債券投資
債券の仕組みと、金利と価格の逆相関、格付による信用リスクの見方、利回りの計算を説明できるようになります。
ねらい
国や企業にお金を貸す形の投資である債券を学びます。このレッスンを終えると、債券の基本用語、市場金利と債券価格の逆相関、格付の読み方、利回りの計算を説明できるようになります。
ストーリー
小林さんは、投資信託の目論見書で「国債」「社債」という言葉を目にしました。調べてみると「個人向け国債」という商品もあり、「金利が上がると債券の価格は下がる」という説明も出てきます。「貸したお金が返ってくるだけなのに、なぜ価格が上がり下がりするのだろう」。
債券の仕組み
債券は、国や企業などの発行体が投資家からお金を借りるときに発行する証書です。基本の用語を押さえましょう。
- 額面金額は、満期(償還)のときに払い戻される金額です。
- 表面利率(クーポンレート)は、額面金額に対して支払われる年間の利子の割合です。
- 発行価格は発行時の値段で、額面100円あたりで表します。100円ちょうどをパー発行、100円未満をアンダー・パー発行、100円超をオーバー・パー発行と呼びます。
利子の付き方で、利率が満期まで変わらない固定利付債、市場金利に応じて見直される変動利付債、利子がない代わりに額面より安く発行され償還との差額が利益になる割引債に分かれます。
債券は証券取引所での取引よりも、金融機関との相対(店頭)取引が中心です。満期前でも時価で売却でき、この「時価」が動くことが、次の論点につながります。
国が発行する国債のうち、個人だけが購入できる個人向け国債には、変動金利型10年・固定金利型5年・固定金利型3年の3種類があります。いずれも年0.05%の最低金利が保証され、発行から1年経過すればいつでも中途換金できます(直前2回分の利子相当額が差し引かれます)。
金利と債券価格の関係
ポイント
債券価格と市場金利は、逆の方向に動きます。
市場金利が上昇すると、これから発行される債券はより高い利率が付きます。すると、低い利率のまま固定されている既発行の債券は魅力が薄れ、価格が下落します。価格が下がった分、その債券を安く買えば利回りは上がるので、「金利上昇は、債券価格の下落・利回りの上昇」と整理できます。市場金利が低下したときはこの逆です。
価格の変動幅は、残存期間が長い債券ほど、また表面利率が低い債券ほど大きくなります。
信用リスクと格付
発行体が利子や償還金を払えなくなるおそれを信用リスク(デフォルトリスク)といいます。信用リスクの目安になるのが、格付機関が付けるアルファベットの格付です。
- 一般にBBB(トリプルB)以上の債券が投資適格債とされます。
- BB(ダブルB)以下は投機的債券(ハイ・イールド債)と呼ばれます。
- 格付が低い(信用リスクが高い)債券ほど、その分だけ高い利回りが求められます。信用リスクと利回りは表裏の関係です。
このほか、海外の債券には、その国の政治・経済情勢によるカントリーリスクや為替のリスクも加わります。
注意
金利変動による価格変動リスクと、発行体の信用リスクは別のリスクであることも整理しておきましょう。
利回りの計算
利回りは、投資額に対する1年あたりの収益の割合です。3級では次の考え方を押さえます。
- 直接利回りは、購入価格に対する毎年の利子の割合です。表面利率を購入価格で割って求めます。たとえば表面利率1%の債券を99円で購入した場合、直接利回りは1÷99≒1.01%です。
- 最終利回りは、既発行の債券を購入して満期まで持った場合の利回りで、利子に加えて償還差損益(額面と購入価格の差)を残存期間で割った分を含めます。
- 所有期間利回りは、満期まで持たずに途中で売却した場合の利回りで、償還差損益の代わりに売却損益を使います。
計算例で確かめましょう。額面100円・表面利率1%の債券を99円で購入し、満期までの残存期間が2年の場合を考えます。1年あたりの収益は、毎年の利子1円と、償還差益1円を2年で割った0.5円の合計1.5円です。これを購入価格99円で割ると、最終利回りは約1.52%となります。
例題
次の記述が適切か、不適切かを考えてみましょう。
市場金利が上昇すると、既に発行されている固定利付債券の価格は、一般に上昇する。
答え合わせ
不適切です。市場金利が上昇すると、低い利率で固定されている既発行の債券は魅力が薄れるため、価格は下落します。金利と債券価格は逆方向に動くという関係が、債券の最重要ポイントです。
応用
格付と利回りの関係を考えてみましょう。
同じ残存期間の債券で、格付がAAの債券とBBの債券では、一般にどちらの利回りが高いか。また、BB格の債券は投資適格債か。
答え合わせ
BB格の債券のほうが利回りは高くなります。格付が低いほど信用リスクが高く、投資家はその分高い利回りを求めるからです。そしてBB以下は投資適格債ではなく、投機的債券(ハイ・イールド債)に分類されます。投資適格とされるのはBBB以上です。「高い利回りには高いリスクが伴う」という関係の典型例です。
分からなかった点・気になった点
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この章の問題を解く
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