システム化構想とシステム化計画
システムを作ると決めるまでの段取りを知り、構想と計画の違い、そして費用対効果をどう見積もるかを説明できるようになります。
ねらい
システムを作ると決めるまでの段取りを学びます。このレッスンを終えると、構想から計画、要件定義、調達へ進む順序と、その各段階で何を決めるのかを説明できるようになります。
作り始める前に決めること
システムの開発は、お金と時間がかかります。始めてから「やはり要らなかった」となると、費やしたものは戻りません。だから作り始める前に、必要かどうかと、どう進めるかを決めます。
この段階をシステム企画といい、順序があります。
| 段階 | 決めること |
|---|---|
| システム化構想 | 経営の目的に照らして、何のためにやるのか |
| システム化計画 | いつまでに、いくらで、誰がやるのか |
| 要件定義 | 何ができるシステムにするのか |
| 調達 | 誰に作ってもらうのか |
システム化構想 — 何のためにやるのか
システム化構想では、経営の課題から出発します。「受注から出荷までに3日かかっており、競合は翌日出荷している」といった課題を確かめ、そこにシステムで手を打つのが妥当かを判断します。
この段階での答えは「作らない」でも構いません。業務の手順を変えるだけで解決するなら、そのほうが速く安く済みます。システムありきで始めないことが、この段階の役割です。
システム化計画 — いつまでに、いくらで
作ると決めたら、実現の道筋を立てます。
- 範囲… どの業務を対象にするか。すべてを一度にやらない判断も含みます。
- 体制… 誰が責任者で、現場から誰が関わるか。
- 日程… いつまでに動かすか。
- 費用… 開発費だけでなく、運用と保守にかかり続ける費用も含めます。
- リスク… 何がうまくいかないと困るか。
ポイント
費用は、作るときのお金だけではありません。動かし続けるための保守費、機器の更新費、教育費が毎年かかります。導入から廃棄までにかかる費用の総額を TCO(総所有費用)といい、これで比べないと安く見えたものが高くつきます。
費用対効果をどう見るか
投じた費用に対して、どれだけの効果が返るかを見積もります。効果には2種類あります。
- 数で表せる効果… 残業時間が月100時間減る、在庫が2割減る。金額に換算できます。
- 数で表しにくい効果… 顧客の満足が上がる、社員の負担が減る。金額にできなくても、書き出しておきます。
書き出さなければ、無かったことになります。数にできないからといって黙っていると、判断の材料から落ちてしまいます。
投資の判断には、回収にかかる期間を見る方法や、投じた額に対する利益の割合(ROI)を見る方法が使われます。
まとめ
システム企画は、構想・計画・要件定義・調達の順に進みます。順に、何のためにやるのか、いつまでにいくらでやるのか、何ができるのか、誰に頼むのかを決めていきます。構想の段階では「作らない」という答えもあり得ます。費用は作るときだけでなく、動かし続ける分も含めたTCOで見ます。数にできない効果も、書き出しておかなければ判断に乗りません。
理解の確認
2つのシステム案を比べたところ、A案は導入費が3,000万円、B案は導入費が2,000万円でした。この情報だけで「B案のほうが安い」と結論づけてよいでしょうか。
答え: 結論づけられません。比べるべきは導入費ではなく、導入から廃棄までにかかる費用の総額(TCO)だからです。システムには導入後も、保守費・運用の人件費・機器の更新費・利用者への教育費が毎年かかり続けます。仮にB案の保守費がA案より年300万円高ければ、5年使う前提では B案のほうが総額で高くつきます。判断には、何年使う前提かを決めたうえで、その期間の運用・保守費まで含めて比べる必要があります。
分からなかった点・気になった点
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