日商簿記2級 勉強時間の目安と工業簿記の進め方
2026/08/20簿記2級でいちばん時間がかかるのは、3級に無かった工業簿記です。ただし工業簿記は出題の形が安定しています。勉強時間の目安と、2つの科目をどう組み立てるかをまとめました。
3級に合格して2級へ進むとき、多くの方が同じところで手が止まります。工業簿記です。
3級で身につけた感覚がそのまま使えないので、「また最初からやり直しなのか」と感じてしまいます。でも、工業簿記には工業簿記なりの、つかみやすさがあります。そこを知っているかどうかで、進み方がずいぶん変わります。
勉強時間の目安
簿記2級の合格に必要な勉強時間は、3級に合格していることを前提に、一般に、およそ200時間から350時間が目安といわれます。あくまで一般にいわれる目安です。
| どんな人か | 目安 |
|---|---|
| 3級に合格して間をあけずに進む | 200時間から250時間 |
| 3級から時間があいている | 250時間から300時間 |
| 簿記の学習が初めて | 300時間から350時間 |
3級のおよそ3倍です。増える理由ははっきりしていて、工業簿記という科目がまるごと加わるからです。
ただ、2級では合計時間より「商業簿記と工業簿記のどちらがどこまで進んだか」を分けて見るほうが役に立ちます。2級では「商業簿記の積み増し分」と「工業簿記」を別々の計画として区切るほうが、見通しが立ちます。時間の合計を目標にすると、どちらがどれだけ進んだのかがわからなくなります。
なお、試験の形そのもの(90分・5題以内・合格の基準)については、日商簿記2級はどんな試験か、3級との違いと合格の基準でまとめています。
商業簿記は、3級の延長で進みます
2級の商業簿記は、3級で身につけた仕訳の考え方の上に積み上がります。有価証券、リース、無形固定資産、引当金、外貨建取引、税効果会計、本支店会計、連結会計。新しい論点は増えますが、借方と貸方に分けて記録するという型は変わりません。
だから、3級の感覚が残っているうちに進めるほうが早く終わります。間があくと、仕訳の型を思い出すところからやり直しになります。
「3級を完璧にしてから2級へ」と考えたくなりますが、その必要はありません。2級の教材を進めながら、忘れていたところに戻るほうが効率的です。3級の内容は2級の中にも繰り返し出てくるので、自然に思い出す場面が来ます。
工業簿記は、新しい世界です。でも形が安定しています
工業簿記は、製造業で製品を作るのにいくらかかったかを計算して記録する技術です。材料を買い、人が手を動かし、機械を動かして、製品ができあがる。その流れをお金で追いかけます。
3級の商業簿記が「仕入れて売る」だったのに対して、工業簿記は「作って売る」。出発点が違うので、3級の感覚がそのままは使えません。ここで戸惑うのは自然なことです。
ただし、工業簿記には助かる性質があります。出題される形が比較的そろっています。商業簿記のように「初めて見る論点が出る」ことが少なく、材料費・労務費・経費という3つの原価をどう集計するか、という同じ型が何度も出てきます。
だから、型を1つ覚えると、そのまま次の問題にも使えます。最初の助走を越えたあとは、商業簿記より進みが速く感じられることも珍しくありません。
工業簿記は、図で追いかけましょう
工業簿記でいちばん効くのが、原価がどこからどこへ動いたかを図で追うことです。
材料が工場に入り、加工されて仕掛品になり、完成して製品になり、売れて売上原価になる。箱を並べた図で、この流れを書いてみましょう。数字が箱から箱へ移っていくのが見えると、仕訳が何をしているのかがつかめます。
頭の中だけで追おうとすると、いま計算しているのが材料費なのか加工費なのかを見失います。手を動かして図を書いたほうが、結果として早く正確に解けるようになります。
どちらから始めるか
公式が順番を示しているわけではないので、ここは組み立ての話になります。2つの考え方があります。
商業簿記から始める。3級からの流れが途切れないので、入りやすい形です。仕訳の感覚が残っているうちに積み増せます。
工業簿記から始める。新しい分野なので助走が要ります。先に始めておくと、慣れるまでの時間を確保できます。出題の形が安定しているので、早く手応えが出ることもあります。
どちらでも構いませんが、片方を完全に終えてからもう片方、という進め方はおすすめできません。工業簿記を最後に回すと、慣れる時間が足りなくなります。逆に工業簿記だけを長く続けると、商業簿記の感覚が鈍ります。
両方を並行して、少しずつ進めるのが、この試験の形には合っています。
わからないまま、まず最後まで行きましょう
2級は範囲が広いので、1つの論点で立ち止まると全体が終わりません。1周目は、連結会計まで一度たどり着くことだけを目標にしましょう。
とくに連結会計は、多くの方が最初につまずくところです。ここで止まって全体が進まなくなるより、付箋を貼って先へ行くほうが結果的に早く仕上がります。2周目に戻ってくると、あっさり読めることがよくあります。
間違えた問題こそ、財産です
2級では、間違えた問題を商業簿記と工業簿記で分けて貯めましょう。性質が違うので、混ぜると見返すときに頭の切り替えが要ります。分けておけば、その日にやる科目のぶんだけを見返せます。
2級の場合、印の使い道がもう1つあります。商業簿記と工業簿記のどちらに印が偏っているかを見ることです。偏りが見えたら、そちらに時間を足せばよいということです。
よくある質問
3級に合格していないと2級は受けられませんか
日本商工会議所の2級の案内には、受験資格についての記載がありません。3級の合格を条件とする記述は示されていない、という読み方になります。
ただし、受けられることと、受かりやすいことは別です。2級の商業簿記は3級で扱った内容の上に積み上がる形になっているので、3級の範囲を通っていない場合はそこから始めることになります。
工業簿記は独学でも身につきますか
身につきます。出題の形が安定しているぶん、独学との相性はむしろ良い分野です。原価の流れを図で追う習慣をつけて、同じ型の問題を繰り返し解くと定着します。
教材はどの年度のものを選べばよいですか
日商簿記の出題範囲は「出題区分表」で定められていて、改定されることがあります。現行の区分表は2022年度施行のもので、2027年4月1日施行の改定版がすでに公表されています。
買う前に、教材がどの年度の区分表に沿っているかを確かめておきましょう。