ITパスポート試験 勉強時間の目安と挫折しない進め方
2026/08/20ITパスポート試験は3つの分野すべてで基準点を超える必要があります。用語を完璧に覚えるより問題を解く量を増やすほうが早く、どの分野でつまずきやすいかもまとめました。
「ITの知識がまったくないけれど大丈夫だろうか」「カタカナと英字の略語ばかりで覚えられる気がしない」。ITパスポート試験を独学で始めた方から、よく聞く言葉です。
範囲が広いのは事実です。ただ、つまずく理由の多くは範囲の広さそのものではありません。1ページ目から順に完璧に覚えようとして、テクノロジ系にたどり着く前に力尽きてしまうことです。
この記事では、勉強時間の目安と、3分野をどう回すかをまとめました。
勉強時間の目安
ITパスポート試験の合格に必要な勉強時間は、一般に、およそ100時間から150時間が目安といわれます。この幅は、仕事でITに触れているかどうかで決まります。
- ITの予備知識がない方や、学生の方は、100時間から150時間程度
- 仕事でパソコンやビジネスの用語に日常的に触れている方は、50時間から80時間程度
1日1時間なら3ヶ月から5ヶ月、平日30分と週末に1時間半なら4ヶ月から6ヶ月が目安です。
ITパスポート試験はCBT方式で通年実施されているため、自分で受験日を選べます。学習を始めるときに受験日を先に予約してしまいましょう。日付が決まると、そこから逆算して1週間に進める範囲が決まります。「いつか受ける」のままだと、なかなか始まりません。
苦手な分野を捨てられない試験です
これは先に知っておきたいところです。ITパスポート試験は、3つの分野すべてで基準点を超えないと合格になりません。総合評価点が600点を超えていても、3分野のうちどれか1つが300点に届かなければ不合格です。
「テクノロジ系が苦手だから、そこは捨ててストラテジ系で稼ごう」という作戦が使えない、ということです。基準点の詳しい数字はITパスポート試験はどんな試験か、3分野と合格の基準にまとめています。
とはいえ、300点は1,000点満点に対しての300点です。満点を取る必要はまったくありません。苦手な分野は「捨てない」だけで十分で、得意にする必要はないと考えておくと気が楽になります。
用語は、うろ覚えのままで大丈夫です
SaaS、RPA、BCP、SLA、ISMS。3文字や4文字の英字略語が大量に出てきます。似た形の略語が並ぶので、1つずつ調べながら進むと、1回の勉強で数問しか解けなくなります。
用語は、うろ覚えのまま進めてしまいましょう。ITパスポート試験は四肢択一なので、完璧に説明できなくても、選択肢を見て「これだ」と分かれば正解できます。この感覚は、問題を解いているうちに育ちます。
覚えるときは、身近なものに置き換えると残りやすくなります。「SaaSはブラウザだけで使える表計算やメールのサービス」「BCPは災害が起きても会社を止めないための計画」というように、自分の言葉で言い換えてみましょう。辞書のような正確さは要りません。
略語は、元の英語を一度だけ見ておくのもおすすめです。ISMS が Information Security Management System だと一度知っておくと、似た略語と混ざりにくくなります。一度でよく、覚え込む必要はありません。
読む時間より、問題を解く時間を長く取りましょう
ITパスポート試験でいちばん伸びるのは、問題を解いている時間です。
参考書を読んでいると「わかった」と感じますが、四肢択一で選ぶのは別の力です。似た用語が4つ並んだときに選び分けられるかどうかは、実際に解いてみないと分かりません。
1つの分野を読み終えたら、その分野の問題をすぐ解きましょう。そして、間違えた問題では正解の選択肢だけでなく、残り3つが何を指しているのかまで確かめてみましょう。1問解くだけで4つの用語を復習できます。範囲が広いこの試験では、この積み上げが効いてきます。
どこでつまずきやすいかを先に知っておきましょう
シラバスは9つの大分類に分かれ、それが3つの分野に対応します。
どこに時間を使うかを決めるとき、分野ごとの問題数が目安になります。採点される92問の内訳は、公式に公表されています。
| 分野 | 採点される問題数 | シラバスの小分類 |
|---|---|---|
| テクノロジ系 | 42問 | 31 |
| ストラテジ系 | 32問 | 24 |
| マネジメント系 | 18問 | 8 |
マネジメント系は問題数も小分類も少なめです。そのぶん短い時間で一巡できます。基準点は3分野とも同じなので、いちばん少ない労力で1つの基準点を確保できる分野とも言えます。
手が止まる場所はだいたい決まっているので、先に知っておくと落ち着いて進められます。
| 分野 | 大分類 | つまずきやすいところ |
|---|---|---|
| ストラテジ系 | 企業と法務 | 法律の名前と中身が結びつかない |
| ストラテジ系 | 経営戦略 | 分析手法の名前が似ていて混ざる |
| ストラテジ系 | システム戦略 | 企画と要件定義の境目 |
| マネジメント系 | 開発技術 | 開発の流れの用語がなじまない |
| マネジメント系 | プロジェクトマネジメント | アローダイアグラムの計算 |
| マネジメント系 | サービスマネジメント | 監査と内部統制の関係 |
| テクノロジ系 | 基礎理論 | 2進数の変換と単位の換算 |
| テクノロジ系 | コンピュータシステム | 稼働率の計算 |
| テクノロジ系 | 技術要素 | セキュリティの用語量とネットワークの仕組み |
いちばん多いのは、テクノロジ系の基礎理論で数の話に出会ったときです。数学から離れていた方ほど身構えます。ここは深追いしないでおきましょう。2進数から10進数に直す手順、1バイトが8ビットであること、キロやメガの関係。この程度で十分です。計算問題は数が限られているので、ここで止まるより先へ進むほうが総得点は上がります。
もう1つの山がセキュリティです。攻撃の手口、暗号、認証と、用語が続きます。ここは用語を単独で覚えるとつらくなります。「何から何を守るのか」を先に決めて、そこに手口と対策を並べていくと頭に残ります。
分野ごとの重さも知っておきましょう。IPAの試験要綱によると、出題は100問で、そのうち92問が評価の対象です(残り8問は今後出題する問題の評価に使われ、採点に入りません)。評価の対象92問の内訳は、テクノロジ系42問・ストラテジ系32問・マネジメント系18問です。
テクノロジ系がおよそ46%で最も比重が大きく、避けて通れません。一方、マネジメント系は18問と少ないぶん、1問の取りこぼしが分野別評価点に響きやすくなります。範囲も9つの大分類のうち3つと狭く、用語の意味がはっきりしていて覚えれば答えられる問題が多い分野です。少ない時間で基準点に届きやすいので、早めに一通り終えておくと後半が楽になります。
1周目は、わからないまま最後まで行きましょう
範囲が広いぶん、1つの分野で立ち止まると全体が終わりません。1周目はわからないところを残したまま、最後の分野まで進めてしまいましょう。
ITパスポート試験の内容は、分野をまたいでつながっています。ストラテジ系で出てきた用語が、テクノロジ系で仕組みごと説明されることもあります。1周して全体を見てから戻ると、ばらばらに見えていた用語がつながって見えることがよくあります。
本番と同じ形で1度は解いておきましょう
試験は120分で100問です。1問あたり1分ちょっとしかありません。
パソコンの画面で100問を続けて解くのは、思っている以上に集中力を使います。試験の前に一度は、100問を通しで解く練習をしておきましょう。分からない問題で止まらず、印を付けて飛ばし、解ける問題から埋めていく感覚がつかめます。この1回があるかないかで、当日の落ち着きがまったく違います。
よくある質問
数学やプログラミングが苦手でも合格できますか
大丈夫です。計算やアルゴリズムの問題は出題の中では限られた数で、多くは用語や考え方を問う問題です。基礎的な用語を押さえておけば、計算が得意でなくても総合評価点の600点は狙えます。ただし基礎理論もテクノロジ系に含まれるため、まったく手をつけないと分野別評価点の300点が危うくなります。頻出の形だけは押さえておきましょう。
基本情報技術者試験とどちらから受けるとよいですか
ITの全体像を先に広く押さえたい方や、IT以外の職種の方は、ITパスポート試験から始めるほうが進めやすくなります。プログラミングやアルゴリズムをしっかり学びたい方、開発の仕事を目指している方は、基本情報技術者試験に直接進む道もあります。ITパスポート試験はレベル1、基本情報技術者試験はレベル2と位置づけられており、扱う深さが違います。
わからないまま進んで、本当に大丈夫でしょうか
1周目については大丈夫です。範囲が広い試験なので、1つの分野で完璧を目指して止まるほうが合格から遠ざかります。2周目、3周目で埋めていけば間に合います。