不正競争防止法と独占禁止法:公正な競争を守るルール
不正競争防止法と独占禁止法が、公正な競争を守るためにあることを身近な例からつかみます。深掘り層では、営業秘密の三要件、データを守る限定提供データのしくみ、そして競争制限や公正競争阻害性という独占禁止法の考え方までをAI とデータの場面に即して理解できるようになります。
ねらい
このレッスンでは、不正競争防止法(ふせいきょうそうぼうしほう)と独占禁止法(どくせんきんしほう)の2つを学びます。
基礎
この2つの法律が、いずれも公正な競争を守るためにあることをつかみます。
1. 2つの法律は、どちらも公正な競争を守ります
不正競争防止法と独占禁止法は、いずれも、事業者どうしの公正で自由な競争を守ることを目的とします。ねらいは共通していますが、守り方の角度が違います。
不正競争防止法は、他社をおとしいれるような、個別の不正な行為を取りしまります。たとえば、他社の大切な秘密を盗んで使うような行為です。ルール違反の個別プレーに反則を取る、というイメージです。
独占禁止法は、市場全体の競争がゆがめられることを防ぎます。力の強い会社が、競争そのものを妨げるような行為を禁じます。試合が成り立つよう、場全体を見張る、というイメージです。
AI とデータの分野では、この2つがどちらも関わってきます。AI の開発では、データや技術という大切な資産をあつかうため、その保護が問題になります。また、大量のデータや高性能な AI を一部の会社が独占すると、競争がゆがむおそれがあり、独占禁止法の視点が問われます。
ポイント
不正競争防止法は個別の不正な行為を取りしまり、独占禁止法は市場全体の競争のゆがみを防ぎます。どちらも、公正な競争を守るための法律です。
ここまでの要点
- 不正競争防止法と独占禁止法は、どちらも公正な競争を守る法律です。
- 不正競争防止法は個別の不正な行為、独占禁止法は市場全体の競争のゆがみと、それぞれを対象にします。
まずは全体像をつかめれば十分という人は、ここで区切って大丈夫です。「2つとも公正な競争を守る」「一方は個別の行為、もう一方は市場全体を見る」と押さえられていれば、この先の深掘りに進む土台はできています。
発展
ここからは、会社の秘密やデータを守るしくみと、市場の競争を守る考え方をくわしく見ます。AI 開発でとくに大切になる、データの保護から入ります。
2. 会社の秘密を守る:営業秘密
不正競争防止法が守るものの代表が、営業秘密です。
営業秘密(えいぎょうひみつ)とは、会社が秘密として管理している、事業に役立つ技術上や営業上の情報のことです。製品の製造方法や、独自の顧客名簿などが、これにあたります。営業秘密を不正に盗み出して使うことは、不正競争として規制されます。
営業秘密として法律で守られるには、3つの条件をすべて満たす必要があります。これを営業秘密の三要件といいます。
- 1つ目は、秘密として管理されていることです。だれでも見られる状態ではなく、秘密として扱う手立てがとられていることが求められます。
- 2つ目は、事業に有用であることです。生産や販売に役立つ、価値のある情報であることが必要です。
- 3つ目は、まだ世の中に知られていないことです。すでに公開されている情報は、営業秘密として守られません。
秘密として管理し、事業に有用で、公然とは知られていない。この3つがそろってはじめて、営業秘密として保護されます。1つでも欠けると、守られません。AI の開発で得た独自のノウハウを守りたいときは、この3つの条件を意識した管理が欠かせません。
理解の確認
営業秘密とは、会社が秘密として管理する、事業に役立つ情報です。法律で守られるには、秘密として管理されていること、事業に有用であること、まだ世に知られていないことの三要件をすべて満たす必要があります。1つでも欠けると保護されません。
3. データを守るしくみ:限定提供データ
AI の時代に重みを増しているのが、データの保護です。ここで関わるのが、限定提供データです。
限定提供データ(げんていていきょうデータ)とは、特定の相手に提供することを前提に、大量にため込まれ、電子的な方法で管理されているデータのことです。会員企業だけに提供される地図データや取引データなど、価値あるデータの集まりを想定しています。
営業秘密は、だれにも知られないよう秘密として管理することが条件でした。しかし、データの中には、特定の相手には提供して使ってもらいながら、それでも守りたいものがあります。秘密として閉じ込めるのではなく、限られた範囲で提供するデータを守るために設けられたのが、限定提供データのしくみです。営業秘密ほど厳しい秘密管理を求めないかわりに、限られた範囲で提供・共有されるデータを不正な取得や利用から守ります。
AI の学習には、大量のデータが欠かせません。企業が費用をかけて集めたデータを他社が勝手に取得して使うことを防ぐ意味で、このしくみは AI とデータの分野で重要になっています。
理解の確認
限定提供データとは、特定の相手に提供することを前提に、大量にため込まれ電子的に管理されたデータです。だれにも知られないことを条件とする営業秘密とは違い、限られた範囲で提供されるデータを守ります。企業が集めたデータを不正な取得や利用から守る意味で、AI の分野で重要です。
4. 市場の競争を守る:独占禁止法
ここからは、もう1つの法律である独占禁止法に移ります。独占禁止法は、市場全体で公正で自由な競争がたもたれるようにする法律です。
独占禁止法が問題にするのは、競争制限です。競争制限(きょうそうせいげん)とは、市場での自由な競争を実質的に妨げる行為を指します。たとえば、複数の会社が話し合って価格をそろえたり、力の強い会社が他社を市場から締め出したりする行為です。こうした行為があると、消費者はよりよい商品を選べなくなり、価格も高止まりしかねません。
もう1つの大切な考え方が、公正競争阻害性です。公正競争阻害性(こうせいきょうそうそがいせい)とは、ある行為が公正な競争を妨げるおそれがあるかどうかを見る、判断のものさしです。不当に安い価格で売って他社を追い出すような行為が、公正な競争を妨げるおそれがあると判断されれば、規制の対象になります。
AI やデータの分野では、大量のデータや高性能な AI を一部の会社が独占することが、競争をゆがめないかが議論されています。競争のあり方に関わるため、この視点は今後さらに重みを増すとみられます。細かな規制のあてはめは事例の積み重ねで変わりうるため、基本の考え方を押さえておきましょう。
理解の確認
競争制限とは、市場での自由な競争を実質的に妨げる行為を指します。公正競争阻害性とは、ある行為が公正な競争を妨げるおそれがあるかを見る判断のものさしです。AI やデータを一部の会社が独占することが競争をゆがめないかは、今後さらに議論が深まる論点です。
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本内容は資格学習のための概説であり、法的助言ではありません。実際の判断にあたっては、最新の条文や公式のガイドライン、専門家の助言を確認してください。
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