ハードウェア
論理回路とフリップフロップ、シーケンス制御やPWMなどの機械制御、ダイオードからFPGAまでの構成部品、消費電力の考え方を理解できるようになります。
ねらい
コンピュータや機器を形づくる電子回路と部品を学びます。このレッスンを終えると、論理回路とフリップフロップの働き、機械を制御する代表的な方式、ダイオードからFPGAまでの構成部品、組込み機器で消費電力が重視される理由を説明できるようになります。
ストーリー
炊飯器は小さなコンピュータです。温度を測り、火力を調整し、決められた手順で炊き上げる。この制御を受け持つのは、レッスン11で学んだような高性能なプロセッサではなく、目的に合わせて設計された電子回路と小さなコンピュータです。ソフトウェアの足元を支えるハードウェアの世界をのぞいてみましょう。
電気・電子回路:論理回路の復習と記憶
コンピュータの回路の基本は、レッスン11でも登場したAND回路、OR回路、NOT回路、NAND回路です。回路の動きは、入力と出力の対応を並べた真理値表と、論理演算の式である論理式で表します。電圧の高い状態を1とみなす取り決めを正論理、低い状態を1とみなす取り決めを負論理といいます。
組合せ回路が「いまの入力」だけで出力を決めるのに対し、1ビットの情報を保持できる回路がフリップフロップです。過去の状態を覚えられるため、順序回路の基本部品になり、高速なメモリであるSRAMの記憶素子にも使われています。
機械・制御:機器を動かす方式
機械を電子的に制御する代表的な方式を整理しましょう。
- シーケンス制御は、あらかじめ定めた順序どおりに制御を進める方式です。洗濯機が「洗い、すすぎ、脱水」と進むのが典型です。
- フィードバック制御は、結果を測って目標との差を打ち消すように調整し続ける方式です。結果を確認しながら制御するため、クローズドループ制御とも呼ばれます。
- オープンループ制御は、結果を確認せずに決めた操作を行う方式です。
オープンループ制御が指令から結果まで一直線に進むのに対し、フィードバック制御は結果を測って指令側に戻す道を持っています。
また、電圧のオンとオフの時間の割合(パルスの幅)を変えることで、モーターの回転速度やLEDの明るさを調整する方式をPWM制御といいます。オンとオフしか扱えないデジタル回路で、連続的な強弱を作り出す工夫です。
構成部品と実装
電子回路を構成する代表的な部品を押さえましょう。
| 部品 | 働き |
|---|---|
| ダイオード | 電流を一方向にだけ流す |
| LED | 電流を流すと発光するダイオード |
| トランジスタ | 信号の増幅やスイッチの働きをする。論理回路の素材 |
| IC、LSI、VLSI | トランジスタなどを1つのチップに集積した集積回路。集積度が上がるほど呼び名が変わる |
| FPGA | 製造後に利用者が内部の論理回路の構成を書き換えられる集積回路 |
論理回路の設計(回路設計)では、性能だけでなく、設計の効率やコストも考慮します。FPGAは、専用のLSIを作るほどの数量が見込めない機器や、後から回路を直したい開発で活躍します。トランジスタを集積するほど呼び名が変わり、IC、LSI、VLSIの順に集積度が上がります。
消費電力:組込み機器の重要課題
電池で動くセンサーや携帯機器では、消費電力が製品の寿命そのものを左右します。処理性能を上げるほど消費電力は増えるため、組込み機器の開発では、必要な性能を満たしながらいかに電力を抑えるかが設計の腕の見せどころになります。低消費電力の無線規格(BLEやZigbee)が好まれるのも、この理由からです。
例題
次の問いに答えてください。
問1 1ビットの情報を保持でき、SRAMの記憶素子にも使われる論理回路を何といいますか。
問2 洗濯機のように、あらかじめ定められた順序に従って制御を進める方式を何といいますか。
解答と解説
問1の答えはフリップフロップです。入力だけで出力が決まる組合せ回路と違い、状態を記憶できることが特徴です。
問2の答えはシーケンス制御です。結果を測って調整し続けるフィードバック制御(クローズドループ制御)との違いは、結果を確認するかどうかにあります。
応用
本試験を意識した問題を解いてみましょう。
問 製造後に、利用者が内部の論理回路の構成を書き換えられる集積回路はどれでしょうか。次の中から選んでください。
- FPGA
- VLSI
- ダイオード
- トランジスタ
解答と解説
答えは1のFPGAです。現場でプログラムのように回路構成を書き換えられるため、試作や少量生産の機器で広く使われています。2のVLSIは超大規模の集積回路という集積度による分類で、製造後の書き換えを特徴とする用語ではありません。3のダイオードは電流を一方向にだけ流す部品、4のトランジスタは増幅やスイッチの働きをする部品であり、どちらも単体の素子で、論理回路の構成を書き換えられる集積回路ではありません。
分からなかった点・気になった点
読み込み中です。