当期純利益の振替と繰越利益剰余金
決算で損益勘定に集めた当期純利益を、繰越利益剰余金へ振り替える処理を理解します。当期純損失の場合の振替も扱います。
ねらい
1年間の営業で得たもうけは、決算で計算され、会社の中に積み上がっていきます。 このレッスンでは、決算で当期純利益を計算するしくみと、それを繰越利益剰余金(くりこしりえきじょうよきん)へ振り替える処理を学びます。利益が出た場合だけでなく、損失が出た場合の振替も理解しましょう。
ストーリー
文房具店を営む会社は、1年間でさまざまな収益を上げ、さまざまな費用を使いました。 決算では、これらの収益と費用を1か所に集めて、もうけがいくらだったかを計算します。この集計の場となるのが損益(そんえき)という勘定です。損益勘定の貸方にすべての収益を、借方にすべての費用を集めると、その差額が当期純利益として現れます。
ポイント
こうして計算された当期純利益は、株主が出した元手である資本金とは別に、会社が稼いで積み上げた利益として、繰越利益剰余金という純資産に振り替えます。
繰越利益剰余金は、これまでの利益の積み立てを表し、後で配当の元にもなります。
損益勘定と当期純利益
決算では、まず収益と費用を損益勘定へ集めます。 収益の総額が800,000円、費用の総額が650,000円だったとしましょう。損益勘定は次のようになります。
損益
借方
- 費用(諸科目)650,000
- 繰越利益剰余金150,000
貸方
- 収益(諸科目)800,000
損益勘定の貸方には、集めた収益の総額800,000円が入ります。借方には、集めた費用の総額650,000円が入ります。 貸方の収益が借方の費用を上回っているので、その差額150,000円が当期純利益です。この差額を借方に書いて、損益勘定の貸借を一致させます。借方に書いた相手の科目が、振り替える先の繰越利益剰余金です。
当期純利益を振り替える仕訳
損益勘定で計算した当期純利益150,000円を、繰越利益剰余金へ振り替えます。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 損益 | 150,000 | 繰越利益剰余金 | 150,000 |
損益勘定にたまった当期純利益を振り替えて、損益勘定を空にします。当期純利益は損益勘定の貸方残高として現れているので、振り替えるときは借方に書きます。 振り替えた先の繰越利益剰余金は、会社が積み上げた利益です。繰越利益剰余金は純資産にあたり、純資産が増えたときは貸方へ記入するので、貸方に書きます。
例題
それでは、当期純利益を求めて振り替える仕訳を考えてみましょう。 「決算で、収益の総額が1,000,000円、費用の総額が720,000円であった。当期純利益を繰越利益剰余金へ振り替えなさい」
解答は次のとおりです。 当期純利益は、収益1,000,000円から費用720,000円を引いた280,000円です。 損益勘定の当期純利益は貸方残高なので、振り替えるときは損益を借方に書きます。繰越利益剰余金は純資産にあたり、増えたときは貸方へ記入するので、貸方に書きます。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 損益 | 280,000 | 繰越利益剰余金 | 280,000 |
応用
最後に、損失が出た場合の振替を見てみましょう。 費用が収益を上回ると、当期純損失になります。このときは、利益のときとは反対に振り替えます。 「決算で、収益の総額が600,000円、費用の総額が700,000円であった。当期純損失を繰越利益剰余金へ振り替えなさい」
解答は次のとおりです。 当期純損失は、費用700,000円から収益600,000円を引いた100,000円です。 損失のときは、損益勘定では借方残高になります。振り替えるときは損益を貸方に書きます。 繰越利益剰余金は、損失の分だけ減ります。純資産が減ったときは借方へ記入するので、繰越利益剰余金を借方に書きます。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 繰越利益剰余金 | 100,000 | 損益 | 100,000 |
確認問題
学んだ内容を計算して、自分で仕訳にして確かめてみましょう。解答はそのすぐ後に示します。
問1. 決算で、収益の総額が900,000円、費用の総額が640,000円であった。当期純利益を繰越利益剰余金へ振り替えなさい。
解答1. 当期純利益は260,000円。損益を借方、繰越利益剰余金を貸方に書きます。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 損益 | 260,000 | 繰越利益剰余金 | 260,000 |
問2. 決算で、収益の総額が500,000円、費用の総額が580,000円であった。当期純損失を繰越利益剰余金へ振り替えなさい。
解答2. 当期純損失は80,000円。繰越利益剰余金を借方、損益を貸方に書きます。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 繰越利益剰余金 | 80,000 | 損益 | 80,000 |
分からなかった点・気になった点
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この章の問題を解く
章のまとめへ- 株主総会で剰余金の配当を決議したときの仕訳解く
- 未払配当金を支払ったときの仕訳解く
- 株主総会で配当と利益準備金の積立を決議したときの仕訳解く
- 株式会社の設立にあたって株式を発行したときの仕訳解く
- 株式を追加発行して資本金を増やすときの仕訳解く