ファイルシステム
絶対パスと相対パスによるファイルの特定、ファイルシステムの種類、アクセス手法、フル・差分・増分のバックアップ方式を理解できるようになります。
ねらい
ファイルを整理して守る仕組みを学びます。このレッスンを終えると、絶対パスと相対パスの使い分け、ファイルシステムの役割、ファイルのアクセス手法、バックアップ方式の違いを説明できるようになります。
ストーリー
「レポートの最新版、どこに保存した?」。共有フォルダの奥深くのファイルを電話口で伝えるとき、あなたは自然に「共有ドライブの、プロジェクトフォルダの、2026年のフォルダの中」と、たどる道順を言葉にしています。この道順こそがパスです。コンピュータのファイル管理は、この道順の仕組みの上に成り立っています。
ディレクトリ管理とパス
ファイルはディレクトリ(フォルダ)に入れ、ディレクトリの中にディレクトリを作ることで階層的に整理します。階層のいちばん上をルートディレクトリ、いま自分が作業している場所をカレントディレクトリといいます。
ファイルの場所の指定には2つの方法があります。
- 絶対パスは、ルートディレクトリから目的のファイルまでの道順をすべて書く方法です。どこから見ても同じ場所を指します。
- 相対パスは、カレントディレクトリを起点にした道順で書く方法です。起点が変われば同じ書き方でも指す場所が変わります。
また、ファイルの実体を指し示す参照情報だけを別の場所に置く仕組みがあり、UNIX系ではシンボリックリンク、Windowsではショートカット、macOSではエイリアスと呼ばれます。ディレクトリ管理には、ファイルの共有やアクセス権の設定、ファイルを探すための検索手法も含まれます。
ファイルシステムの種類
補助記憶装置の領域をOSや利用者がファイルやディレクトリとして使えるようにする機能がファイルシステムです。記憶装置上の管理の単位をボリュームといいます。ファイルシステムはOSごとに異なり、古くから使われUSBメモリなどで互換性の高いFATファイルシステム、Windowsの標準でアクセス権や大容量に対応したNTFSが代表です。
ファイル編成とアクセス手法
ファイルの中のレコードへのアクセスの仕方には、次の種類があります。
- 順次アクセスは、先頭から順に読み書きする方法です。
- 直接アクセスは、キーの値などから位置を割り出して直接読み書きする方法です。割り出した位置に空きがないときのために、あふれ域という退避場所を用意する編成もあります。
- 動的アクセスは、順次と直接を組み合わせ、目的の位置まで直接飛んでから順に読む方法です。
バックアップ:データを失わないために
故障や誤操作からデータを守るには、複製を取っておくバックアップが欠かせません。取り方には3つの方式があります。
| 方式 | 取るもの | 特徴 |
|---|---|---|
| フルバックアップ | すべてのデータ | 復元は簡単だが、時間と容量がかかる |
| 差分バックアップ | 直近のフルバックアップ以降に変更されたすべてのデータ | 復元はフルと最新の差分の2つで済む |
| 増分バックアップ | 直前のバックアップ以降に変更されたデータだけ | 毎回の量は最小だが、復元にはフルとすべての増分が必要 |
差分と増分の違いは「どこからの変更を取るか」です。差分は毎回「フルバックアップ以降の全部」を取るので回を重ねると量が増え、増分は「前回からの分だけ」なので毎回少量で済みます。その代わり、復元の手間は増分のほうがかかります。バックアップを複数まとめて保管する多重バックアップや、複数世代を残す世代管理と組み合わせて運用します。
例題
次の問いに答えてください。
問1 カレントディレクトリを起点としてファイルの場所を指定する方法を何といいますか。
問2 Windowsの標準のファイルシステムで、アクセス権の管理や大容量に対応したものは何ですか。
解答と解説
問1の答えは相対パスです。ルートディレクトリからすべての道順を書く絶対パスと違い、起点が変わると指す場所も変わります。
問2の答えはNTFSです。FATファイルシステムは互換性が高くUSBメモリなどで広く使われますが、アクセス権の管理などの機能はNTFSのほうが充実しています。
応用
本試験を意識した問題を解いてみましょう。
問 バックアップ方式のうち、直近のフルバックアップ以降に変更されたすべてのデータを毎回バックアップする方式はどれでしょうか。次の中から選んでください。
- フルバックアップ
- 差分バックアップ
- 増分バックアップ
- 多重バックアップ
解答と解説
答えは2の差分バックアップです。基準は常に直近のフルバックアップで、そこからの変更をまとめて毎回取ります。復元はフルバックアップと最新の差分の2つで済みます。1のフルバックアップは毎回すべてのデータを取る方式で、「変更された分」に限る本問の説明に合いません。3の増分バックアップは、フルバックアップではなく直前のバックアップを基準に、そこからの変更だけを取る方式です。基準の違いが差分との分かれ目です。4の多重バックアップは、バックアップを複数持つことで保全性を高める考え方であり、取得する範囲を定めた方式ではありません。
分からなかった点・気になった点
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