基本情報技術者試験には科目Aと科目Bという2つの試験が課されます。名称だけを見ると単なる前半・後半の構成に思われがちですが、実際には試験の性格がまったく異なります。この性質の違いを把握しないまま学習を始めると、時間配分を大きく誤る要因になります。
この試験の構成と特徴
| 項目 | 科目A | 科目B |
|---|---|---|
| 試験時間 | 90分 | 100分 |
| 出題数 | 60問 | 20問 |
| 採点される問題数 | 56問 | 19問 |
1問あたりの解答時間を計算すると科目Aは1分半、科目Bは5分となり、同じ1問でも求められる時間や思考の重みが3倍以上異なります。科目Aは知識を問う問題が中心でテンポよく判断していくのに対し、科目Bは擬似言語で書かれたプログラムをじっくり読み解く力が求められます。
試験はCBT方式で随時実施されており、試験要綱に基づき科目Aと科目Bは同日に実施されます。コンピュータを用いる方式の場合、科目A終了後から科目B開始までに最長10分の休憩を取得可能です。1日で2つの試験を続けて受ける形となるため、当日は全体で3時間半ほどの拘束時間を想定しておく必要があります。
採点対象外となる問題の存在
試験要綱に示されているとおり、科目A・科目Bの双方には採点対象外の問題が含まれています。
- 科目Aは60問のうち評価は56問で行い、残り4問は今後出題する問題を評価するために使われる
- 科目Bは20問のうち評価は19問で行い、残り1問は今後出題する問題を評価するために使われる
どの設問が採点対象外であるかは受験中には判断できません。そのため、試験中に難問に直面して手も足も出ない場合でも、その1問が採点対象外である可能性があります。とくに科目Bは出題数が20問に限られているため、1つの問題で立ち止まるリスクが非常に大きくなります。見切りをつけて次の設問へ進む判断材料として、この仕組みを把握しておくことが役立ちます。
合格基準は両科目で600点以上
試験要綱では、合格の条件が次のように定められています。
各科目(科目A試験、科目B試験)の評価点が全て基準点以上の場合に合格とする
具体的な基準点は以下のとおりです。
| 科目 | 基準点 | 満点 |
|---|---|---|
| 科目A | 600点 | 1,000点 |
| 科目B | 600点 | 1,000点 |
合格には両科目とも600点以上の獲得が必須条件です。たとえば科目Aで900点を取得しても、科目Bが599点であれば不合格となります。一方の科目で得点を稼いでもう一方を補填することはできないため、双方にバランスよく学習時間を割り当てる必要があります。
あわせて知っておきたい点として、この試験には1問あたりの固定配点が存在しません。試験要綱には次の事実が明記されています。
IRTに基づいて解答結果から評価点を算出することから、配点割合はない
項目応答理論(IRT)と呼ばれるこの採点方式では、単純な正解数ではなく解答結果全体から評価点が算出されます。したがって「あと何問正解すれば600点に到達するか」という厳密な逆算は不可能です。学習においては、両科目で偏りなく着実に正解を積み重ねる姿勢が基本方針となります。
科目Bの20問中16問を占めるアルゴリズムとプログラミング
基本情報技術者試験の構成において、もっとも把握しておくべき数値がこの出題比率です。科目Bの分野構成は均等ではなく、試験要綱には次のように記載されています。
分野別の出題数は、アルゴリズムとプログラミング分野16問、情報セキュリティ分野4問とする
全20問のうち16問、割合にして8割がアルゴリズムとプログラミング分野から出題されるため、科目Bは実質的にアルゴリズムを中心とした試験といえます。さらに科目B単独で600点以上の基準点が設けられている以上、この分野の対策を避けて合格することはできません。
科目Bで使用されるプログラミング言語についても、試験要綱に明確な規定があります。
プログラム言語について、基本情報技術者試験では擬似言語を扱う
特定のプログラミング言語を個別に習得する必要はなく、本試験のために定められた擬似言語の記法を読解できれば解答可能です。実務での開発経験の有無は直接問われないため、プログラミング言語の未経験者であっても、擬似言語の読み方とトレース手順を身につければ十分に対応できます。
科目Bの出題範囲は、プログラミング全般、プログラムの処理の基本要素、データ構造及びアルゴリズム、プログラミングの諸分野への適用、情報セキュリティの確保という5項目で構成されています。このうち4項目がプログラミングに関連する内容となっており、出題比率の偏りが範囲定義の上でも一貫しています。
科目Aは3分野9つの大分類から出題
科目Aの出題範囲は、以下の3分野で構成されています。ITパスポート試験と同じ大枠ですが、求められる専門性の深さが異なります。
| 分野 | 大分類 |
|---|---|
| テクノロジ系 | 基礎理論、コンピュータシステム、技術要素 |
| マネジメント系 | 開発技術、プロジェクトマネジメント、サービスマネジメント |
| ストラテジ系 | システム戦略、経営戦略、企業と法務 |
大分類は9つ、中分類は23、シラバスの小分類は96に及び、非常に幅広い領域から網羅的に出題される点が科目Aの特徴です。なお科目Aに関しては分野別の詳細な出題比率が公表されておらず、科目Bのみ分野別の内訳が明示されている点も試験構造上の特徴です。
ただし重点分野として明示されている領域もあります。試験要綱の出題分野一覧において基本情報技術者試験では情報セキュリティに重点分野の印が付与されており、科目Aと科目Bの双方に共通する重要な学習テーマとなっています。
よくある質問
受験資格はありますか
IPAの試験要綱および公式の試験概要ページにおいて受験資格の制限は記載されておらず、年齢や学歴を問わず誰でも受験可能です。また、事前にITパスポート試験に合格している必要もありません。
科目Aと科目Bはどちらから勉強するとよいですか
公式には学習順序の指定はありませんが、科目Bは読解力やトレースの定着に一定の時間を要する性質を持っています。知識の暗記が中心となる科目Aとは異なり、プログラムの思考力は短期間での詰め込みが難しいため、科目Bの対策を直前まで後回しにすると対応が間に合わなくなる傾向があります。早い段階で一度問題に触れ、習得に必要な負荷を測っておく進め方が適しています。
科目免除の制度はありますか
試験要綱の注記には基本情報技術者試験において科目Aが一部免除制度の対象となる旨が記載されています。ただし要綱本文の免除規定は主に高度試験等を対象とした記述となっており、科目A免除の詳細な適用要件については記載されていません。免除制度の利用を検討する場合は、IPA公式サイトの案内で最新情報を確認する必要があります。
申し込みと日程はどこで確認できますか
IPAの基本情報技術者試験のページにて、実施方式と申込手続きの詳細が公表されています。CBT方式のため自身の学習の進捗度合いに合わせて受験日を選択可能です。とくに科目Bの対策に一定の手応えを得られたタイミングで申し込む計画が無理のない進め方につながります。
次に読むもの
- 基本情報技術者試験 勉強時間の目安と挫折しない進め方 … 科目Bをいつ始めるか
- 基本情報技術者試験 毎日1問のトレースを続けるやり方 … 1日の中での科目AとBの分け方
- 基本情報技術者試験 当日の流れと科目Bの解き方 … 当日の流れと擬似言語の読み方