動画の配信のように、多少の欠落より遅れないことが大切な用途で使われます。
TCPは届いたかを確かめる道を余分に持ち、UDPはその道を持たずに送りっぱなしにします。この1本の道の有無が、信頼性と速度のどちらを取るかを分けています。
どのアプリケーションに渡すかは、ポート番号で見分けます。
アプリケーション層のプロトコル
| プロトコル | 役割 |
|---|---|
| HTTP(HTTP/2、HTTP/3) | ウェブページの転送 |
| SMTP | 電子メールの送信 |
| POP、IMAP | 電子メールの受信。IMAPはサーバに置いたまま読める |
| FTP | ファイル転送 |
| DNS | ドメイン名とIPアドレスの対応付け |
| DHCP | IPアドレスなどの設定の自動割当て |
| NTP | 時刻合わせ |
| TELNET | 遠隔ログイン |
こうして見ると、TCP/IPは上の層ほど利用者に近い仕事を、下の層ほど回線に近い仕事を受け持つ積み重ねだと分かります。
LANとWANのインタフェース
有線LANの主流はイーサネットで、10BASE-T、100BASE-TX、1000BASE-T、10GBASE-Tと速度の規格が発展してきました。無線LANはIEEE 802.11のa/b/g/n/ac/axという規格の系譜で、n以降はWi-Fi 4、Wi-Fi 5、Wi-Fi 6(拡張のWi-Fi 6E)という呼び名が付いています。複数のアクセスポイントを網の目に連携させて家中をカバーするメッシュWi-Fiも普及しています。
このほか、ネットワーク上に分散したプログラムどうしの相互利用を可能にする分散オブジェクト技術の規格としてCORBAがあります。
例題
次の問いに答えてください。
問1 接続の確立や到達の確認を省き、速度を重視するトランスポート層のプロトコルは何ですか。
問2 端末にIPアドレスなどのネットワーク設定を自動的に割り当てるプロトコルは何ですか。
解答と解説
問1の答えはUDPです。信頼性のTCP、速さのUDPという対比で覚えましょう。動画配信や音声通話のように、再送を待つより流れ続けることが大切な用途で使われます。
問2の答えはDHCPです。パソコンやスマートフォンをネットワークにつなぐだけで通信できるのは、DHCPが設定を自動で配っているからです。
応用
本試験を意識した問題を解いてみましょう。
問 電子メールをメールサーバへ送信するときに使われるプロトコルはどれでしょうか。次の中から選んでください。
- SMTP
- POP
- FTP
- NTP
解答と解説
答えは1のSMTPです。メールの送信と、サーバからサーバへの転送を受け持ちます。2のPOPはメールの受信のためのプロトコルで、向きが逆です。送信はSMTP、受信はPOPやIMAPという分担を対で覚えましょう。3のFTPはファイル転送のプロトコルであり、メールの仕組みではありません。4のNTPはコンピュータの時刻を合わせるためのプロトコルで、メールの送受信には使われません。
分からなかった点・気になった点
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