ITパスポート試験
とっきょほう
特許法
Patent Act
技術的な発明の公開を条件に独占的な実施権を認める法律です。特許庁への出願と登録が必要であり、人工知能そのものを発明者として登録することはできません。
詳しい説明
1. 定義
特許法とは、自然法則を利用した技術的思想の創作である発明を保護し、その利用を図ることで産業の発達に寄与することを目的とした日本の法律です。
出願人が新規な技術を社会に公開する代償として、国が一定期間その発明の独占的な実施を認めます。著作権法が創作と同時に何らの手続きも要さずに権利が発生する無方式主義を採用していることに対し、特許法は特許庁に出願して審査を通過した後に登録されることで初めて権利が発生する方式主義を採用しています。
2. 内訳
特許を受けるためには、特許法が定める複数の要件を満たす必要があります。
特許出願における主な実体要件は次のとおりです。
- 産業上の利用可能性:医療行為そのものを除く工業製品や情報処理技術など、産業として反復して実施できる技術である必要があります。
- 新規性:出願を行った時点で、日本国内および海外において公然と知られておらず、刊行物にも掲載されていない技術である必要があります。
- 進歩性:その技術分野における通常の知識を持つ専門家が、公知の技術から容易に思いつくことができない高度な創作である必要があります。
- 先願主義:同一または類似の発明について複数の出願が重なった場合、先に出願手続きを完了した者に権利が付与されます。
人工知能技術の実務開発に関連する重要な論点は次のとおりです。
- ソフトウェア発明の保護:人工知能のモデル構造や学習手順は、ソフトウェアがハードウェア資源を用いて具体的な情報処理を実現している場合に発明として保護されます。
- 発明者の適格性:日本の制度において発明者は自然人に限られます。人工知能そのものを出願書類上の発明者として記載することは認められておらず、人工知能を道具として活用して課題解決手段を考案した人間が発明者になります。
- 職務発明制度:従業員が業務の一環として行った発明について、企業があらかじめ社内規定を定めておくことで、特許を受ける権利を企業へ原始的に帰属させることができます。この場合、企業は従業員に対して相当の利益を付与する義務を負います。
3. 紛らわしい語との違い
特許法と著作権法は、保護対象と権利発生の手続きが異なります。特許法が技術的思想の創作を対象に出願と審査を経て登録される方式主義をとるのに対し、著作権法は思想や感情の創作的表現を対象とし創作時に自動発生する無方式主義をとります。人工知能の成果物においても、アルゴリズムなどの仕組みは特許法、生成された文章や画像などの表現は著作権法によって保護されます。
不正競争防止法との相違点は、技術情報を公開するか秘匿するかです。特許制度は出願から1年6か月後に技術内容が公開公報で開示される代償として独占権を得ます。これに対し、外部からリバースエンジニアリングされにくい学習データセットやハイパーパラメータなどは、特許出願を行わずに不正競争防止法上の営業秘密として秘匿管理する手法が選択されます。
試験で問われること
ITパスポート試験
- 特許法の保護対象が技術的な発明であることを理解する。
- 著作権法との保護対象の違い(アイデアか表現か)を明確にする。
- 特許の取得には出願と登録が必要であることを押さえる。
最終更新日: 2026/09/23